立命館宇治中学校の3年生たちが銅板の打ち出し技法で共同制作をしたいということで、ちょっと先生をしてきました。
■方法を考える
もともと私が立命館宇治高校出身であり、また妹も現在立命館宇治高校に通っているということで、この話をいただきました。
打ち出しという技法は銅板を裏から張ったり、表から押さえたりしながら立体的に形を作って表現するという技法です。この技法は簡単にはできませんが、例えできたとしても、個人個人の張る、押さえるの加減を揃えることが不可能に近いと言えます。せっかくの共同制作なので、個人の絵を集めるというものではなく、みんなで一つのものを作りたいと思っていました。なので、なるべく揃わせることができる、もっと簡単な方法を一から考える必要がありました。
この3年生達は修学旅行でオーストラリアに行くということでした。だから、オーストラリアの先住民アボリジニの描く絵やその方法、精神になぞらえて描くということになりました。このことが全てを良い方向に導いてくれました。
アボリジニの描く絵について調べてみると、彼らの絵は3種類に分けることができ、それらの絵のほとんどは、デザイン化したモチーフが点と線と色で表現されていました。色は無理でも、点と線で表現すると思うと金属でもうまくやれるかもしれない、そして、表現するものは、アボリジニがドリームの物語を絵にするということで、個人個人の夢のデザインを集める、この2つの点をどうにかすれば、まとまった一つの絵を金属でうまく表現できるかもしれないと思いました。
そして、考えたやり方は…。
点を何個も何個も打つことで、アウトラインを描く。そのアウトラインの中にもさらに点と線の模様を塗りつぶすように打っていく。そうすると、薄い板を使っているので裏返しにすると打った所全体がふくらんで、立体的に表現されるのです。単調で時間のかかる作業ですが、根気強さと丁寧さがあれば比較的簡単に打ち出しっぽいものができます。
ただ、下書きは原寸大で誰かが描いてしまわないといけないのでちょっと大変です。下書きが合わなければその後の苦労が全て無駄になってしまうので、下書きは絶対に合うように描かなければいけません。
こうして、アボリジニのおかげで比較的簡単な打ち出しっぽい金属の表現方法が考えられました。
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