【伝蔵荘日誌】

2011年9月6日: 9月2日は牛乳の日 U.H.

(前の日誌でGP生君が伝蔵荘日誌の執筆者が少ないことを書いたら、友人のU.H.さんから応援の投稿メールが届いた。 さっそく掲載する。 手始め投稿なので、メールの前文も含めて。 T.G.)

 超スローモーションの台風が去って、猛暑、酷暑の列島もさすがに秋の気配が濃厚になりました。 さて「伝蔵荘日誌」初登場の「U.H.」と申します。 これまでROM状態で愛読して参りましたが、T.G.先輩が筆者が限定されていることを嘆いておられましたので新規参入することに致しました。 どうぞよろしくお願い致します。

  さて 9月2日は何の日かおわかりでしょうか。 「防災の日の後始末」ブー  はずれです。  栃木県の那須塩原地方は、酪農製品の全国有数の産地ですが、彼の地では9月2日は「牛乳の日」なのだそうです。  小生、この手のコジツケが好きな方でありまして、それに乗って以下のコメントと写真をお届け致します。

 群馬県吾妻(あがつま)郡嬬恋(つまごい)村と長野県東御(とうみ)市の県境に 湯ノ丸山 という2千メートル級の穏やかな山があり、湯ノ丸高原を形成しております。 その「湯の丸高原」は国の天然記念物になっている レンゲツツジ の名所であり、6月末から7月始めにかけて、真っ赤なツツジの花が辺り一面を覆います。 この辺りは牛の放牧地としても名高く、暖かい時期になると緩やかな傾斜地で、牛さんが日がなのんびり草をはむ姿が見られます。 知る人ぞ知ることですが、牛がレンゲツツジを食べると、毒として作用するそうで、牛はけっしてレンゲツツジの葉や花を食べないそうです。 (牛は、どうしてそれが毒だと知るのでしょうか。母親が教えるのでしょうか。 それとも一度ひどい目にあって知るのでしょうか)
  したがって牛が周辺の草や灌木の葉をはむことで、レンゲツツジの勢いも保たれ、一帯はレンゲツツジの大群落をなしているのだそうです。

 しかし、グローバル化の波はこの世界にも押し寄せ、酪農製品の自由化が行われました。 それ以降、我が国の酪農業界は厳しい競争にさらされることになり、一部を除いて酪農経営が縮小しつつあるのです。 湯ノ丸山に放牧される牛も往年の姿は失われ、このところ十数頭が放牧されるレベルに止まっております。 その結果、本来なら牛が食べてくれるはずの草や灌木が勢いを増し、レンゲツツジを押しのけるような作用が始まっているため、天然記念物を守るべく、やむなくボランティアという人様が牛の代わりをして、下草を刈っているのだそうです。

 一方、長野県下高井郡山ノ内町の奥志賀といわれる辺りにも牛の放牧地があります。 志賀高原といえば、白樺の森林が美しいところですが、ここでは牛が下草をはむことによって、白樺の純林がほどよい状態に保たれ、大変に美しい景観をなしております。 ここにおいても放牧される牛の数は往年の数には及ばないのですが、レンゲツツジとは違って白樺は喬木であるため、そこそこの調和が保たれているようです。

  このところレンゲツツジの見頃、はたまた白樺の新緑や黄葉の季節に当地を訪れ、自然の摂理に我が感性を委ねるとともに、社会経済のうねりをも感じながら季節の移ろいを楽しんでおります。 そう言えば、今年は牛にとっても大いに受難の年でしたが、この後良い方向に進むことを切に祈念致します。
 では スナップ写真の数枚を挟んで、終わりとさせて頂きます。みなさま ごきげんよう!    U.H.
  

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