【伝蔵荘日誌】

2009年6月21日: セキュリティソフトに手こずる。 T.G.

 パソコンのセキュリティソフトの動作がおかしい。 販売元に問い合わせたら、インストールに問題があるから再度インストールし直せ、と言う。 やり方を聞いてやってみたが、うまく行かない。 あれこれ問い合わせながら何とかやり終えたが、ほぼ半日潰れた。 当方、暇は腐るほどあるからいいが、忙しい人は放り出したくなるだろう。 セキュリティソフトはやっかいなものだ。

 販売元とのやりとりはチャットでする。 電話はいくらかけても繋がらないし、繋がっても電話で細かな対処法を聞くのはまず不可能だ。 チャットならすぐ繋がって相手が出る。 納得いくまで会話が出来るから便利ではあるが、相手からの返事に時間がかかり、まだるっこしい。  おそらく同時に数人相手しているのだろう。 この会社の製品には時々トラブルが起きるので、過去に何度かチャットで問題解決したことがある。 チャットの相手はすべて中国名。 今日の相手は李艶艶さん。 何となく艶っぽい名前は女性だろうか。 日本語でのやりとりには問題がない。 そう言えばこのSymantecという有名なセキュリティソフト会社の経営者は確か台湾系の人だ。

 問題の発端はセキュリティソフトのアップグレードである。 今まで使っていた古いバージョンの使用期限が切れるので、更新ついでに最新の上位製品にアップグレードすることにした。 以前使っていた2007年版に修復不能のバグがあり、クレームを言ったら無償で2008年版に取り替えてくれた。 その際2008年版をインストールする前の旧バージョン削除に手こずった。 セキュリティソフトは性格上Windowsのコア部分にいろいろ機能を埋め込む。 普通のアプリケーションソフトと同じ作り方ではウィルスは防げないのだ。 通常の「追加と削除」ではまったく手に負えないので、専用の削除ツールを使う。 そのことを知っていたので、あらかじめチャットで削除方法を聞いてやったのだが、うまく行かなかったのだろう。 使い始めて10日になるが、時々おかしな動作をしてワクチン機能が停止する。 これでは危なくてインターネットは使えない。 やむなくチャットで教えを請うたら、リ・エンエンさんが出てきて、削除が不完全なのでインストールがうまく行っていない、 もう一度やり直せ、と言う。 最初のインストールの際、教えてもらった通り削除ツールでちゃんと削除した。 なぜ駄目なのかと不満を言うと、完全削除はツールだけでは駄目で、コア部分の削除は自分で手作業でやる必要があるという。 前にチャットしたときの対応者はそんなこと教えてくれなかった。 いい加減な会社だ。

 やり方を聞いたら、すこぶる面倒である。 セーフモードでPCを立ち上げて、OSのコア部分にばらまかれたフォルダーやファイルを探し出して、しらみつぶしに削除するのだという。 そんな剣呑なこと、うっかり間違えて無関係なファイルを削除したりしたら、パソコンが壊れる。 思わず溜息が出て、ほかに方法はないのかと聞くと、それならリモート制御でこちらでやるが、任せてくれるかと言う。 リモート制御はPCをSymantecのコンピュータに繋いで、相手先でこちらのデスクトップ画面を見ながら操作する。 見も知らぬリ・エンエンさんとやらにPCをいじられるのは気色悪いが、うっかり間違えると肝心のPCが使えなくなるおそれもあり、やむなく頼むことにした。

 言われたとおり通信用特殊ルーチンをダウンロードして実行する。 相手側とリンクが張られ、リモート制御が始まる。 何もしていないのに、カーソルが勝手に動いてCドライブの中をあちこち探し回り、手際よくフォルダーやファイルを削除していく。 相手側のリ・エンエンさんにも同じ画面が見えていて、向こうで操作しているのだ。 この方法だと、キーボードとマウスで出来ることは、遠隔地の仮想デスクトップ上で自由自在に何でもやれる。 処理途中でPCを再立ち上げしても、ルーチンが生きている限りリンクは張られたままである。 もしこんなルーチンを知らないうちにPCにはめ込まれたら、究極のウィルスになるだろう。 著名なセキュリティソフト会社だから信用して任せたが、そうと分かっていても、カーソルが勝手に動き回る様を見ていると何となく気持ち悪い。 結局、まだるっこしいチャットのやりとりを含め、4時間近くかかった。

 セキュリティソフトはやっかいだ。 PCの動作も遅くなるし。 出来れば使いたくないが、このご時世ではそうも行くまい。 我慢我慢。        

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