【伝蔵荘日誌】

2010年4月28日: 検察審査会と小沢、普天間とデビ婦人 T.G.

 ここ数日(いや数ヶ月か?)、テレビ新聞を賑わしている4題話である。 日本も低次元の国になったものだ。

 東京地検が小沢一郎を証拠不十分で不起訴としたことについて、案の定検察審査会が、「起訴相当」とまったく正反対の議決をした。 小沢も鳩山も大慌て。 検察審査会は東京地検と関係なく民間人で構成されるから、もはや以前のように「検察の横暴」とか「国策捜査」などと、利いた風な捨てぜりふは吐けない。

 ハトヤマは苦し紛れに記者会見で、「政府の立場でものを申し上げるのは検察の判断に予断を与えることになるから、何も申し上げるべきではない」などともっともらしいことをいいながら、同じ口で「小沢幹事長にはこのまま頑張っていただきたい」とぬかした。 天下の総理大臣が、やめずに頑張れと被疑者にエールを送ったら、それこそ検察への圧力ではないか。 だって、東京地検の親分の親分は総理大臣なんだよ! 

 この男はまるで日本語が分かっていない。 日本語以上に英語はもっと分からない。 だからトラストミーなんて、今時メロドラマでも使わないクサイせりふを平気で使う。 こういうバカは早くやめさせようよ!

 オザワに至っては、よほどびっくりしたのか血迷ったのか、言うに事欠いて、「不正なお金は受け取っていない、脱税などしていない、地検の捜査によって証明されている」などと言わずもがなを口走る。 語るに落ちるとはこのことだ。 だってそうだろう。 検察審査会は、“政治資金報告書の虚偽記載関与”を問うているのであって、誰も賄賂を受け取ったとか、脱税したとか言っているわけではない。 それなのにうっかり口が滑るのは、やましいところがあるからだろう。 だから思わず口に出るのだろう。 やっぱり西松から金をもらったんだ、脱税もしたんだ。 みんなそう思ってしまう。 やくざまがいの強面の顔をしているくせに、実に肝っ玉の小さな男だね。 さっそく2チャンネルでからかわれていた。 曰く、「万引き犯が、俺は人など殺していない、とわめき立てているようなものだ」と。 朝日読売など、大手マスコミの記者はこういう鋭いつっこみ記事は書かない。

 漏れ聞く話では、東京地検の担当検事は起訴可能と上部へ報告したが、検察庁上層部がさせなかったらしい。 上級幹部には小沢の息のかかったのが数人いる、というもっぱらの噂である。 仮にここが通っても、その上には、この日のために小沢が送り込んでおいた、小沢オールドガールズのキモイおばさん、千葉法務大臣が立ちはだかっている。 最終的に法務大臣がハンコ押さなかったら起訴はできない。 小沢としては万全の体制を敷いたつもりだったが、上手の手から水が漏れた。 残念ながら検察審査会は役人ではなく民間人なのよ。 いくら小沢でも手が出せない。

 検察審査会は昭和23年からあった制度だが、2009年5月以前は法的拘束力がなかった。 単なる参考意見に過ぎなかった。 これに法的拘束力を与えたのは、裁判員制度と同じく末期の麻生政権。 漢字が読めいない麻生太郎君のお手柄です。 新しい制度では、東京地検が再度不起訴としても、もう一度起訴相当との議決が出れば強制起訴になる。 その場合、捜査は東京地検の手を離れ、民間の弁護士が検事を務める。 豪腕オザワも傀儡チバも手を出せない。

 おそらく小沢は急遽対策を講じているだろう。 なにせ総理大臣さえ自在に操る権力者だ。 検察庁や法務省だけでなく、検察審査会にも手を回すだろう。 審査会のメンバーは無作為に選ばれた有権者というが、選ぶのは法務省だからどうにでもなる。 現在の11人のうち、6人が改選期だという。 議決には11人中8人の同意が必要と言うから、息のかかったのを最低4人送り込んだら万々歳。 権力者小沢ならやりかねない。 陪審員を脅しと賄賂で抱き込んだアルカポネの裁判みたいなことになる。 いやな世の中だね。 世も末だね。 こんなおかしな自由民主主義国はないね。 そうなる前に、夏の参院選できっぱり片を付けて下され、有権者の皆々様!

 話は変わるが、今朝の朝日新聞に、鳩山総理が来月4日に沖縄訪問を予定と書いている。 ボクちゃんもやっと重い腰があがったようだ。 「沖縄に人たちに思いをいたし、」などと思わせぶりなことを何度も口にしながら、今頃沖縄詣でとは遅すぎるよ! 今まで何をしてたんだ!

 この15分男も、紆余曲折の末、どうやら原案通りの辺野古移転、プラス徳之島に一部移設と腹を固めたらしい。 でも徳之島は無理だろうな。 あんなところに海兵隊を移したら、いざというとき使い物にならんし、第一徳之島の住民がうんと言わない。 言わせるには金をばらまく必要がある。 少なくとも来年度予算まで待たねばならない。 さあどうするどうする、ハトヤマ君。

 先日、例のデビ婦人が、ブログで面白いことを書いていた。 「…もう普天間にはすでに基地があるのだから、更に何兆円もかけて基地を移転させるより、普天間の危険にさらされ、騒音に悩まされたりしている住民たちが転居したらどうか」と言うご卓見である。 基地を動かさずに住民を動かせとは、地動説ならぬコペルニクス的発想である。 このおばさん、すけべえスカルノの第3婦人として苦労しただけあって、なかなかいいこと言う。

 そんなこというと、住民無視だとか、沖縄の人たちの生活はどうなるなどと、つべこべ言い出す連中が出てくるだろうが、公共工事で住民が立ち退かされることなど、珍しいことではない。 ほかにいくらも事例がある。 成田空港を作るときには、多くの農民が畑盗られて追い出されたし、問題の八ッ場ダムではすでに数千戸の住民が泣く泣く別の場所へ立ち退かされている。 日本中のダムには、たくさんの村や町が沈められている。 沖縄だけ例外と言うことはない。

 そもそも普天間基地の周辺は、初めから今のような住宅密集地だった訳ではない。 70年前、激戦の末沖縄を占領したアメリカ軍は、すぐさま空き地だった普天間に基地を作った。 ちりぢりだった沖縄の人たちがその周りに集まってきて住み始め、70年かかって今の町並みになった。 アメリカ軍にしたら、後から来たのはお前らだと言いたいだろう。 戦争前に住んでいた人も少しはいただろうが、なにせ戦争だから仕方がない。 古今東西、戦争で奪われた土地を、戦争以外の方法で取り返した例はないのだ。 こんなことを言うと語弊があるが、悲しいながらあれは戦勝国アメリカの占領地なのです。 ノー天気日本人はいざ知らず、少なくともアメリカは内心そう思っている。 悔しかったらもう一度ドンパチやって取り返してみる? それも手だね。 ねえ、あんた方。

   実はこの住民移転案はデビ婦人の専売特許ではない。 香川で長生塾を開いておられる都村長生氏も、ご自分のブログで同じことを言っておられる。 これを読むと、この方の普天間問題のとらえ方は、思いつきレベルのデビ婦人とは違って、非常に現実的で説得力がある。 民主のバカどもに煎じて飲ませたいぐらいだ。 ぜひ一度お読み下され。

 都村氏が言うには、普天間基地周辺の住民はたかだか1000世帯。 仮に一世帯あたり立ち退き料5000万円支払っても、500億円で済む。 仮に2000世帯だったとしても、1000億円ぽっきりだ。  辺野古の海を埋め立てて滑走路を造れば軽く1兆円はかかる。 徳之島の住民に言うことを聞かすには、ほっぺたをひっぱたく札束が必要だ。 新たな基地造成費を併せて、これも1兆円は下らないだろう。 これに比べれば格段に安い。 40分の1で済む。 土地代の安い沖縄なら、5000万円もあれば豪邸が建つ。 周辺の道路整備や学校、保育園などを作っても、100億円もあればお釣りが来るだろう。 普天間の住民にとっても、新築の豪邸に住めて言うことなし。 元々米軍は普天間で何も困っていないのだから、アメリカさんも満足。 大岡裁きというか、実に名案だ。 めでたしめでたし。 どう?ハトヤマ君。 やってみない? 前にも言ったけど、公共事業で立ち退かされるのは、何も普天間の人だけではないんだよ。 どうよ!     

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