【伝蔵荘日誌】

2005年5月27日: 団地の自治会 T.G.

 久し振りに団地の自治会総会に出席した。 大して難しい議題があるわけでもなく、小一時間で済むと思ったら大間違い。 3時間近くかかった。

 4月初め、430世帯住んでいる団地の自治会役員を引き受けた。 20年前、超多忙の働き盛りに一度やったことがある。 たいした負担ではなっか記憶があり、気軽に引き受けたのが大間違い。 やめておけば良かったと後悔しきりである。

 以前は住民は自分も含めてほとんどが30〜40台の壮年。 自治会も必要最小限のことをビジネスライクにてきぱきと進められた。 今は大違いである。 住民のほとんどは60過ぎのリタイア族ばかり。 その年寄り連中が次々に訳の分からぬクレームや要求を持ち込んでくる。 大方筋の通らぬどうでもいい話ばかり。 そのたびに我々役員はきりきり舞いである。

 1例を挙げると、2ヶ月に1度の清掃デーというのがある。 団地を5ブロックに分け各々の清掃区域を決めている。 「うちの区域は公園があって大変だ。隣のブロックと交代にしろ」と、70近いじいさんが血相変えて怒鳴り込んでくる。 猫の額のような公園である。  別にたいしたことはない。この30年、一度も問題になったことはない。 周囲に聞くとほとんどの住民は今のままで結構という。 だからと説得しても聞き入れない。 近所のシンパの爺さん婆さんを何人か抱き込んで騒ぎまわる。 相手にされないとあれこれ嫌がらせをする。 暇だけは腐るほどあるから始末に負えない。 お気の毒に元大手企業の役員だったまじめな自治会長さんは心身症気味である。 これは極端な例だが、他にも毎日のようにわけの分からぬ理不尽な話が持ち込まれる。

 少子高齢化時代は活気はない代わりに穏やかでのんびりした社会になると想像していた。 大違いである。 暇を持て余した老人達が次々に愚にもつかぬご託を並べ、あれこれ周囲を悩ませる。 ご近所では嫌気がさして引っ越す人も出たという。 自治会は多数決の民主主義で運営されている。 今の60代は戦後民主主義教育の一期生である。 その連中がまったく民主主義を身につけていない。 年寄りの知恵や思いやりなどかけらもない。 戦後教育の失敗か、はたまた老醜の極みか。

 団地が日本の高齢化社会の縮図だとすると、この先あまり良い世の中は期待できそうもない。

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