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大村大野原中演習場 陸上自衛隊:東彼杵郡東彼杵町
土地5,484,680 m2: 建物4,454 m2

【前史】
 県下で最大の広さを誇る雄大な大野原高原は、東彼杵郡東彼杵町と一部は佐賀県嬉野町にまたがる大草原である。千綿川をはさみ南に標高589mの猪見岳、北に492mの琴平岳が相対している。
 1909年に陸軍省が演習場として買収し、区域内の人々は現在の太ノ浦の集落などに移転した。1945年の終戦で大がかりな開拓団が入ったが、46年に米軍に接収されて、再び演習場として使われ55年に自衛隊に引き継がれた。

 


広大な大野原演習場

 大野原演習場は全国に14ある中演習場の一つで、一部は佐賀県嬉野町にまたがっている。 廠舎は中尾郷太ノ浦川水源にある。
 演習場は起伏に富み、樹木はほとんどなく、背丈の低い雑草が戦車のキャタピラに踏み荒らされている。演習時には演習場に入る道は閉鎖され、何ヶ所かある哨所に赤旗と見張りが立つ。


大野原演習場廠舎

 演習場では主には普通科連隊の訓練、高射隊のホークミサイル発射模擬訓練、施設隊の施設構築訓練の他、一部には射撃訓練も行なわれている。また演習場の一画には海上自衛隊大村航空隊のヘリ着陸場がある。
 この演習場を使用しているのは長崎県の陸自部隊だけでない。春日、飯塚、久留米、佐賀などの部隊も使用し、第4師団の演習場となっていることがよくわかる。さらには熊本県の第8師団である健軍駐屯地部隊、佐世保の海上自衛隊までもが使用している。年間の使用日数は約250~300日、約6万~9万人が参加している。


演習場を降りてきた自衛隊トラック

 05年4月、大野原演習場にサマワ郊外の陸自宿営地を忠実に模したという訓練施設が完成した。イラク派兵に向けた総合訓練を行なうためである。この「模擬サマワ」には100近いテントが並び、日の丸が掲げられた。隊員はイラク専用に支給された砂漠色のブーツをはき、灼熱の太陽から身を守る丸いつばのついた迷彩の帽子をかぶる。頭から布をかぶりイラク人警察官に扮した自衛官も。周囲は鉄条網で囲まれ、道路脇の土のうで固めた銃座には機関銃が据えられ、装甲車の上では銃を構えた隊員が防砂用のゴーグル越しに人の出入りを監視。宿営外の道路では、施設部隊が建設機械を使って道路拡張工事を実施した。それだけ大きな不安を抱えていたことがうかがわれる。

大野原演習場使用実績(2003年度 一般訓練)
駐屯地 部隊名 日数 人数 駐屯地 部隊名 日数 人数
大村 第16普通科連隊 94 7,796 小倉 第40普通科連隊 14 6,944
第4施設大隊 67 4,053 西部方面後方支援隊 8 253
竹松 第7高射特科群 50 5,736 小郡 第5施設団 11 4,176
相浦 第5陸曹教育隊 41 8,469 第9施設群 20 2,646
西部方面普通科連隊 43 7,823 久留米 第4特科連隊 25 1,236
第118教育大隊 17 2,068 第4高射特科大隊 6 213
相浦車教 3 116 前川原 幹部候補生学校 43 19,377
対馬 対馬警備隊 4 116 目達原
(佐賀)
第4飛行隊 7 408
福岡
(春日)
第19普通科連隊 28 2,998 西部方面ヘリコプター隊 15 1,108
第4後方支援連隊 20 411 第3対戦車ヘリコプター隊 7 560
第4通信大隊 9 227 別府 第41普通科連隊 5 1,365
第4師団司令部付隊 19 3,506 健軍 第5地対艦ミサイル連隊 3 54
第4偵察隊 15 282 西部方面通信群 4 152
西部方面会計隊 3 108 下志津 高射学校 4 320
自衛隊福岡病院 2 104 海自佐世保教育隊 7 1,009
飯塚 第2高射特科団 2 48 海自佐世保水中処分隊 3 50
第3高射特科群 44 5,599 海自第2掃海隊 1 11
第2施設群 17 1,051 空自第3移動警戒隊 1 6

 68年に大野原高原バスが開通、82年には雄大な大自然の中で、キャンプやいろいろなスポーツもできる龍頭泉「いこいの広場」が開設された。春はゼンマイ・ワラビ、秋にはササグリと、演習の合間にハイキングを楽しむ人が増えている。樹木はほとんどなく、背丈の低い雑草が戦車のキャタピラに踏み荒らされている。演習場を下るとすぐにシャクナゲが満開の人家や畑や鶏舎が点在し、人々の暮らしがある。演習さえなければ本当に静かな山村の暮らしができるのだが.....。