【伝蔵荘日誌】

2011年7月9日: 節電の暑い夏 T.G.

 毎日暑い日が続くが、まだ日中エアコンを入れたことがない。 さすがに夜は寝苦しいので寝しなに寝室だけ入れる。 普段からあまり暑さが苦にならない方である。 暑がりの家人は終日部屋を閉め切ってエアコンをかけたがる。 自分はよほどでなければエアコンは入れず窓を開け放していたい。 汗をかきかき冷や麦でも食していたら、いかにも日本の夏である。 だから毎夏エアコンを入れるか入れないかで家人と言い争いになる。 結果は「それなら私は一人でデパートへでも出かけて涼んできます!」と啖呵を切られて当方の負け。 渋々エアコンのスイッチを入れる。 幸か不幸か今夏は東電の不始末のおかげで言い争いにならない。 3月の計画停電で懲りたのか、家人も今のところ入れようと言い出さないで我慢している。 それでも時々恨めしそうにフーフーため息をついて、何となく不機嫌である。 僕が悪いんじゃないよ。 文句があるなら東電とバカ菅に言って!

 テレビが熱中症に気をつけろとうるさい。 昨日は何人死んだとか、老人は我慢せずエアコンを使うべきだとか、節電より命の方が大事だとか。 余計なお世話だ。 放っておいてくれ。 多少暑くても人間死にゃしない。 もしそうなら、もっと暑い熱帯地方の人はどうするんだ。 そもそも熱中症なんて昔はなかった。 こんなおかしな病名を聞くようになったのはつい最近のことだ。 昔は、と言ってもつい20年ぐらい前のことだが、エアコンか無くてお年寄りが死んだ話なんか聞いたことがなかった。 エアコンがないと熱中症になるなら、昔のお年寄りはみな死んでいた。 そもそも普通の家庭が普通にエアコンを使うようになったのはつい最近のことである。 浦和から田町まで40年間電車通勤したが、京浜東北線の全車両に冷房が入ったのも20年ほど前。 それまでの夏の満員電車は地獄だった。 汗だくの通勤は辛かったが、だからといって熱中症なんて誰もならなかった。

 今の人たちは暑さに弱くなったのだろうか。 冷房で涼しい生活をしていると、汗腺が退化して汗をかかなくなり、体温を下げられなくなると言う。 それが熱中症が増えた原因だと言う。 学校の体育行事で、生徒が何十人も熱中症でばたばた倒れ、病院に運ばれたなんてニュースを聞くとさもありなん。 今の子供は赤ん坊の頃からエアコンの効いた部屋で育てられ、遊び、食事をし、寝起きする。 教室にはエアコンが入っている。 学校から帰っても、エアコンの効いた部屋でゲームをやっている。 汗などかく暇がない。 だからちょっと暑いと熱中症になる。 考えてみれば贅沢な話だが、はたしてこれが文明と言えるのか。

 我々が子供の頃は国中貧乏で、家にも学校にもエアコンなど無かったが、夏の体育授業で倒れる生徒なんていなかった。 いくら暑くても平気で校庭を駆け回っていた。 夏の子供はすべからく汗まみれで、真っ黒けで、元気だった。 熱中症で死ぬ子供なんていなかった。 

 やたら節電節電とうるさい。 でも今回の節電は40年前の石油ショックの時と違い、昼間のピーク時に限った節電だ。 政府もマスコミもそこんところを取り違えている。 石油ショックの時は石油の消費量を減らすための総量規制だったが、今回は昼間の数時間エアコンを止めればいいだけの話である。 ピーク時の電力消費の3分の1はエアコンなのだ。 日本経済の根幹である工場を止めたり、ましてや夜間の照明などちまちま消す必要はさらさらない。 むしろ電力が余る夜間早朝はどんどん使うべきだ。 そうしないと東電の売り上げが減り、原発事故の賠償にも支障をきたす。 夜間はエアコンもかけ、街路灯もネオンサインもどんどん点けるべきだ。 それなのに、工場も家庭も一律15%カットの総量規制だと。 馬鹿言ってんじゃないよ! どうも今の政府の、菅と海江田と細野のやっていることはデタラメだ。 節電の意味がまるで分かっていない。 ああいうバカどもは一刻も早くやめさせろ。 それに迎合して、意味もなくデタラメ節電を煽るマスコミも。

 バカ菅がまたまたバカを言い出した。 どこまで続く泥濘ぞ。 もう勘弁してよ。 なんでもヨーロッパがやり出したストレステストをやるんだと。 それが終わるまで、日本中の原発は一切動かさないんだと。 誰もバカ殿を止めようとしないから、来年春までにすべての原発が止まることになる。 いくら総理大臣がバカだろうとペテン師だろうと、残念ながら今の政治の仕組みはそうなっている。 これは大ごとです。 福島一発でへろへろなのに、全原発を止めたら一体全体日本はどうなるんだ。 沈没間違いなし。 国家観が欠如したこの男は、そう言うことは一切考えない。 どーでもいい。 将軍様と胡錦涛様がさぞ大喜びだろう。

 ストレステスト自体は悪いことではない。 どんどんやるべきだ。 4ヶ月のたった今になって、突然思いつきで言い出すから悪い。 とても総理大臣のやることではない。 でもね、ヨーロッパのストレステストは原発動かしながらやるんだよ。 なんで日本は止めなければならんの? ヨーロッパの真似するんならそっくり真似ればいいだろ。 でもこのペテン師は「日本独自のストレステスト」なんて屁理屈言い出すんだろうな。 どうしようもない“アー言えばコー言う男”のことだから。

 民主党が政権を取った2009年8月31日の日誌に、やけくそになって「安全保障以外は何やってもいい。許す。」と書いた。 半分冗談で。 子供手当などのバラマキは目をつむるとして、まさか国家安全保障で致命的なバカをやることはないだろうと、甘く考えて。 でも甘すぎた。 これほどバカの集まりとは思わなかった。 敵は人民解放軍や金正日様の兵隊ではなかった。 攻めてきたのは地震と大津波。 まあ予測のつかない天災だから、初期の被害は仕方なかったとして、その後の始末のいい加減さ、下手さ加減がどうしようもない。 ど素人の政治ゴッコで、いつまでたっても何も出来ず、戦う前に要らぬ被害を膨らませ、とうとう日本沈没の瀬戸際まで追いつめられた。 総大将と司令官がバカだと戦には勝てない。 日本人は前の戦争でそのことを身に滲みて知ったはずなのに、同じことをまた繰り返す。 好きこのんでこういう無能政府を選んだ日本国民の、身から出た錆です。   

目次に戻る