【伝蔵荘日誌】

2010年8月25日: 伝説の日銀砲の威力  T.G.

 民主党がママゴト遊びのような代表選騒ぎで無為無策に過ごしているうちに、株価は9000円を割り込み、円高は84円台まで進んだ。 このままだとデフレはますます進み、企業収益も賃金も最低水準。 日本経済は沈没寸前だ。 いずれもヘッジファンドが仕掛けているのだが、カン総理も白川日銀総裁も当事者能力がまったく欠落している。 この深刻な問題の対策を電話会談で済ましたらしい。 とりあえず様子を見ることにして、何も実効策を打たない。 もうすっかりヘッジファンドには舐めきられた。 彼らは大いばりでドル売り円買いを進めるだろう。 下手をすると70円台になりかねない。 こんなことなら総理大臣も日銀総裁も要らない。 要らないどころか邪魔だ。 さっさとどこかへ消え失せろ!

 日本経済にとって円高は問題の一つに過ぎないが、現時点での日本政府の最優先課題は、何をさておき円高対策だ。 とりあえず円高を止め、円安に誘導することだ。 そうしなければ株価も上がらないし、デフレも収まらない。 企業業績も賃金も税収も上がらない。 まともな予算も組めないし、福祉も駄目になる。 ぐずぐずしていると日本沈没への道をたどるだけ。 子供手当やちまちました事業仕分けや、ましてや代表選なんてその後の話だ。 カンもオザワもハトヤマも、民主党の馬鹿どもはそこんところが分かっていない。 ママゴト遊びはやめて、さっさと仕事をしろ! (言っても無駄か。)

 インターネットでブログを読んでいたら、「伝説の日銀砲」と言う記事を見つけた。 伝説というのだからかなり人口に膾炙した話なのだろうが、小生は寡聞にして知らなかった。 それによると、2003年夏頃から、イラク戦争の推移を見て大幅な円高ドル安に誘導するために、ヘッジファンドが世界中から資金を集めて円買いに動いた。 このため、1ドル117円前後の円相場が一気に105円まで上がった。 これに対して、日銀は翌2004年の年明けから1日1兆円規模の円売り介入を連日続け、円相場を110円台まで押し下げ、ヘッジファンドを殲滅したのだと言う。 この時の日銀による大規模円売りドル買いの為替介入攻撃を“日銀砲”と呼ぶのだそうだ。 為替市場に対し、1分おきに10億円と言う巨大な砲弾を、休みなく2ヶ月もドカドカ撃ち込み続ける。 まさに“日銀砲”の威力だ。

 この日銀砲攻撃プランの提案者は当時の財務省溝口財務官、指揮官は自民党谷垣財務大臣だったという。 砲手を相務めたのはもちろん当時の福井日銀総裁だ。 そのときのまことしやかな武勇伝と谷垣氏の証言がウェブに載っている。 多分に面白可笑しく脚色しているが、当時の経緯と関係者の傍証から見て、大筋こうだったのだろう。

日銀上司「いいか、これから1分ごとに10億円づつ円売りドル買い介入を行う」
日銀部下「1分ごとに10億円も?」
日銀上司「そうだ1分ごとに淡々と売り続けるんだ。これから24時間売り続けるんだ。」
日銀部下「24時間ですか?」
日銀上司「そうだ。為替相場に終わりは無いんだ。もちろん交代要員も用意してあるが出来るだけ頑張ってくれ。」
日銀部下「はー、、。でも1分間に10億円だと1日に1兆円以上の資金が必要ですが?」
日銀上司「今、30兆円用意してある。当面はこれを使う」
日銀部下「それを使い切ったらどうするんですか?」
日銀上司「財務省が保有している200兆円もの米国債のうち、比較的短期のものを最大100兆円売って新たな介入資金を作る」
日銀部下「米国債なんか売っちゃっていいんですか?」
日銀上司「円売りで買ったドルで新たに米国債を買い、国庫に返還するので問題は無い。とにかく相手が折れるまで淡々と売り続けるんだ。休んだらヘッジの思う壺だ」

これを35日間続けました。
この結果アメリカのヘッジファンドが2000社倒産しました。
また、行方不明になったり自殺した人も大量にいました。

 ヘッジファンドが束になってかかっても、日本のような経済大国の中央銀行には敵わない。 あっという間に蹴散らすことが出来る。 用意できる資金量の桁が違うからだ。 ただし為替介入には他国からの反発や嫌がらせが出る。 このときもG7のフランスあたりがぐだぐだ言ったらしいが、谷垣大臣は英語が分からないふりをして押し切ったという。 軍資金作りに米国債を売ることも、アメリカ政府に承知させたという。 いい度胸だ。 政治家は英語が上手くなくてもいいという好例だ。 英語バカのハトヤマ君、聞いてる?

 現在自民党総裁の谷垣氏は、紳士的すぎて野党党首としての戦闘能力に欠けると評判が良くないが、その谷垣氏ですら事に当たってはこういう荒技が出来る。 政治的信念と経済、株価、為替レートにきちんとした知識、認識を持っているからだ。 こう言っても谷垣氏がことさら優れた政治家と持ち上げているわけではない。 財務大臣なら当たり前の資質に過ぎない。 残念なことに民主党には同じレベルの政治家は見あたらない。 野田財務大臣なんて経済のケの字も知らないど素人だ。 その上、民主が大騒ぎして無理やり押し込んだ日銀白川総裁が全くの愚物と来ている。 就任以来、何か日銀総裁らしいことをしたのを見たことがない。 ただの飾り物に過ぎない。 戦争の勝敗は指揮官の優劣で決まる。 近年希なる(ハトヤマを除いて)程度の低い総理、総裁では負け戦必定。 こんな連中が後3年も素人政治を続けるのだという。 まさに目の前真っ暗だ。

 ぐずぐずせんと、早く為替介入しろ! この馬鹿カンが、馬鹿シラカワが、馬鹿ノダが!

 それにしても日本国民はひどい政府を持ったものだ。 自業自得とは言え。
  

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