【伝蔵荘日誌】

2007年5月27日: 埼玉スタジアムでレッズ対マリノス戦を観戦する

 ご近所に浦和レッズの熱烈なサポーターご家族がいて、急に行けなくなったのでよろしかったらどうぞと浦和レッズvs横浜マリノス戦の切符を2枚いただいた。 さっそく家人と出かける。 埼玉スタジアムは同じ市内にあり車で30分。 少し前まで田んぼと畑しかなかったところに先年のワールドカップの際作られた。 近づくとそこら中から赤いTシャツを着た老若男女がスタジアム目差して歩いている。 小さな赤ちゃんを連れたカップルも見かける。 美園駅前の巨大スーパーの駐車場は「サッカー観戦の駐車お断り」と立て看板があるにも関わらず、赤シャツドライバーの車でひしめいている。 当方もやっと一隅見つけて車を“違法駐車”し、スタジアムへ向かう。

 野球は時々見るが、プロのサッカーを観戦するのは初めてである。 場内はほとんど満席。 場所柄ほとんどが赤シャツ軍団で、マリノスの青シャツサポーターはほんの一握りしかいない。 我々のように赤でも青でもないウエアだとやや肩身が狭い気分である。

 初めてのサッカー観戦の感想としては、案外紳士的で物静かなものだということだ。 数万人のサポーターが歓声を上げるわけだから物静かと言うのは変だが、皆座席にきちんと座って、秩序だった応援をしている。 罵声を飛ばしたり、悪態をつくような光景は最後まで見かけなかった。 終わった後も大行列は物静かに駅へ向かって歩いてゆく。 何の混乱もない。 テレビでよく見るフーリガンや興奮したサポーターは別世界のようだ。 観客や選手ががあまりにも礼儀正しく冷静で、率直なところやや面白味に欠ける。 カタルシスを感じるにはほど遠い。 日本のサッカー観戦はいつもこうなのだろうか。

 試合そのものが1対1引き分けという平板なものだったからなおさらその感がある。 前半は0対0、後半5分にマリノスの山瀬が左サイドからのミドルシュートであっけなく先制すると、21分にレッズのネネがフリーキックをボレーシュート気味に決めて同点とし、そのまま波乱もなく試合終了。 レッズは大きな体のワシントンがたびたびゴール前の肝心な所でヘマをし、得点を逃していた。

 試合が大味だったのはプレーが温和しすぎたこともある。 両軍合わせてイエローカードが5枚切られていたが、格闘技と言われるサッカーの肉弾相打つラフプレーはまったく見られない。 ボールを持つとすぐにパス回しをする。 前が空いているのだから、行けるところまでドリブルで持ち込めばいいと素人考えで思うが、まずそうしない。 とにかくボールを持ったらパスである。 1対1のまま残り時間が少なくなっても、両軍ともパス回しばかりしている。 あれは戦術的にはどういうことなのだろう。 ワールドカップで、ゴールの真ん前でパスを受けた柳沢が目の前のゴールに球を蹴らず、右方の味方選手にパスした例のシーンを思い出した。 日本選手はパスが好きなのか。 パス回しがきれいに決まってゴール出来ればそれはスマートだろうが、これではワールドカップで勝てそうもない。 マンチェスター・ユナイテッドの悪ガキルーニーのように、審判の目の届かないところで相手選手の股ぐらを踏んづけるような“闘志溢れ過ぎ”のラフプレーもサッカーの魅力だろう。 

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