【伝蔵荘日誌】

2009年12月 9日: 総理大臣の日本語力 T.G.

 昨日の鳩山総理の記者会見記事が朝日新聞に載っている。 それを読んで暗然とした。 意味不明瞭、まるで日本語になっていない。 この新聞は前の漢字の読めない総理のことをさんざん叩いたが、この中学生以下の日本語力しかない総理のことはまるでお目こぼしだ。 それどころかヨイショしている節がある。 だからこんな無内容の支離滅裂な発言を仰々しく全文掲載したのだろう。 試しにこの日誌にも全文引用してみる。 まあとくと読んでみて下され。 馬鹿さ加減が分かるから。

 (記者の質問)―今年度の税収が37兆円を下回り、国債発行額が過去最大の53兆円に達する見通し。来年度の新規国債発行額を44兆円以内に抑える考えに変わりはないか。

 「これはあの、リーマンショックからきていますからね。 それまで私ども野党時代を通じて、経済対策をもっと早く打てば良かったのにな、という思いがあります。 それだけに、ここまで深刻になってしまったことは、残念なことではありますけども、しかし経済をある意味では、しっかりと立て直していかなければならんということで、補正を組んだ前政権の考え方も分からんわけではない。 どこまで有効であるか、ということで我々は事業仕分けのような、凍結のことも行いました。 しかし、結果として税収も大きく減ったわけですから、結果として、国債をこうせざるを得なかったということは、国民の皆さんも理解をして頂けるのではないかと、そう思います。 しかし、財政規律はそれなりに、一方で経済、一方で財政、これはともに国民の皆さんの命を守るために必要な議論でね、そのバランスの問題だと思います。 これ以上深刻にならないようにしなきゃいかんというために、経済的な手だてを打つと。 一方で打ちすぎると財政がおかしくなる、ということですから、そのバランスの中で私は44兆円、来年度に関してはそれに向けて努力しようじゃないか、ということで申し合わせたわけです。 いまはその努力に向けてですね、一人ひとりが頑張って、閣僚の皆さんがね、その中で予算を組もうとしている状況ですから、まずは私はこの44兆円に手足を縛られて、それによって人の命の方が失われるという話になってはいけないことも事実でありますけども、努力としてはこれからも続けていこうと、思っております」

 これを一読して、発言の意図や含意が読み取れる日本人はまずいないだろう。 何が言いたいのかさっぱり分からない。 もう一度読み返しても分からない。 分かる人がいたら、教えて貰いたいぐらいだ。 話し言葉だから多少の曖昧さ、論理の不整合は認めるとしても、極端にひどい日本語である。 東大とスタンフォードを出た偏差値秀才の発言とは思えない。 さっそく2チャンネルでおちょくられている。

名無しさん@十周年:日本人ですら何言ってるのかわからない。 アメリカ人は尚更だろう。

名無しさん@十周年: なんか、高校の頃の国語の現代文の問題やってるみたいだな。 読んでるうちに頭が痛くなってくるw

名無しさん@十周年: 東大が入試でこの文章を使ってみてくれ。 国語教師や予備校の先生の講評を聞いてみたい 。 (名無しさん@十周年は2チャンネル特有の匿名ハンドルネームです)

   冗談はともかく、頭がいいはずの人の発言がこんなふうに支離滅裂になるのは、いろいろなケースがある。 都合の悪いことを誤魔化そうとする。  本心でないことを嫌々言わされる。 質問の意味が分からない。 分かっていても答えるべき知識や考えがない。 日本語が下手。 まあこんな所だろうが、はたしてハトヤマ総理の場合がどれが当てはまるか。 おそらく全部に違いない。 そのうちでも、「知識や考えがない」と、「日本語が下手」が最右翼ではなかろうか。

 そもそも記者の質問は、今日本が置かれている経済状況の中で、予算編成と財政規律に関する最重要かつ深刻、国民にとって最も関心の高い問題である。 日本国総理が口から出任せの誤魔化しをしていい場面ではない。 返答に窮するような難しい質問であることは確かだ。 今の日本人で、これにきちんと答えられる人はいない。 そんなことは誰もが承知している。 承知の上で聞いている。 だから誤魔化しはいけない。 言い逃れもしてはいけない。 無内容な返答だったとしても、一国のリーダーとしてこの難題に誠心誠意取り組む姿勢が伝わればいい。 この発言からはそう言う覚悟がまるで伝わってこない。 その場しのぎの言い逃れにしか聞こえない。 この人物の志の低さ、器量の狭さが浮き彫りだ。

 普天間基地問題の対応がまったく同じだ。 この男の発言は風向きによって毎日ころころ変わる。 昨日は西風だったものが今日は東風になる。 社民党ごときに凄まれて腰砕けになる。 おそらく政局しか念頭にない小沢幹事長の、次期参院選を睨んだ恫喝に違いない。 いったいこの男、キンタマが付いているのか! (下品で失礼)

 そもそも普天間基地の辺野古への移設は日本側から頼み込んだものだ。 アメリカは普天間のままで何も困らない。 基地周辺が住宅地で危険というのは日本の都合である。 普天間で何の不都合もないアメリカを説き伏せて、やっとの事で辺野古移設の日米合意が出来た。 これを社民党ごときの反対でひっくり返すなんて、外交常識を知らないにも程がある。 アメリカならずとも言語道断である。 朝日新聞や鳥越、寺島といったお抱え評論家は、「政権が変わったのだから仕切り直しは当然」などとノー天気なことを言うが、大間違いだ。 そもそも国家間の取り決め、条約は、幾ら不都合でも勝手に反古には出来ない。 一方的に反古にできるのは戦争を覚悟したときだけだ。 そういう国際常識が、鳩山を始めこの連合政権の連中にはまるで分かっていない。 こんな馬鹿なことをやっていると、やがては国を滅ぼす。

 1941年に締結された日ソ不可侵条約は、終戦直前の1945年8月8日に突如ソ連が一方的に破棄した。 直後、満を持したソ連軍の機械化師団が一斉に満州国境を越え、関東軍に襲いかかった。 1週間後の8月15日までに、樺太千島はもとより国後択捉まで陥れ、いまだに居座っている。 昔も今もこれが国際政治なのだ。 (写真は条約締結時のスターリンと松岡外相)

   安政年間に徳川幕府が西欧列強と取り結ばされた安政五カ国条約は、不平等条約の最たるものだった。 これが解消されたのは、50年近く経った日露戦争後の明治44年である。 不平等を解消するまでの40年以上に及ぶ明治政府の苦労は並大抵のものではなかった。 明治政府は絵に描いたような革命政権である。 今の政権交代程度の生やさしい出自ではない。 それでも前政権の取り交わした国際間の取り決め、条約は反古に出来ない。 明治の日本は弱小国だった。 もしこれを勝手に破棄したら、それを口実に西欧列強の侵略を受けただろう。 このオボッチャマ総理はそう言う歴史や外交常識をまるで知らない。 いったい東京大学は何を教えたのだろうか。

 今の日本も、国際政治という面では明治の状況と変わりない。 国土が外国の軍隊に占められていることは確かに業腹ではある。 しかしそのことと今回の普天間基地問題とは別の話である。 沖縄県民の負担や気持ちを忖度する程度のことで、日米政府間の正式合意を破棄するなどありえない。 もしこの友愛総理が本気でそうしたいと思っているなら、普天間に代わる代替え地を国内で見つけてからにしてもらいたい。 グアムに出て行けと言うなら、アメリカ抜きで自主防衛する覚悟を決めてからにしてもらいたい。 どうやらこの男にはそんな大それた志はなさそうだ。 つくづくひどい総理大臣を持ったものだ。           

目次に戻る