Title9-3.GIF (2758 バイト) 『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』             

[ 参考書籍 ]

〜 読書記録 〜

『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』

塩野七生著

新潮社

目 次

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第一部 緋衣(1492〜1498)

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第二部 剣(1498〜1503)

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第三部 流星(1503〜1507)

メイキング『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』

概 略

父が法王アレッサンドロ六世に選ばれるところから物語は始まる。しかしながらフランス王シャルルは、ナポリ王国の継承権を主張し、軍事力にものを言わせてイタリアの扉を蹴破ってきた。イタリアの有力都市国家の勢力均衡を図 る時代とはルールが変わりつつあった。

そんな中、父の後押しを受けて若くして枢機卿に登っていたチェーザレは、弟の騎士としての活躍もあってか、弟の死を機会に、僧侶としての地位を捨て、剣を握るという異例の転進を遂げた。一説にはチェーザレがこの弟を暗殺したとも言われている。

そして政略結婚により、フランス王ルイ十二世の娘婿となり、その力と、ローマ法王の土地であるという大義名分を盾に、法王領を制圧し、ロマーニャ大公として支配領域を拡大した。そしてそれが成功していれば、結果として、フランス、スペイン、神聖ローマ帝国など諸外国からイタリアを守ることになったかもしれない。しかし、このような躍進は敵を多く作ることにもなる。イタリアに影響力を持とうとする各国からの干渉もある。伝染病により、父法王を亡くし、自らも同じ病に倒れ、反対派により追い落とされてしまう。その後幽閉されるが、脱走し、義兄をたよって、スペインからナヴァーラ王国へ逃れ、そこで再起を目指すが、あえなく戦死することとなる。

 

感 想

ルネサンス期の風雲児である。十字を剣に持ち替え、諸勢力がひしめき、それゆえ諸外国から干渉されるイタリアに、法王の力を、そして軍事大国フランスの力を利用し、自らの支配を確立しようとする。ルネサンス時代のイタリア貴族というと優雅なイメージが先に立つが、権謀術数に生きたチェーザレも、不利な状況には果敢に火中に飛び込んで活路を開いてきた。そして最後は前線の指揮官として、また一戦士として敵陣へ切り込む必要があった、そんな時代であったのだろう。

 

2003.07 読了

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