○ながさき平和委員会 情報開示請求文書第16号
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海上自衛隊立神桟橋の在日米軍
による限定使用に関する協定書

 この協定書は、1989年12月21日付、合同委員会の合意に基づき、合衆国政府代表者と日本国政府代表者の間で本協定は締結され、在日米国軍隊(以下「在日米軍」という。)は、地位協定第2条第4項(b)の規定に基づき、FAC5029佐世保米海軍基地施設の追加として次の施設の提供を受け、使用を認められる。

  施 設 番 号 「FAC5029」
  施  設  名 佐世保海軍施設「海自立神桟橋」

 1989年6月7日付、施設特別委員会あて覚書FSUS−686−3039−DM(N)「FAC5029佐世保米海軍基地施設における海上自衛隊施設の限定使用について」により、合衆国政府は当該施設の限定使用について要請した。
 1989年12月6日付、合同委員会あて覚書 MEMO No.2711 「FAC5029佐世保米海軍基地施設における海上自衛隊施設の限定使用について」による海上自衛隊立神桟橋の米軍の限定使用の提案に、日米両国政府当事者の合意事項に基づき、日本政府は同意した。したがって、下記条件により、海上自衛隊立神桟橋は米軍艦船の停泊の用に供される。

1 目 的
 この協定は、海上自衛隊と在日米軍との間で上記施設(以下「桟橋」という。)
の施設及び区域の限定使用について必要な事項を定める。

2 協定の有効期間
 この協定は、次の事項により廃止されるまで効力を有するものとする。
(1)この協定の締結者間での合意により廃止されるとき。
(2)60日間の事前通告文書をもって、いずれかの側が廃止するとき。
(3)この協定の条件を在日米海軍が履行しないため、海上自衛隊が廃止するとき。

3 規則等の適用
 在日米軍は、地位協定の関連ある条項、本協定の条項及び海上自衛隊佐世保地
方総監又はその指名する者(以下「総監等」という。)が施設及び区域に関して
制定した諸規則、並びにこれらに準ずる事項等を遵守するものとする。

4 限定される施設及び区域
 限定使用される施設及び区域は、付属書第1のとおりとする。

5 使用の通知及び調整
(1)在日米海軍佐世保基地司令官(以下「司令官」という。)は、桟橋の使用を要求する場合、使用開始の遅くとも48時間前までに、使用期間、部隊規模等の概要を海上自衛隊佐世保地方総監部防衛部長(以下「防衛部長」という。)に通知し、調整を受けるものとする。
(2)米軍艦船(以下「使用者」という。)の出入港予定時間が1時間以上変更される場合、司令官は、速やかに防衛部長に通知し、調整を受けるものとする。
(3)使用者が桟橋を使用中、海上自衛隊の緊急の必要性により防衛部長から退去に関する通知を得た場合、使用者は12時間以内に退去するものとする。
(4)桟橋の使用は、海上自衛隊の使用が優先される。

6 桟橋使用上の制限等
(1)使用者が艦船を桟橋に係留する場合、使用者は、海上自衛隊の艦船の運用に影響を及ぼさないよう注意しなければならない。
(2)係留は入船係留とする。
(3)海上自衛隊は、使用者の出入港作業等に対する支援を実施しない。
(4)使用者がソナー発振、潜水作業を実施する場合、司令官は、防衛部長に通知し、調整を受けるものとする。
(5)米軍が桟橋への重車両の乗り入れ、及び荷役作業等を実施する場合、司令官は、防衛部長に通知し、調整を受けるものとする。
(6)桟橋への私有車両の乗り入れを禁止する。
(7)使用者の桟橋の使用に起因する損害及び事故等については、在日米軍が一切の責任を負うものとする。

7 警備
(1)係留中の使用者の艦船の警備は、司令官が司令官の責任において実施するものとする。
(2)司令官は、係留中の使用者の艦船の警備方法等について、防衛部長に通知し、事前に調整を実施するものとする。

8 消防
(1)係留中の使用者の艦船の防火及び消火活動は、使用者が使用者の責任において実施するものとする。
(2)係留中の日米双方の艦船は、係留中の艦船が火災の場合、相互に消火活動を支援するものとする。

9 施設及び区域の維持管理
(1)桟橋の維持管理は、海上自衛隊が実施する。
(2)司令官及び使用者は、桟橋の使用に当たっては十分な注意を払い、適切な管理を行うものとする。
(3)総監等は、司令官からの要請により、係留中の使用者の艦船に対し、可能な範囲内でユーティリティを付属書第2により、適正な対価で提供するものとする。
(4)廃棄物の処理は、司令官の責任において司令官が処理するものとする。

10 協定の改正
(1)本協定は、合同委員会の協定の範囲内において、締結者が相互に合意した場合、
改正することができる。
(2)本協定の締結者は、本協定の解釈上疑義が生じた場合、いつでも相互に調整し、問題の解決に当たるものとする。

11 協定の原文
 本協定の原文は、正文である日本語及び英語により各1通を作成する。ただし、疑義が生じた場合は、英文をもって正文とする。

以上の証拠として当事者は、1992年2月14日に下記のとおり署名した。

海上自衛隊代表
佐世保地方総監の命により
管理部長 1等海佐 鏑木靖夫

在日米軍代表
在日米海軍司令部
施設担当副参謀 海軍大佐 ジョージ J.ウェブ.Jr

福岡防衛施設局代表
施設部長 大澤伸常

米海軍佐世保基地代表
米海軍佐世保基地司令官
海軍大佐 マーチン K.コリンズ


付属書第1

 本付属書第1は、海上自衛隊施設を在日米軍に限定使用させるための協定に添付され、その一部をなすものである。

  在日米軍に限定使用させる施設及び区域

1 施設名
 海上自衛隊立神桟橋

2 施設及び区域
区分 種目 数量 備 考
工作物 橋梁(桟橋) 2個  桟橋諸元等
1 立神1号桟橋
  (L=190m、W=17m、-10m)
  係留能力
  満載排水量;約7,000トン/隻
2 立神2号桟橋
  (L=190m、W=17m、-10m)
  係留能力
  満載排水量;約16,000トン/隻
3 付帯設備
  水道、照明装置、通信装置、電力
  線路、諸作業装置、雑工作物を含
  む。(付図参照)

付属書第2

 本付属書第2は、海上自衛隊施設を在日米軍に限定使用させるための協定に添付され、その一部をなすものである。

1 電力、給水、蒸気の供給
(1)係留中の使用者の艦船に対し電力、給水、蒸気の供給を希望する場合、司令官は、防衛部長と事前に調整を実施するものとする。
(2)使用者へ電力、水道、蒸気を供給中、供給に障害を生じた場合には供給を中止する。
(3)使用者が電力を使用中に電力供給に係る事故が発生し、供給が中断された場合には、使用者は司令官を通じて直ちに海上自衛隊佐世保造修所当直士官(以下「佐造所当直士官」という。)に連絡してその指示を待つものとし、使用者の判断で使用を再開してはならない。
 さらに、使用者側に原因がある場合には、使用者は直ちに障害を除
去し、司令官を通じてその旨を佐造所当直士官に連絡し、その指示を待つものとする。

2 電力
(1)電力線は各バースごとに1系統あるが、使用電気容量は、1系統1,6000A以下とする。
(2)桟橋2基の負荷総量は約2,500kWであるため、司令官は電力使用開始前、防衛部長と調整し、使用負荷量の割当を受けるものとする。
(3)接続端子への接続は、司令官が接続金具を準備し、防衛部長の指定する海上自衛隊員の立会いのもとに使用者が接続するものとする。

3 給水
 給水口への接続は、司令官が接続金具を準備し、防衛部長の指定する海上自衛隊員の立会いのもとに使用者が接続するものとする。

4 蒸気
 蒸気口への接続は、司令官が接続金具を準備し、防衛部長の指定する海上自衛隊員の立会いのもとに使用者が接続するものとする。

5 通信
(1)司令官は、佐世保地方総監部管理部長(以下「管理部長」という。)と調整の後、桟橋の限定使用期間中、在日米軍の費用負担により在日米軍の専用通信ケーブルを桟橋等の共同溝内に共架することができる。
(2)司令官は、防衛部長と調整の後、桟橋の限定使用期間中、海上自衛隊の各端子盤ごとに最大限2回線分までの端子の割当を受けることができる。
 ただし、海上自衛隊の通信回線の所要増、あるいは緊急の必要性等により、海上自衛隊が司令官に割当ててある端子を使用する必要が生じた場合には、司令官は防衛部長から通知を得た後、速やかに端子を明渡すものとする。しかし、海上自衛隊の端子の使用の必要性がなくなった場合には、司令官は防衛部長と調整の後、再び端子の割当を受けることができる。
 ただし、維持整備を実施する場合は、事前に管理部長と調整を実施するものとする。
(4)司令官は、限定使用を廃止する場合、あるいは海上自衛隊側から廃止の通告を受けた場合には、在日米軍の費用負担により、管理部長の指示する程度に原状回復をするものとする。

6 電力、水道、蒸気使用量の把握
(1)使用者は、電力、水道、蒸気の供給を受ける場合、桟橋に係留する各艦船ごとに、司令官が準備した計量器を経由して接続口等に接続するものとする。
(2)電力、水道、蒸気は、使用前後にそれぞれ防衛部長の指定する海上自衛隊員の立会いのもとに計量器を確認し、使用量を把握するものとする。
7 対価の請求等
(1)協定書第9項(3)に基づく対価の請求は、海上自衛隊佐世保地方総監部経理部長が司令官に対して請求するものとする。
(2)対価の請求は月末締切とし、海上自衛隊の請求書に基づき、翌月15日までに現金(日本円)で納入するものとする。
(3)電力、水道、蒸気の使用者の使用量に対する対価の算定は、付紙によるものとする。


付紙

電力、水道、蒸気対価算定基準

1 算定方式
 算定式は使用量×単価とする。

2 電力
(1)使用量
   計量使用量×(1+ライン・ロス)
(2)単価
   (A十B)/C
   A:前年度(以下年度とは日本国政府会計年度をいう。)FAC−
     5029佐世保海軍施設における海上自衛隊の電力使用量支払
     金額
   B:前年度FAC5029佐世保海軍施設における海上自衛隊の給
     電施設に係る海上自衛隊の維持経費
   C:前年度FAC5029佐世保海軍施設における海上自衛隊の電
     力使用量

3 水道
(1)使用量
   計量使用量×(1+ライン・ロス)
(2)単価
   (A十B)/C
   A:前年度FAC5029佐世保海軍施設における海上自衛隊の水
     道使用量支払金額
   B:前年度FAC5029佐世保海軍施設における海上自衛隊の給
     水施設に係る海上自衛隊の維持経費
   C:前年度FAC5029佐世保海軍施設における海上自衛隊の水
     道使用量

4 蒸気
(1)使用量
   計量使用量×(1+ライン・ロス)
(2)単価
   (A十B)/C
   A:前年度FAC5029佐世保海軍施設における海上自衛隊の蒸
     気使用量支払金額
   B:前年度FAC5029佐世保海軍施設における海上自衛隊の給
     気施設に係る海上自衛隊の維持経費
   C:前年度FAC5029佐世保海軍施設における海上自衛隊の蒸
     気使用量

5 ライン・ロス
  ライン・ロスは次のとおりとする。
  電力   0.03
  水道   0.02
  蒸気   0.10
 ただし、上記係数は変更する場合がある。