Title9-3.GIF (2758 バイト) 『愛の年代記』             

[ 参考書籍 ]

〜 読書記録 〜

『愛の年代記』

塩野七生著

新潮社 2003年9月25日発刊

目 次

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大公妃ビアンカ・カペッロの回想録

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ジュリア・デリ・アルビツィ

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エメラルド色の海

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パリシーナ公爵夫人の恋

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ドン・ジュリオの悲劇

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パンドルフォの冒険

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フィリッポ伯の復讐

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ヴェネツィアの女

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女法王ジョヴァンナ

概 略

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大公妃ビアンカ・カペッロの回想録

ヴェネツィア貴族の娘がフィレンツェの男と駆け落ちする。駆け落ちした二人にはヴェネツィアから懸賞金をかけられ、落ちのびた先のフィレンツェの夫の家でも冷遇される。しかし、メディチ家の若い当主フランチェスコにみそめられ夫を持つ身でありながら、その愛人となる。夫や舅、姑はフランチェスコから支援を受け、愛人関係を黙認した。やがて夫は他の未亡人との関係を持つが、当主の愛人であるヴェネツィア女の夫との関係を不名誉と思ったその未亡人の家の男たちに夫は殺された。ビアンカが黒幕であるとの非難との
噂も流される。当主フランチェスコの正妻はドイツ皇帝の息女であったが、6人の子供を残し、30歳で死去する。フランチェスコは周囲の反対を押し切って、ビアンカを妻に迎えるが、ビアンカに懸賞をかけたヴェネツィアもビアンカをヴェネツィア共和国の息女としての地位を与え、フィレンツェ当主であるフランチェスコに恩を売る。こうしてフィレンツェでトスカーナ大公妃となる。何年かの後、フランチェスコ、ビアンカはともにマラリアと思われる病に倒れ死去した。ビアンカの息子へ大公位を引き継ぐことを遺言として残したが、フランチェスコの弟の枢機卿は遺言を無視し、還俗して自ら大公位を継いだ。ビアンカを夫へ助言し、先妻の子供の養育にも熱心であったという。ビアンカには批判もあるが、それはおそらく後を継いだフランチェスコの弟によるものと思われる。
シンデレラストーリーとともに最後は悲劇的に終わるが、フランチェスコの“愛”があることで救われる。

 

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ジュリア・デリ・アルビツィ

結婚したが、初夜を迎えられず、離婚したマントヴァ公爵は、再婚にあたって男の性的能力に原因がないことを証明するために、実験台になった女性の話。当時は貴族の庶出の娘などは貴族の家系であれば、持参金がないと結婚できなかった。そういう場合、尼僧院に入って召使のような生活をしなければならなかった。そんな彼女にこの話が持ち込まれる。彼女は受け入れるしか道がなかった。代わりに持参金と夫が用意されたという。その後、屈辱の思いとともに、初めての体験の相手を恋しながら生き、一生を終える。

 

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エメラルド色の海

サヴォイア公国がトルコの海賊ウルグ・アリに攻められ、多くの兵が捕虜となった。ウルグ・アリは元々イタリア人漁師の子であったが、戦争でトルコに捕らえられ奴隷船で働いていた。やがて頭角を現し司令官となっていった。ウルグ・アリは捕虜の身代金を要求したが、金が揃うまでサヴォイアに駐留していた。その間、フランス王家の出である王妃への面会を求めてきた。このときに王妃になりすまして面会に応じたのがピアンカリエリ伯爵夫人であった。恐る恐る会ってみると、紳士的で魅力的な男性であり、ピアンカリエリ伯爵夫人は恋することになる。その後、王妃でないことを聞いたウルグ・アリからは改めて伯爵夫人への贈り物が届けられる。その後、地中海の支配圏をめぐって、キプロス島攻防戦、レパントの海戦などキリスト教圏各国とトルコとの壮絶な戦いが繰り広げられる。その中でウルグ・アリはトルコ海軍の司令官にまで上り詰め、最高の栄誉の中で一生を終える。その前にピアンカリエリ伯爵夫人は死亡しており、この恋は実ってはいないが、南イタリアではウルグ・アリはイタリア女性の腕の中でキリスト教に帰依して死んだという言い伝えがあるという。

 

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パリシーナ公爵夫人の恋

15世紀初頭、フェラーラ公国を治めるエステ家の当主ニコロ。 その2番目の妻パリシーナと長男が不義密通し、やがてそれが露見し、二人とも処刑される。当時はそれが当然の処置であった。

 

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ドン・ジュリオの悲劇

同じくフェラーラ公国エステ家の16世紀の話。1505年に29歳で領主となったアルフォンソは、チェーザレ・ボルジアの妹(教皇アレサンドロ6世の娘)を嫁に迎え、また姉イザベッラはマントヴァへ嫁ぎ、政治家として、学問芸術の保護者になる。末弟イッポリートは僧職にありながら、政治、軍事に活躍し、兄アルフォンソを助けたが、三番目の弟ジュリオは美男で宴では活躍したものの、兄である領主の助けにはならなかった。アルフォンソに嫁いだルクレツィア・ボルジアについてきた女官のアンジェらに、この二人が恋をしたことから諍いがはじまる。

イッポリートは嫉妬により、部下に命じてジュリオの目をえぐらせようとした。幸い失明は避けられたが、自慢の顔に傷を負うことになる。長男アルフォンソはイッポリートが枢機卿で教皇の臣下でもあり、また自分を補佐してくれるイッポリートに厳しい処置ができない。ジュリオは二番目の兄フェランテをまきこんで、アルフォンソとイッポリートに対して反乱を企てるが、露見してしまう。他の参加者は斬首されるが、この二人は特別の温情を以って幽閉と決まる。他が処刑され、首謀者が終身刑というのは理不尽だが、時代としてそういうこともあるのだろう。ジュリオは80歳を過ぎてから恩赦により出獄する。

 

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パンドルフォの冒険

色男が火遊びとして年上の人妻と恋をしたが、その女は本気になった。だが、その女が病気で死ぬとき、男を他の女にとられたくないと思い、計略をめぐらせて自分の衣装箱カッサパンカにとじこめて、遺言として自分の棺桶といっしょに埋めてくれるように頼む。しかし、それを担いでいた親類がやけに重たいので、金めのものが入っていると思い、埋葬の夜、掘り起こした。色男は九死に一生を得る。

 

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フィリッポ伯の復讐

 

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ヴェネツィアの女

 

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女法王ジョヴァンナ

 

感 想

 

2003.11 読了

参考資料