父が法王アレッサンドロ六世に選ばれるところから物語は始まる。しかしながらフランス王シャルルは、ナポリ王国の継承権を主張し、軍事力にものを言わせてイタリアの扉を蹴破ってきた。イタリアの有力都市国家の勢力均衡を図
る時代とはルールが変わりつつあった。
そんな中、父の後押しを受けて若くして枢機卿に登っていたチェーザレは、弟の騎士としての活躍もあってか、弟の死を機会に、僧侶としての地位を捨て、剣を握るという異例の転進を遂げた。一説にはチェーザレがこの弟を暗殺したとも言われている。
そして政略結婚により、フランス王ルイ十二世の娘婿となり、その力と、ローマ法王の土地であるという大義名分を盾に、法王領を制圧し、ロマーニャ大公として支配領域を拡大した。そしてそれが成功していれば、結果として、フランス、スペイン、神聖ローマ帝国など諸外国からイタリアを守ることになったかもしれない。しかし、このような躍進は敵を多く作ることにもなる。イタリアに影響力を持とうとする各国からの干渉もある。伝染病により、父法王を亡くし、自らも同じ病に倒れ、反対派により追い落とされてしまう。その後幽閉されるが、脱走し、義兄をたよって、スペインからナヴァーラ王国へ逃れ、そこで再起を目指すが、あえなく戦死することとなる。