【伝蔵荘日誌】

2009年2月21日: 世の中勘違いが多すぎる T.G.

 昨日の産経新聞に衆議院議員稲田朋美氏が限定的条件で3年間天下りを認めた政令に対する批判について、“いわれなき中傷”と反論している。  彼女に言わせると、問題になった「改正国公法付則第5条」にはなんの違法性もなく、これを批判するのは世論の迎合、ポピュリズム以外の何物でもないという。 まあ違法性についての反論は(泥棒にも)三分の理としても、コラムの中で「天下り根絶で12.6兆円予算削減が出来ると言う民主党の主張は真っ赤な嘘で、天下り職員の人件費はその1%に過ぎない」と述べているのには呆れた。

 そもそもグリーンピアや、私の仕事館を見れば分かるとおり、天下り用の公益法人自体が国民にとってなんの利益にもならない存在であることが問題なのであって、そこへ天下りした役人に払う給料の多寡を問題にしているわけではない。 天下り役人を受け入れるためだけに、意味もない公益法人を存在させていることが問題なのだ。 勘違いも甚だしい。 勘違いでないとしたらなおさらたちが悪い。

 現役の頃、仕事である省庁の幾つかの公益法人にさんざん出入りした経験がある。 税金を浪費しているだけで、どれ一つとして国民の役に立っていると思えた団体はない。 天下り役人の受け皿の公益法人など全廃して、12.6兆円はもっと有意義なことに使うべきなのだ。 この代議士の認識が自民党議員に共通しているとしたら救いがない。 さっさと政権交代させよう。

 それにしても12.6兆円の1%は1260億円である。 これを役立たずの天下り役人にくれてやるのも業腹ではあるが。

 オバマ大統領が初の記者会見で「日本の失敗に学べ」と宣ったと朝日新聞がさも有り難そうに報じている。 彼が言うには、「90年代の日本は、大胆で迅速な対応をとらなかった。その結果として、彼らは『失われた10年』に苦しんだ」と語り、反面教師として日本の経験に学ぶことが重要との認識を示した。」のだそうだ。

 馬鹿も休み休み言え。 勘違いもいい加減にしろ。 日本はバブルの後遺症を国民が一致協力して10年かけて着実に治癒させたのであり、アメリカが見習うとしたらこの点だ。 日本が失われた10年から立ち直ったのは、小泉や竹中がやった銀行への公的資金注入によるものではない。 長年にわたるゼロ金利政策で、本来国民が得べかりし数十兆円の利子所得が銀行に掠め取られ、それによって不良債権処理が出来たのだ。 これはバブルの後始末に大蔵大臣を引き受けた宮沢喜一のゼロ金利政策と、10年間、文句一つ言わずひたすら我慢した国民の忍耐心によるものであって、断じて小泉や竹中の手柄ではない。

 オバマは日本のように公的資金注入を躊躇せず、迅速に経済を立ち直らせると言いたいのだろうが そんなことで今の壊れたアメリカ経済が立ち直れるわけがない。 この男はどうやら口はうまいが経済は分かっていないようだ。 金融機関に注入する公的資金は税金か国債発行による借金だ。 いちどきに数十兆円もの増税など今のアメリカには出来っこない。 紙くず同然のアメリカ国債など誰も買わない。 不良債権処理に必要な“公的資金”は当時の日本にもなかったし、今のアメリカにもない。 日本は宮沢の“悪巧み”で国民を騙して利子所得を巻き上げ、銀行に移転した。 何と言っても日本国民の金融資産は世界一、1500兆円もある。 利子だけでも膨大な額だ。 銀行は掠め取らせてもらった国民の金でなんとか不良債権処理ができた。 アメリカも日本と同じことをやるしかないが、オバマにはそんな知恵も度胸もない。 もしやったら暴動が起きるだろう。 何と言っても日本とアメリカでは国民の出来が違う。

 麻生内閣の迷走ぶりをあげつらって、テレビ新聞のお抱え評論家やコメンテータ達ははそろって“解散して国民の意を問え”とさかんに煽る。 解散したらどうなるというのか。 今より良くなるとでも言うのか。 麻生や福田や安部より出来の良い政治家がいるとでも言うのか。 民主党の政策が自民より良いとでも言うのか。 これだけマスコミが寄ってたかって悪口雑言を国民に刷り込んだら、選挙をやったら民主党が勝つに決まっている。 それが国民の意を問うことになるのだろうか。 単なるマスコミの愚衆扇動ではないか。 中川前財務大臣の酔っぱらいスキャンダルも、どうやら彼の失脚を狙う財務官僚とその片棒を担ぐ大手新聞が一枚噛んでいるらしい。 彼と同行してワイン付き会食を共にした大手新聞社の“美人記者”の話題がwebで飛び交っている。 その美人記者が、問題の記者会見直前に「面白いことになるわよ」と他社の美人記者に漏らしたと噂になっている。 これではまるでハニーとラップか美人局ではないか。 まさかとは思うが、火のないところに煙は立たない。

 もし大手マスコミが政権交代を願うのなら、紙面できちんとした政策批判をすべきではないか。 それがジャーナリズムの使命ではないか。 酒癖の悪い中川はともかくとして、この5ヶ月、麻生政権が採ろうとした政策のどこがどう悪いのか、きちんと示すべきではないか。 同時に民主党の政策をも論じるべきではないか。 民主党に政権を取らせたら日本はどうなるのか、展望を示すべきではないか。 それもしないでスキャンダルをでっち上げたり、漢字の読み間違いをあげつらったりするだけでは、まともなジャーナリズムとは言えない。 何を考えているのか、勘違いも甚だしい。  おそらく彼らは民主党が政権を取ったら取ったで同じことを繰り返すのだろう。 揚げ足取りとスキャンダルで内閣をいじりつぶすのだろう。 この大手新聞の会長は、以前にも福田、小沢に大連立を仕掛けたり、政治ゴロまがいの行動を繰り返している。 マスコミがでかい面して政局を弄ぶ。 日本はたちの悪いマスコミを持ったものだ。                

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