「鬼目ナット」
ヒノキ棒で肋骨を押さえるように船底に接着する
船体カーブのしつけ
数時間、水につけたヒノキ棒を図面のカーブに沿って、少しずつ曲げながら、台板に「カリ釘」で止める
#5蒸気エンジンはボイラーも一体となった船外機です。 今回はこのエンジンを搭載するオープンボートの製作に挑戦します。 模型ボートの製作は子供時代以来ですが、組立キットではなく材料の切り出しからの製作は初めてとなります。 とりあえず、船の大きさと、エンジンパワー、スクリューの大きさとのバランスを体感することが今回の目標です。
下穴をあけ、打ち込む
カリ釘
艤装部品の取り付け
ラッカーシンナー
ラッカーサーフェーサー
ラッカーパテ
紙やすり(耐水ペーパー)
塗装はクラシック感を出すため、船体内部はチーク材色のウレタンニスで、船体外部はクリーム色ラッカーで仕上げました。 図12、図13に完成した船体を示します。
生じるすきまをうめる為、棒の先端を細くする
側板は上部の直線部分は二次元のカーブなので容易に貼れますが、船首の船底に近づくにつれ、カーブは三次元となり、貼ることが難しくなります。 貼り方は上部も下部も、基本的には同じですが、船底いくと棒の先端を細くするなどして生じるすきまを埋めていきます(図9参照)。 なお側面は、あとでパテで埋め、紙やすりで修正するので、この時点では多少のデコボコがあっても神経質になる必要はありません。 側板貼りを完了した船体内部の状況を図10に示します。
側面板のカーブはその位置により少しづつ異なります。 本来は位置に応じたカーブでクセを付けるのがベストでしょうが、同じ図面からクセを付け現物の肋骨に合わせ、手で修正しながらバイスとカリ釘で止めながら側板を貼っていきます(図7、図8参照)。
側面板
底板
背骨
船底
肋骨
方眼紙にフリーハンドで図面を作成。 ただし、船体の側面カーブは肋骨できまる為、カーブは定規を曲げて描き、図から各断面を採寸する。 背骨と肋骨ができれば、あとは現物合せで側板を貼る。
材料の切り出しにあたって、方眼紙を貼り合わせて実寸の図面を作成します。 肋骨図面作成には船体カーブに応じた断面を描く必要がありますが、船体カーブはプラスチック物差しを曲げて曲線を描き、肋骨を配置する位置を記入、図面上から各断面の寸法を読み取ります。 工作上は背骨付近のカーブ処理が難しいところですが、工作を簡単にする為に船底は平面とし、底面から側面に至るカーブは肋骨の作成が容易になるよう、どの断面でも同じ寸法の円弧となるようにしました。
なお、背骨と肋骨の材料は4mmと6mm厚のシナベニアから切り出しています。 肋骨の切り出しは大変そうに見えますが、金属材料の切断に使っているバンドソーに木工用の歯
(糸鋸)を装着することで簡単に切り出すことができました。
1〜2時間後に「カリ釘」を外すとカーブは固定される。 釘をはずしても、カーブは戻らないが、多少のカーブ修正は可能。
側板貼りが完成した船体はカンナ、ナイフ、ノミ、紙やすり等で仕上げ、すきま、へこみはラッカーパテ(タミヤのベーシックパテを使用)で埋め、紙やすりで平にならします。その後、下塗りとしてラッカーサーフェーサーを数回塗り、耐水紙やすりで水をつけながら削り、仕上げていきます。 図11に下塗りした状態を示します。
船首部のカーブ
カーブをつけるにはヒノキ棒を風呂の残り湯に数時間つけ柔らかくします。 作業台に図面を置き、棒を少しづつ曲げながら、図面のカーブに沿って「カリ釘」で止めていきます(図5参照)。 1〜2時間後に「カリ釘」をはずせば、カーブは固定します。 この状態でも手で修正できるのであまり神経質になる必要はありません。 しつけられたヒノキ棒はフレームに合せながらボンドで接着していきますが、接着剤が乾くまで、バイス、カリ釘等で固定しておきます(図7、図8参照)。
まず肋骨を船底に接着します。 肋骨はそのまま船底接着しますが、取り付けが直角となるよう図6に示すよう角棒で両サイドを挟み、同時に強度も高めます。 側面は縦横三次元にカーブとなることから、縦横方向に曲げやすい5mmのヒノキ角棒を並べてつくります。 側面はまず、最上部にあたる部分を接着、図4に示すフレームを作成し、その後、カーブをしつけてあるヒノキ棒をフレームにあわせボンドで貼っていきます。
肋骨
船体の形と大きさですが、#5蒸気エンジンは縦型で重心が高いことから、船尾は蒸気エンジンのおさまりの良い切り妻形とし、重心が高くても安定を確保できることを考慮して船幅が広めの構成とします(図1参照)。 船体のつくりは模型ボートでは一般的でもある、船の骨格となる背骨と肋骨を組み上げ、側板を貼っていく工法で作ります。
エンジン、ラジコン受信機、サーボモータ等部品の船体への取り付けはビスで取り付けることとし、ナットを船体側に埋め込みます。 ナットは、木片に下穴をあけ、図15に示す「鬼目ナット」を打ち込んだものをボンドで船体に接着しています。 図14に艤装品取り付け用のナットを、図15に船体上面図を示します。 なお、艤装部品の取り付け状況はこちら(船外機#5蒸気エンジンを搭載する船体を製作 その2)を参照ください。
下塗りと仕上げ