2011年2月19日: 高齢者の健康管理 GP生 ![]() 人体が細菌やウィルス等の外敵から防御しているのは、人体が有する免疫力に依っている。 幼少時には免疫システムの経験が浅いため、まだ効果的に機能してないから、風邪やインフルエンザに罹り易いのも事実であろう。 高齢者には加齢による免疫システム自体の機能低下が問題である。 身体を構成する全細胞60兆個のうち免疫細胞は2兆個で、その重量は2Kgもある。 そのうち100億個が毎日入れ替わるといわれている。 細胞全体では毎日3000億個以上が死に、同じ数の細胞が生まれる動的平衡を保っているそうだ。 この膨大な数の新陳代謝を維持することで、人が健康を保っていられると思うと厳粛な気持ちにならざるを得ない。 ![]() リンパ球は加齢のみならず、ストレスや過労、睡眠不足、抗生物質、薬の副作用等により産生量が低下する。 高齢者の不規則な生活は命取りになる。 抗がん剤による免疫力の低下は、特に激しいことが知られている。 ガン細胞が縮小しても命をなくす人が多いのは、免疫システムをガタガタにされた結果だ。 免疫力が低下したなかで、ガン細胞が転移すれば、これ等の増殖を妨げるものは何もない。 「抗ガン剤の副作用は発ガンである」とはブラックジョークだと笑ってはいられない。 ![]() 自分の母は晩年の3年間、認知症を患ってベットと車椅子の生活を余儀なくされた。 後半は介護者の疲労から、養護施設でのショートステイを利用せざるを得なかった。 入所の期間は10日から2週間程度であるが、回を重ねるうちに風邪をひいたり、肺炎を起こしたりすることが多くなった。 最後の1年は肺炎による入退院を何回も繰り返した記憶がある。 母の肺炎は免疫力の低下と誤嚥の結果であった。 自宅で介護していた時は、風邪もひかず、ましてや、肺炎などとは無縁であった。 介護施設と自宅との違いは、自宅では保菌者がいないこともあるが、一番は栄養条件と思っている。 嚥下困難のため食事は全て水とトロミを加えてミキサーにかけていたので、食べられる固形物の量には限度があった。 栄養状態を維持するため、家庭ではプロテインやビタミンのサプリメントを積極的に利用して、一日のタンパク質やビタミンの必要摂取量の確保に努めた。 養護施設では、高タンパク質・高ビタミンの食事は不可能である。 ![]() タンパク質の必要量は、体重の1000分の1と言われている。 ただし、プロテインスコアー100のタンパク質が要求されるのだから、かなり努力しないと難しい。 ビタミンの必要量は個人差が大きいから、自分の人体実験で試行錯誤して求めるしかない。 これらの栄養素は免疫力の低下防止のみならず、人の各臓器の活性化とトラブル防止に大きな助けになることは間違いない。 必要量の細胞が毎日確実に再生されるには、必要十分な栄養補給によるしかない。 高齢者はそれでなくとも、新陳代謝の機能が劣っているのだから、せめて材料だけは十分に送りたいものだ。 高齢者が昼飯を日々、カップヌードル程度の食事で過ごすとすれば、自殺行為であろう。 栄養条件が満たされていたとしても、これ等が必要な細胞に運ばれなければならない。 そのためには、血流の活性化が大切で、筋力の衰えは血流に影響するところが非常に大きい。 筋力は運動でしか衰えを防止することも、鍛えることも出来ない。 高齢者にとって定常的な運動は、筋肉以外の臓器の活性化を図る意味でも大切な課題である。 体温が低下すれば細胞レベルでの酵素反応等の代謝が著しく低下し、リンパ球の産生量も免疫機能も低下する。 ![]() 妻は昨年11月にインフルエンザの予防注射を受けたが、自分は免疫力のアップに努めて受けなかった。 自分が予防注射を打たなかったため、インフルエンザに罹ったらウィルスが家庭内に蔓延することになる。「この責任はどうするの」と妻に言われた。 我を通すことで、妻のストレスが増して、彼女の免疫力が低下しても困るので、次回はどうするか考えるつもりでいる。 「ウィルスの型が違ったら、意味ないのに」と心の中では秘かに思っているが。 高齢者にとって残された時間を考えると、これからの人生をどう生きるかは大切な課題である。 人生を生かすも殺すも、心身の健康が必要条件であることは論を待たない。 まずは、親からもらった体を大事に慈しむ努力を惜しんではならないと思っている。 |