【伝蔵荘日誌】

2012年1月16日: 目出度さも中ぐらいなお正月 T.G.

 早いものでもう1月も半ばを過ぎた。 年末にインフルエンザに罹り、ひどい正月を過ごした。 タミフルの副作用で食欲もなく、吐き気で雑煮も喉を通らなかった。 おかげで体重が2キロ減った。 なんとか酒が飲めるようになるまで10日かかった。 365日晩酌を欠かしたことがないから、10日間も断酒したのは30年ぶりのことだ。

 やっと飲欲が戻ったので、家人と連れだって四万温泉の定宿へ湯治に行った。 酒も飲めずに温泉に行くのでは意味がない。 掛け流しの露天風呂にたっぷり浸かって美味い酒を飲んだらまさに天国。 遅ればせの正月気分を味わった。 帰途軽井沢を廻って帰宅した。 嬬恋あたりから見る浅間山は雪が少なく地肌が見えている。 例年だと今頃の裏浅間は真っ白なものだが。 今年は寒冬でいずこも雪が多いというのに、どうしたことだろう。

 軽井沢への途中、吾妻川渓谷にある例の八ッ場ダム現場を通った。 すでにダム湖の周りの取り付け道路は完成していて、ほとんどがトンネルである。 以前は谷底の趣のある吾妻渓谷の風景を楽しめたものだが、今は殺風景なトンネルの壁しか見えない。 これではダムが完成しても、売り物のダム湖の景色は見えない。 治水にも利水にもまったく役に立たないことが判明しているこのダムの、せめてもの効果は観光しかないというのに。 それなのに民主党はマニフェストを反古にしてダム工事を再開するという。 残りの工事分2000億円を使い切るという。 消費税さえ取れれば2000億ぐらい目じゃないということか。 不道徳な口先人間は、約束を守った例しがない。

 その口先男の一人、ドジョウ首相が消費税にシャカリキになっている。 「消費税増税を含む社会保障と税の一体改革に政治生命をかける」などと利いた風なことを言っている。 こいつは馬鹿か。 今この時点で政治生命をかけるなら、原発処理と震災復興の方が先だろう。 社会保障と税の一体化なんて話はその後だ。 3.11から1年近く経ったのに、いまだに復興庁すら出来ていない。 原発も震災もほったらかしで消費税などとふざけたことを言うんじゃない。 この財務省の操り人形が。

 いずれ消費税を上げなければならないことは誰でも分かっている。 目的が少子化に向けての社会保障対策というならなおさらだ。 しかしながら我らがドジョウ総理は、「社会保障と税の一体化」なるものの内容について、国民に説明をしたことがない。 する気もない。 少なくとも増税は金勘定の話なのだから、取った税金をどういう風に使うつもりか、具体的なプランがあるべきだ。 しかしながらドジョウ総理の口からその説明を聞いたことがない。 思いつきで言っているから説明など出来ないのだろう。 税金大好きの財務省に仕込まれて、オウムのように増税増税と言っているだけなのだろう。

 自民党時代の2008年度の国家予算は83兆円だった。 それが今では94兆円を超えている。 増えた分はすべて子供手当とか農家戸別補償とか高校無償化とか人気取りのバラマキである。 消費税を5%上げると約10兆円。 今のままでは増税分ははすべてバラマキで消える。 社会保障も財政再建も絵空事だ。 消費税を上げるというなら、やる前に鍋の底に開いたバラマキの穴を塞いでおく必要がある。 そうしなければ穴から漏れだして、肝心の社会保障には廻らない。 穴の開いたバケツで水を汲む馬鹿はいない。 ドジョウはそれをやろうとしている。 消費税を上げるなら、民主党お得意のバラマキをやめ、一般会計予算を自民党時代の80兆円台に戻さなければならない。 その上で公務員給与をマニフェスト通り2割削減し、景気回復のための経済政策を実行に移さねばならない。 そう言うことをドジョウ総理は何もしていない。 する気もないし、する知恵もない。 森の石松ではないが、「馬鹿は死ななきゃ治らない」と言うことか。 ぐずぐず言っていないで早く解散しろ!

 新年早々こんな事にいちいち腹を立てていると、またまた暇爺に叱られそうだな。

 テレビを見ていたら、イタリア沿岸で11万トンの豪華客船が座礁して横倒しになったという。 戦艦大和が7万トンだから、それよりはるかに大きい船が無惨にひっくり返っている。 奇観である。 4千人の乗客のうち、数十人が死んだらしい。 百年前のタイタニックは、座礁でなく沈没したから1500人死んだ。 それに比べれば軽微だが、技術がはるかに進んだ百年後の豪華客船が、出航して3時間もたたないうちに座礁横倒しとはお粗末きわまる。 日本人も数十人乗っていたらしいが、あんな大きな船がひっくりかるなんて、想像もしなかったのだろう。 想像力が欠如したら人間はお終いと言う見本だ。

 同じテレビを見ていたら、横浜で「脱原発世界会議」なる物々しいイベントのニュースを伝えている。 ピースボートなどNGOと市民団体が主催し、5000人が集まったと言うからご苦労様なことです。 福島の惨状を見ていると原発は一刻も早くやめたい。 やめることに反対ではない。 京都大学の先生が言っていたが、今原発を止めたら、総発電量は1970年代に戻ると言う。 その頃の生活水準に戻せばいいだけの話だと言う。 自分の記憶では70年代は今より悪い時代ではなかった。 結婚して子供を育てていた頃で、安アパートにはろくな冷暖房もなく、夏は暑く冬は寒かったが、毎日が楽しかった。 コンビニも自動販売機も、ブランド物のハンドバッグもグルメもなかったが、日々希望に溢れていた。 その時代に戻ればいいだけの話なのだ。 どうと言うことはない。 へらへらした市民活動家の諸君。 あんたらそう言う覚悟で会議をやってるの???

 今朝の産経新聞に、「急坂転げ始めた日本の出生数」という記事が載っている。 それによると昨年度の出生数は105万7000人で過去最低だという。 日本はいよいよ出生数激減への急坂を転げ始めた。 人口問題研究所の予測では、出生数は2055年は45万7千人、2105年に23万7千人まで減るというから穏やかでない。 もはや日本消滅に近い。 消費税も社会保障も真っ青な大問題です。 別の調査では、「彼女がいない」18〜34歳の未婚男性が61.4%、彼氏のいない女性も49.5%で、いずれも過去最高だと言う。 しかも、その半数近くが「異性との交際を望んでいない」と言う。 とどのつまり今の若者はセックスに関心がないと言うことだ。 日本の少子化は貧困や格差が問題ではなく、若者の性欲減退が主原因に違いない。 この記事の結論では、「結婚支援策を含めたあらゆる政策を講じる必要」としているが、中でも性欲昂進策が最重要だろう。 性欲が湧かなければ結婚も出産もない。 学校給食にホルモン剤でも混ぜて見たらどうか。 いや冗談でなく本気の話で。 ドジョウ総理殿、考えてくれたまえ。

 それやこれやで、目出度さも中ぐらいの正月です。   

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