2011年7月2日: 菅直人の恫喝 T.G. ![]() 衆議院解散は首相の専権事項である。 誰も止められない。 今解散でもやられたら政権基盤の脆弱な民主党はたまらない。 2年前の政権交代ブームに乗って初当選した小沢ガールズなど、数あわせの1年生議員のほとんどが落選するだろう。 与謝野や輿石や海江田や、もしかすると菅直人も危ないという話もある。 まさに自爆犯である。 民主党も目茶目茶になるが、国政も大混乱する。 市民活動家上がりのこの男にとってそんなことはどうでもいい。 1日でも長く首相の地位にいられればいい。 そのためだけの実に巧妙な脅し、手練手管である。 首相にしておくのがもったいない。 ヤクザの組長でもやらせたら山口組も真っ青だ。 自民党も慌てだしている。 イタリアの国民投票で大多数が反原発だったことを自民党の幹事長がヒステリーと評したら、テレビ新聞に叩かれた。 でもね、今の日本の反原発意識は間違いなく福島アレルギーです。 福島の惨状を見せられて、国民の多くが一過性原発ヒステリーになっている。 だから今脱原発を掲げて解散総選挙をされたら、自民党には打つ手がない。 菅に同調するわけにも行かないし、さりとて今の国民総ヒステリー状態の中、原発推進で戦ったら勝ち目がない。 だからこちらも負け犬の遠吠え状態である。 菅はさぞ飯がうまかろう。 昨夜も取り巻きを引き連れて、意気揚々と料理屋をハシゴしたらしい。 政局政治屋の天才である。 ![]() だから脱原発は安易に政局マターにしてはいけない。 そんなことで国論を二分したら日本が壊れる。 善し悪しは別として、今の日本国の骨格は原子力エネルギー依存で成り立っている。 50年かけてそうしてきた。 脱原発は今までの国のあり方を根本的に方針転換することを意味する。 好き嫌いの問題でなく、時間をかけて議論し、周到な準備をして取りかからねばならない。 大前研一氏が日経BPに 「原子力とクリーンエネルギーを政局のネタにするな」と言う記事を書いている。 彼は以前日立製作所で原発技師をしていた。 彼によると、そもそもイタリアには原発が停止中の4基しかなく、隣国のフランスやスイスが今のところ欲しいだけ電力を売ってくれる。 地続きの隣国を持たず、原発がすでに50基もある原発大国の日本が同じ議論は出来ない。 ![]() 原子力をやめてクリーンエネルギーに転換すると簡単に言うが、現時点で太陽、風力発電などクリーンエネルギーはわずか0.2%。 ゴミのようなものである。 管総理が言うように、仮にこれを20%台に上げられたとして(それすら実現性は薄いが)、ただでさえ高い日本の電力料金はますます高いものになる。 クリーンエネルギー依存のデンマークの電力料金は日本の1.5倍だという。 その馬鹿高い電力料金に国民が耐えられるか。 おそらく日本経済は競争力を失い破綻する。 国民の生活水準は大幅に下がる。 そう言う覚悟で脱原発を言うのか、と。 だから脱原発と再生可能エネルギー問題を政局にしてはいけない。 選挙で単純にイエスかノーかを問うてはいけない。 十分に時間をかけて議論し、国民の理解と覚悟を得なければならない。 記事の中で大前氏は次のように言う。 「菅首相はいきなり「脱原発+再生可能エネルギー」と叫び始めているが、学生運動ならイザ知らず、日本の首相としては、産業界の悲痛な叫びをいかに受け止めるか(事業継続リスクをいかに乗り越えるか)、そして住民の納得を得て定期点検中の原子炉をいかに再稼働させるかが最大の課題であることを忘れてはならない。 菅首相が退陣前に成立させたいとしている再生エネルギー特別措置法にしても、タイミングとコストを明確にしなければ、それが実現する前に日本から外資が、そして製造業が、データーセンターなどが……と、すべていなくなってしまっているだろう。 原子力とクリーンエネルギーを政局のネタに使うことはやめてもらいたい。」と。 けだし同感である。 でも福島でさんざんひどい目に遭わされた日本国民は、耳元で「脱原発、クリーンエネルギー」と甘いささやきをされたら、思考停止でそちらになびくのだろうな。 出来もしない県外移設、子供手当、高速道路無料化、政治主導、脱官僚など、インチキマニフェストにころっと騙されたのを忘れて、またまた懲りずに菅直人の甘言に釣られるんだろうな。 希代のペテン師菅直人は、ポピュリズムに弱い日本人の馬鹿さ加減を知り抜いている。 馬鹿は死ななきゃ治らないとはよく言ったものだ。 市民活動家上がりの菅にとって日本の行く末なんかどうでもいい。 エイズやカイワレ大根の時と同じで、見てくれのパフォーマンスで愚衆を転がす天才なのだ。 今までの彼の言動を見ていると、そうとしか思えない。 そう言えば今朝の新聞に、「菅首相の政治団体が、拉致容疑者親族の政治団体に6250万円寄付」という記事が出ていた。 日本国民はつくづくひどい総理大臣を持ったものだ。 |