【伝蔵荘日誌】

2009年6月18日: ソマリア沖海賊対策 T.G.

 遅い朝食を終えてテレビを点けたら、参議院外交防衛委員会の国会中継をやっている。 民主党の谷岡とか言う女性議員が、麻生首相や中曽根外相、浜田防衛相らにねちねち絡んでいる。 女性特有の非論理的な言い回しで、どうやらソマリア沖海賊対策への自衛隊派遣について、国会の事前承認の法制化を求めているらしい。 法制化すれば自衛隊派遣を“認めないわけではない”などと回りくどい言い方をする。 そもそも海上自衛隊はとっくに派遣されているし、日本語としてもおかしい。 “女子供の口喧嘩”ではないのだから、ここは「事前承認法制化を条件に派遣を認める」とはっきり言うべきだ。 それが国会議員たる者の論理だろう。 何のための国会審議か。 これだから女は困る。(また誰かに怒られそうだな)

 それに対し、「今回の措置は海上警備行動で、海上保安庁の能力が足りない部分を自衛隊が補う警察権の行使だ。 根拠となる警察官職務執行法・海上保安庁法は国会の事前承認を必要としない法体系である。 執行状況については政府から国会に逐一報告するからなにとぞご了解を」と言うのが麻生首相をはじめ、政府側の一貫した答弁である。 それに対しこの女性議員は、「そんなことは聞いていない、ここで首相が政治決断をしろ。」と迫る。 聞き入れられないと、「アンタは優柔不断で首相の資格はない」などと罵詈雑言を浴びせ、挙げ句の果てに、まもなく政権の座から滑り落ちるだろう、などと悪態をつく。 昨今の情勢でその可能性はかなり高い。 彼女も自信満々な顔で悪たれをついている。 ならば政権を取ったらただちに法改正して、国会承認を義務づければいいだけの話。 こんな所で捨てゼリフを吐く必要はない。

 さらに質疑の中で、「根拠となる海上保安庁法は1952年に作られた古い法律だ。 57年たって内外の状況は大きく変わっている。 こんな古めかしい法律はさっさと変えるべきだ。」などと語るに落ちることを言う。 それを言うならその上位法である日本国憲法はさらに古い。 古色蒼然、カビが生えている。  現在の状況にまったく合致していない。 これを変えるのが先だろう。 状況が変わったと言いながら、憲法改正には反対し、海上保安庁法は変えろと言う。 論理矛盾の最たるものだ。

 防衛出動と違い、警備行動や災害派遣は行政の範疇である。 緊急性を要する行政マターに、いちいち国会の事前承認など義務づけていたら、国はは立ちゆかない。 もし民主党が政権を取ったらどうするつもりだろう。 “野党自民党”が同じ論法でいちゃもんをつけたら立ち往生するではないか。 日本は三権分立の民主主義国家。 司法、立法、行政は互いに独立している。 小学生でも知っている日本の政治制度だ。 民主党もそろそろ政権党としての心構え、ビヘイビアを考え直す必要がある。 政権を目前にしたこの期に及んで、現実を見据えた大人の振る舞いが出来ない。
 こんなことで大丈夫か、鳩山君!

 彼女の(民主党の?)論法でもう一つ気にかかることがある。 「警備行動とは言え、武装した海上自衛隊の艦船が行動する。 撃ち合いになる可能性もある。 そんな命をかけた危険な任務に(軍隊を)赴かせるには国民の了解が不可欠だ。 国民の総意を代表する国会の承認が必要だ」、と繰り返し、しつこく述べている点である。 総理大臣が国民の代表でないとでも言うのだろうか。 近未来の鳩山総理は日本国民の代表ではないとでも言うのか。 日本はイギリスと同じ議院内閣制を採っている。 内閣総理大臣は国会議員の中から選ぶ。 議会と関係なく、馬の骨を大統領に選ぶどこかの国とは違う。 国会の多数決で選ばれた総理大臣を国民の代表と思わない。 そんな程度の人物が国会議員である方がおかしい。 単なる言葉の綾であるなら、なおさらたちが悪い。

 稚拙極まりない鳩山総務大臣更迭で次期自民党政権の芽は断たれた。 遅くとも10月には民主党政権が誕生するだろう。 そうなると今度は国家安全保障問題が心配になる。 16日付の産経新聞の「危うい友愛外交」というコラムで、海上自衛隊のインド洋給油支援活動の即時停止、日米地位協定の見直し、沖縄海兵隊グアム移転、普天間飛行場移設など在日米軍再編計画の白紙撤回など、民主党の安全保障政策についての懸念を記事にしている。 これらは政権公約にも掲げられている。 アメリカは“反米3点セット”と呼んで警戒している。 日米安保の実質的後退、アメリカからの離反を意味するからだ。 オバマ大統領は就任後ただちにクリントン国務長官を訪日させ、小沢−クリントン会談で民主党の真意を確かめた。 小沢は言を左右に誤魔化した。

 戦後60年、日米安保も風化しはじめた。 如何なる同盟も永久に続くものではない。 しかしながら日米安保と距離を置くには、日本にとってそれなりの覚悟が要る。 まず必要なのは自主防衛についての冷静な認識と具体的政策だ。 それなしに日米安保に水を差すのは、無責任な社民党や共産党ならいざ知らず、政権政党のやることではない。 民主党のマニフェストにはそう言う安全保障政策は何一つ書かれていない。 せいぜいが小沢の持論の国連待機軍だ。 こんな寝とぼけた構想が世界に通用するはずがない。 他国の指揮に任せる国軍なんてあり得ない。 自主防衛はどうするのか。 常任理事国は国連でオールマイティの拒否権を持つ。 その一つ中国は常に反日的政治姿勢をとり続け、軍備を膨張させている。 日本の自主防衛にとって最大の仮想敵である。 そう言う認識もなしに、国連待機軍などとわけの分からん子供じみたことを言う。 このままの状態でアメリカに手を引かれたら国がもたないだろう。

 シロアリ族議員と官僚に、内部からいいように国を食い散らされる自民党政権も勘弁して貰いたいが、外からの脅威に無手勝流のノー天気民主政権もそれ以上に憂鬱だ。
 どうしたらいいの! ああ、日本から逃げ出したい!

 この谷岡とか言う女性議員のしたり顔を見ていたら、虫も殺さぬ顔をして、怪しげな団体の郵便代金100億円をチャラにさせた厚労省の女性局長の顔を思い出した。 訳知り顔のひっつめ髪がよく似ている。
 アーやだやだ! 女は嫌だ! 世も末だ!             

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