【伝蔵荘日誌】

2010年4月10日: パソコンのトラブル T.G.

 最近パソコンの調子がおかしい。 動作が緩慢になり、メールやブラウザ程度の軽い処理にやたらに時間がかかる。 その上、プログラムの異常終了が頻発する。 そのたびに再立ち上げが必要になるが、これがまた遅い。 おまけにプログラムがしばしば壊れるようになった。 日本語入力プログラムのATOKとかAdobeReaderと言ったごく普通のアプリケーションである。 これでも昔はSE。 ハードが壊れることはあっても、ソフトは原理的に壊れることはないと思っていた。 インストールし直すと正常に戻るのだから、やはり壊れたとしか思えない。

 だましだまし使っていたら、今度はCheck Diskが出来なくなった。 いつ動かなくなるか分からないのでシステムバックアップを取ろうとしたら、その前の手順のCheck Diskが出来ない。 Check Disk機能はWindowsに組み込まれた機能の一部で、ディスク(HDD)の検査、修復をする。 ディスクのシステムドライブ(Cドライブ)に入っている。 これが動かないと言うことはCドライブの中身(プログラム)が壊れたと言うことだ。 これではまともにパソコンは動かない。 メールやインターネットが生活の一部に組み込まれてしまっているので、パソコンが使えなくなったらやばい。 世の中のことが分からなくなるし、友人や知り合い達と音信不通になってしまう。 さっそくパソコンショップへ飛んでいって、2000円の中古の内蔵HDDを買ってきた。 5年も使ったボロパソコンに、新品はもったいない。

 さっそく取り替えてCドライブを復元した。 こういうといかにも簡単に聞こえるが、あれやこれやで丸一日つぶれた。 HDDの交換そのものは簡単だが、その後のCドライブ復元とテストに時間がかかる。 問題のCheck Diskのテストは、一度やり始めると2時間近くかかる。 暇は腐るほどあるからいいが、忙しい人には出来ないだろう。 かっては自分もそうだった。

 努力の結果、見事に直った。 動作も見違えるように速くなったし、プログラムの異常終了も起きなくなった。 もちろん問題のCheck Diskも正常に動く。 推察するに、すべての原因はディスクの読み書きエラーに起因していたのだろう。 エラーが頻発するのでプログラムが空回りし、時間ばかり食う。 動作がのろくなる。 そういえば、何もしていないときでも、ディスクの読み取りヘッドがカチャカチャ言うシーク音が絶えず聞こえていた。 プログラムが壊れたのも、メモリスワップ時の書き戻しエラーが原因なのだろう。 あと数日、何もせず使っていたらご臨終だったに違いない。 危ない危ない。

 壊れたHDDは定評のあるI-O-DATA社の製品だったが、調べてみると中身はサムスン。 もともと内蔵されていたHDDの調子がいまいちだったので、3年前に購入して取り替えた。 古い方はスレーブにして使っていた。 こちらの方は今でも何ともない。 メーカーはWesternDigital。 今度仕入れたのは日立製。 両方ともHDDでは定評のあるメーカーだ。 もうサムスンなんておかしな会社の製品は二度と使わない。 こんなろくでもない会社にソニーやパナソニックはなぜ負けるのだろう。

 サムスンは韓国の企業で、世界最大の電機メーカーである。 薄型テレビも半導体メモリも、かっては日本メーカーの独壇場だったが、今やサムスンの後塵を拝して久しい。 以前は世界のソニーだったが、今は世界のサムスンだ。 サムスンは売上高10兆円、韓国最大の企業グループで、GDPの20%を稼ぎ、韓国の全労働人口の40%を雇用しているという。(サムスン「封印された成長秘話」)  日本にとってのトヨタより存在感が大きい。 サムスンがこけたら、間違いなく韓国そのものがこける。 なぜサムスンの薄型テレビがソニーより売れるかというと、安いからだ。 ソニーやパナソニックが束になってかかっても敵わない。 

 90年代に半導体メモリで日本を追い越したときもそうだったが、サムスンの戦略は徹底した後追いである。 サムスンでは創造的イノベーション、すなわち研究開発はほとんどやらない。 かってのNECや、ソニー、パナソニックのように、自ら新技術や新製品の研究開発をやらず、日本のメーカーが作ったものを徹底して真似し、より安い製品を作る。 日本の技術者を引っこ抜き、日本技術を導入し、日本製の部品や工作機械を買い込み、ブラッシュアップする。 日本のメーカーの製品は世界で最も高性能で品質も高いが、その分値段も高い。 日本以外の世界市場では過剰品質で売れない。 サムスンはその下をねらう。 日本の真似だから、日本より高級な製品や日本にはない製品は作れない。 そのかわり膨大な研究開発コストが不要だから安い値付けが出来る。 その戦略が当たって今や世界一だ。 サムスンのみならず、韓国のメーカーは、おしなべて必要な技術、部品、製造設備を日本から調達する。 自ら開発しない。 だから韓国の対日貿易収支は常に赤字である。 相当いびつな世界一ではある。 その世界一に日本のメーカーは負け続けている。

 パソコンで最も壊れやすいのはコンデンサだという。 コンデンサは最も基本的な電子部品で、パソコンではマザーボードや電源などに多用されている。 日本製コンデンサは高品質で値段も高い。 日本製コンデンサを使った高級電源は何万円もするが、韓国台湾製は数千円で買える。 DELLやAcerなど安売りパソコンは台湾、韓国、中国製で、部品もほとんど韓国製、台湾製を使う。 だからすぐ壊れる。 NECや富士通製のパソコンは丈夫で壊れない。 けれども値段が高いのでほとんど売れない。 日本だけでしか売れないカラパゴス商品だ。 液晶テレビもメモリも、日本製が売れない原理はすべて同じだ。

 以前は日本製は車も電気製品も高品質、高性能で売れた。 日本が最も得意とするところである。 それが今のグローバル市場では裏目に出ている。 欧米のユーザーは日本人ほど性能や品質に拘らない。 そこそこに動いて安ければいい。 ましてやアジア、中近東ではなおさらだ。 今のやり方だと、ソニー、パナソニックは絶対にサムスンに勝てない。 勝とうと思ったらサムスンのようにクソ真似戦略、二流商品戦略を取るしかない。 しかし人件費が高いからやはり負けるだろう。 悲しいことに真似する相手もいない。 日本のメーカーが研究開発をやめたら、世界の技術進歩は止まる。 真似る相手がいなくなったサムスンのクソ真似戦略も破綻する。 彼らはこんなおかしな戦略をいつまで続けるつもりだろうか。

 今使っているeMachineというアメリカブランドの格安パソコンは、おそらく中国で組み立てられた中国製である。 さぞかし安い部品を使っているのだろう。 次のパソコンは出来合いを買わず自分で作ってみようと思っている。 いわゆる自作パソコンである。 パソコンショップで気に入ったパーツを買って組み立てる。 プラモデルを作るのと同じだ。  暇はいくらでもある。 自分好みのパソコンが手に入る。 でもサムスン製のパーツは絶対に使わない。 連休前には片づけたい。

         

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