ナイフの研ぎ

 彫紙アートを始めたころはナイフの刃は消耗品と考えていました。しかし、先生から研げますとの言葉を いただき、いろいろ試すことになりました。紙を切るのはあらゆる方向に向いている繊維を切断することに なり刃物にとって非常に厳しい条件となります。さらには長時間の使用に耐えなければなりません。新品の ナイフの刃で産毛を剃ってみると剃ることはできませんでした。
 そこで切れ味を確保する方法としての研ぎと食い込みの良さがあるナイフの鋭さを確保する方法はないかとの 思いからいろいろと試してみました。彫紙を進めて10〜20分程度で小刃は切れ味が落ちますのでこのタイミン グで研ぎます。これにより無理な力がナイフにかからないので先端部の折損が防げます。小刃の研ぎは早め早 めの処置が刃を長持ちさせ、さらには切れる刃を確保できます。
 ここにある内容は、管理人の試しですので利用される場合は個人の責任でお願いします。
 この試しには彫紙アート・イーストの先生方のご協力をいただきました。

ナイフ詳細図
---ナイフの詳細図---

ナイフは特殊鋼でできていて左の図のような形状をしています。先 端部が鋭く小刃は30度の角度と思われます。産毛は切れないのでカミソリの刃のような鋭さはありません。彫紙 アートでは紙を長時間切るのでカミソリと同程度の切れ味が欲しいところです。

パレットナイフによる研ぎ
---パレットナイフによる研ぎ---

 #1500や2000の紙ヤスリで研ぐと小刃の減りが早く一時的に切 れるが切れが長続きしない。また、安定した切れ味が確保できませんでした。刃の減りが少なく、容易に 研ぐ方法が金属面どうしをすり合わせることでした。この方法は効果ありです。しかし、この方法のみを続けている と小刃が無くなり切れなくなります。チョイ研ぎに便利です。

アートルータによる研ぎ
---アートルータの研ぎ---

 アートルータに取り付けたダイヤモンドヤスリ で研ぎ、次にセラミックヤスリで研ぎます。短時間で先端部の鋭さが戻ります。





ルーター用ヤスリ
---ルーター用ヤスリ---

 100均で購入したダイヤモンドヤスリとマンドレル。 ルータ付属のマンドレルにセラミックヤスリを取り付けています。






#400の布ヤスリ
---#400の布ヤスリ---

 ルータによるナイフ背の研ぎが終了したら軽くこの ヤスリで研ぐと完璧です。また、ルーターまで使用しなくてもいい時は彫紙の途中でもこのヤスリで 軽く研ぐと先端の鋭さが戻ります。#600程度のヤスリでもOKです。




#6000の砥石1
---#6000の砥石1---

 ナイフの刃の研ぎに行きついたのはやはり砥石でした。 #1000、#3000、#6000、#8000と試しましたが#6000が安定して切れ、しかもそれ程の時間を要しない で研げました。砥石は少し高価ですがカミソリの切れ味で産毛が切れます。小さな円も楽でした。



#6000の砥石2 ---#6000の砥石2---

 研ぎのコツは、@小刃を研ぐこと。A小刃の研ぎ角度の維持 。B小刃を砥石に押し付け背の方向に引き研ぎ。C片面5〜10回程度研ぐ。D両面の研ぎ回数は同じにして片べ りを防止。これでカミソリのように切れます。包丁を研ぐように往復で研がないことです。往復での研ぎは荒 い刃となります。
ナイフの刃の研ぎの順番はまず先端の背研ぎです。鋭さの様子を確認して#400の布ヤスリやダイヤモ ンドヤスリのついたルータ等により研ぎます。次に小刃両面を@〜Dの要領で#6000で研ぎます。

ダイヤモンド刃物研ぎ機 ---ダイヤモンド刃物研ぎ機---

 ナイフの背を削り先端の鋭さを確保するのにルーターに ダイヤモンドヤスリを装着して削っていましたが、たびたびの削りでの作業において削りカスの金属の処理 のため別に容器を用意していましたので手間がかかっていました。また、ルーターの速度によっては刃 がすべり、刃を損傷することがありました。そこで工房で使用していた研ぎ機を持込み机上で削ることにより 刃の復元が素早くなり、1本の刃を有効に使用することができ布ヤスリは不要になりました。簡単、時短です。

刃の比較 ---アートナイフの刃の比較---

 ナイフの刃の比較を一覧にしました。左は新品の刃で 切れ刃の長さは20_。真ん中の刃は切れ味が落ちたため刃の背を削り先端の鋭さを取り戻した刃で切れ刃の長さは19_です。 先端の刃厚が厚い為食い込み幅が厚くなり切れ味はそれ程良くありません。この後刃を研げば切れ味も良くなります。右の刃は少し変形しています。 何度も砥石で研いでいるので切れ刃の長さが16_と短くなっていますが食い込み、切れ味とも良好です。 砥石による研ぎで切れ味が確保されています。1枚の刃を研いで使用すると長時間使用でき、切れ味も良好なことが解りました。

使い捨てスティックヤスリ ---使い捨てスティックヤスリ---

 電動ルータや砥石を使用するのは慣れが必要なため途中で断念された方もおいでです。 そこで、使い捨てスティックヤスリ作製しました。1番のヤスリは#400、2番が#1000、3番が#2000です。刃物を研ぐにはどうしても荒研ぎして 整形し、刃付けの研ぎが必要になります。また、彫紙のナイフ先端は鋭くなければなりません。そこで、1番のヤスリで刃の背研ぎ、2番で小刃などの 整形そして3番で刃付けの研ぎを行ない完了です。少し難しいですし、時間がかかります。


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