【伝蔵荘日誌】

2009年12月24日: 鳩山政権100日目の迷言 T.G.

 新政権にとって最初の100日はハネムーンだという。 多少のことは国民もお目こぼししてくれる。 でも100日過ぎてもアホ亭主だったらそうは行かない。 よほど気の長い嫁さんでなければ、愛想を尽かし始める。 ハトヤマ政権にとって今日がその100日目だ。

 今朝の読売新聞に100日目の首相の談話が乗っている。 それによれば、「国民の皆さんの辛抱強さと、しかし、じれったいなあという思いは感じます」と記者団に感想を述べ、クリスマスイブであることにちなみ「夢と希望を(国民に)プレゼントしたい。この政権に対するさらなる期待を持っていただけるような夢を与えたい」と語ったと言う。 語るに落ちるとはこのことだ。

 夢は選挙前のマニフェストで散々ばらまいたではないか。 だから日本国民は大喜びでオールマイティの311議席も与えた。 今更何を言う。 これ以上詐欺まがいの夢ばらまきをするというのか。 子供手当や高速道路無料化や暫定税率廃止や普天間基地の県外移設やあれやこれや、甘い言葉を散々並べたのにどれ一つ実現していない。 実現の見込みもない。 子供手当は一部自治体が負担しろとか、暫定税率は名目を変えて税金は同じ額を取るとか、高速道路無料化は本州は無理で北海道だけだとか、普天間はとりあえず棚上げとか、嘘ばかりついている。 その挙げ句に中国や韓国へのこのこ出掛けていって、外国人参政権は次の参院選に勝って実現すると請け合ったりする。 そんなことマニフェストに書いてないでしょ。 選挙前に消しゴムで消したはずだろ! おいオザワ!

 ハトヤマが言うとおり、国民がじれったく思っていて、にもかかわらず仏様のように辛抱強いのは確かだ。 この期に及んでも支持率が50%近くあるのがその証拠。 信じられん! よほど日本人はお人好しなのだろう。 そこんところをハトヤマとオザワに見抜かれている。 多少のことは大丈夫、今のうちにやってしまえと。

 それとも、夏目漱石の三四郎に出てくる、「可哀相だたあ、惚れたってことよ」なのか。 この原文は”Pity's akin to love”だと言うが、国民は金持ちオボッチャマがヤクザのオザワやオバマにいびられているのが可哀相で、思わず抱きしめたくなる。 ユキオちゃん頑張ってねと。 そうとでも考えないといまだに支持率50%が理解出来ない。 マスコミがいつまでたっても好意的で批判記事を書かないのが分からない。 同じことを自民党がやったら、新聞テレビの総攻撃を受け、たちどころに政権が二つ三つ吹っ飛んでいただろう。 どうやら国民もマスコミも、“We can change”の二番煎じのハトヤマ大好きらしい。 そこを狙った首相人事としたら、オザワの深慮遠謀恐るべし。

 ハトヤマの失政は数々あれど、中でも普天間が一番だろうな。 このままだとおそらく普天間基地は永久化する。 少なくとも後10年は動かない。 沖縄県民がいくらぐだぐだ言おうと、アメリカが日本に愛想を尽かして出ていってくれない限り動かない。 その可能性が多分にあるのが恐ろしい。 出て行かれた後は、人民解放軍が触手を伸ばしてくるだろう。 少なくとも沖縄から九州西半分は彼らの制空、制海権に入るだろう。 今でも尖閣列島は事実上中国領土だ。 彼らはそのために頑張って空母までこさえている。 アメリカ抜きの今の自衛隊ではどうにもならない。 下手をすると米軍が出ていった後の普天間に、彼らがしゃしゃり出てくることも十分ありうる。 オザワの大仰な胡錦涛詣でを見ると、あながちあり得ぬことでもない。 あーやだやだ、そんな縁起でもない初夢は見たくない!

 そもそも普天間問題を沖縄の民生問題としてとらえるのが間違っている。 あれは優れて国家安全保障の問題なのだ。 社民のような万年お花畑政党ならいざ知らず、政権政党であればまず一義的に日本の国家安全保障について考え、その延長線で普天間をどうするか言うべきなのだ。 「近い将来の北東アジア情勢をつらつら考えるに、普天間の海兵隊のプレゼンスは要らない。 もしくは日本の自衛隊で何とか対応出来る。 だからグアムに出て行ってくれ」と言うのが筋だ。 「普天間の米軍は沖縄県民にとって目障りだ。 だからグアムに出ていけ」、と言うのは筋違いもはなはだしい。

 首相や外相や防衛相の口から、「日本の防衛にとって沖縄米軍のプレゼンスは必要ない。 自衛隊で十分だ」というセリフを一度も聞いたことがない。 であるのに、事実上同じことを言っている。 仏様の平和ボケ日本国民はしれっとしているが、アメリカは怒るだろう。 今までの日米安保は何だったのかと。 うちらは中国と付き合うから、お前ら勝手にやれと。 そうなったときのことをこの政権はまったく考えていない。 確たる見通しも持たず、日英同盟を破棄させられた70年前を思い出す。 丸裸になった大日本帝国は、その後世界中からいいように転がされ、8月15日を迎えた。 歴史は繰り返すと言うが、その再現か。 あー恐ろし!

 いくら日本国民が自民嫌いで民主大好きであったにしても、ここは一つお灸をすえた方がいい。 やり方は簡単だ。 来年夏の参院選で過半数取らせなければいい。 衆院は依然として過半数だから政権交代は起きないが、ハトヤマもオザワも少しはぴりっとするだろう。 もう少し真面目にやらねばいかんと思うだろう。 それが議会制民主主義というものだ。

 でも無理だろうな。 今の空気を見ていると、日本国民はそれほど成熟していないらしい。 マッカーサーに馬鹿にされたように、まだ12歳のままらしい。 戦前、関東軍が日中事変を始めたときも、松岡外相が席を蹴って国連脱退したときも、山本五十六が真珠湾に殴り込んだときも、ノー天気な国民は何ら疑問を持たず、大喜びで提灯行列していた。 どうやらその頃と国民の政治意識は何も変わっていないらしい。 せっかく政権交代したというのに、こんなことを続けているとこの国はもう駄目なのかも知れない。 とても良い年の暮れとは言えないな。       

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