2007年5月23日: 年間の交通事故死者数の記事

 今朝の朝日新聞のwebニュースを見ていたら、次のような記事を目にして驚いた。
「05年の交通事故死者数は前年比で487人減の6871人となり、56年以来49年ぶりに7000人を下回ったことが、23日に閣議決定された交通安全白書でわかった。 一方、鉄道交通事故の死傷者数は、昨年4月のJR宝塚線(福知山線)脱線事故や同12月のJR羽越線脱線・転覆事故などで、前年の倍以上にのぼる1358人となった。」

 いくら何でも誤報だろう。 “56年以来49年ぶり”とあるから記者は1956年のつもりで書いているのだろうが、そんな馬鹿なことはあり得ない。 少し考えれば誰でも分かることだ。 おそらく昭和56年の誤りである。 朝日新聞には昔からこういう鬼面人を驚かす誤報や捏造記事が絶えない。 一昔前のサンゴ落書き記事など今もって語りぐさだ。

 1956年を振り返るとこういう年である。 戦後11年目。その年の7月に発行された経済白書で「もはや戦後ではない」と書かれて話題になった。 言い換えればまだ敗戦の残滓を引きずっていた時代と言うことだ。 総人口は8900万人。今の4分の3である。 生活は苦しいのに空前のベビーブームで毎年人口が80万人増加し、政府は産児制限を奨励した。 今の少子化問題から見ると夢のような話だ。 少し前の朝鮮戦争特需で潤ったものの経済は低迷、輸入急増で外貨準備は6億ドルまで落ち込む。 為替レートはドル360円に固定されていた。 8500億ドルと世界一の外貨準備を誇る今から見ると隔世の感がある。

 自動車について見ると、昭和30年の自動車保有台数はわずか150万台。 今の50分の1に過ぎない。 しかもそのほとんどはトラックで、国産乗用車など皆無に近かった。 トヨタ、日産が初代カローラ、サニーを発売してマイカーブームが起きるのはその10年後の昭和40年である。 仮にこの年に7000人の事故死者が出たとすると、人口比、保有台数比で見て今の7、80倍に相当する猛烈な数である。 凄まじい交通地獄社会だったことになる。 少し考えればいくら何でもおかしいと気が付くはずだ。 これを書いた記者はどういう社会科教育を受けてきたのだろう。 デスクはどういう記事校閲をしているのだろう。

(これを書き終えてもう一度http://www.asahi.com/を見たら記事が見事に消えていた。 さすがにおかしいと気付いたのだろうが、訂正記事の一つもない。 このほおかむりはかってのサンゴ落書き記事や文革大絶賛や教科書問題や北朝鮮拉致否定の時とまったく同じ。困った新聞だ。)

目次に戻る