【伝蔵荘日誌】

2008年1月13日: 若い女性のファッションとお洒落 T.G.

 久し振りに家人とデパートへ買い物に出かけた。 道々、若い女性のスカートが増えたと家人が言う。 言われて辺りを見回すと、短めのコートとショートスカートで颯爽と闊歩する若い女性の姿が目につく。 すらっと形良く伸びた脚のショートスカートは、見ているだけで楽しくなる。

   ここしばらく若い女性のファッションは、おしなべて黒っぽいモノトーンのパンツルックかジーンズで、色気も何もあったものじゃないと人ごとながら思っていた。 暑い夏でも暑苦しいスラックスを履く。 風通しの良いカラフルで涼しげなスカートは、男なら誰しも羨む女性の特権だろうに。 スカートの下に細身のジーンズを重ねて履くファッションも流行らしく、そこここで見かけるが、時代遅れの年寄りには珍奇なスタイルにしか見えない。 何が気に入らなくてスカートの下にジーンズなんか履くのかといつも思っている。

 古今物語集に出てくる久米の仙人は、空を飛行中、川で洗濯をしてる若い農婦の白いふくらはぎに見とれて墜落した。 それほどに女性の足は男にとって魅力的なのである。 モノトーンファッションとパンツルックはそう言う女性の魅力を問答無用で包み隠してしまう。 まったくもって勿体ない話だ。 蓼食う虫も好きずきと言うが、男女の恋愛感情は互いの性的フェロモンが醸し出す錯覚に過ぎないと言う学者の説がある。 だとすると、モノトーンとパンツルックはそう言う錯覚もしくは疑似恋愛の機会を奪い、少子化の一因になっているのかもしれない。 その意味でも、新年早々若い女性のスカート復活はめでたい限りである。

 最近の若い女性達のお化粧とファッションセンスの良さには感心する。 一昔前の、水商売と区別がつかぬどぎつい化粧や体の線を誇示するファッションは影を潜め、若い健康な女性の魅力を目一杯に引き出している。 最近の若い日本女性のファッションや化粧法はアジアの女性にも人気があり、真似されているというが、さもありなん。 仲間内にはアイシャドーやマニキュアは商売女みたいで嫌いだと言う輩がいるが、うちわで扇ぐようなアイシャドーやどぎつい色の爪は別にして、若い女性が精一杯お洒落をしている姿は見ていてほほえましいし、可愛い。

 それに引き替え、日本の若い男のファッションはなっていない。 テレビに出てくるタレントはおしなべてなよなよしていて、女のように眉を描き、例外なく茶色に染めた髪の毛をだらしなく伸ばし、女のように前髪が顔に被さっている。 きりっとした男前はまずいない。 美男ならまだしも、不細工男のロン毛細眉はまるでチンドン屋だ。 タレントだけでなく、スポーツ選手も眉毛を剃って細く描いているのが少なくない。 今年の箱根駅伝は出来損ない平安貴族男のオンパレードだった。 細眉ののっぺり顔がタスキを掛けて走る様はまるで漫画である。 情けないことに甲子園球児にも真似をして細眉にしているのがたくさんいる。 まったく何を考えているのか。 しっかりしろとどやしたくなる。 ナルシストの語源になったギリシャ神話の美神ナルキッソスは、水面に映った自分の顔を見て恋に落ちたと言うが、彼らは自分のみっともない姿を鏡で見てどう感じるのだろうか。 もし自分なら、がまの油のがま蛙のようにたらりたらりと脂汗を流しそうだ。

  テレビで見たホストクラブのホスト達が、どいつもこいつも同じようにだらしなく顔に被さるだらだら髪と作り眉毛。 三船敏郎や高倉健のように「男は歯を見せるな」とまでは言わないが、もう少し男性的魅力を売りにする男はいないものだろうか。 ああいうへなちょこファッションの男にサービスされて、客の女性は楽しいのだろうか。 それとも今の元気な女性達は男の性的フェロモンなんかに惑わされなくなっているのだろうか。 そうだとすると、それも少子化の一因に違いない。 少なくとも日本女性のファッションは魅力的でアジアの女性達に真似されるが、日本男性の馬鹿げたファッションは絶対に真似されない。 ソウルや北京やバンコックやシンガポールで、ましてやニューヨークやパリで、日本の若者のようなぞろぞろ髪の作り眉毛のだらしないスタイルの男性は見かけない。

 日本の若い男性達の奮起を望む!   

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