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『平和新聞ながさき版』
欄外100字×4のミニコーナー

2011年12月25日 冬至

ことしの12月22日は冬至。太陽の位置が1年のうち最も低いところにあるため、北半球では昼の長さがいちばん短く、夜がいちばん長い日だ。だが太陽の動きが時期で違うので、日の入りがいちばん早いのは冬至の半月前頃。

森羅万象は相反する陰と陽のはたらきによって消長盛衰するというのが陰陽の世界観。冬至は陰の極み、つまり陽の力がいちばん衰えた状態でこれを機に陽の力が甦る。冬至は太陽復活の日であり、世界各地で冬至祭が営まれた。

長崎市では諏訪神社で無病息災と長寿を祈る恒例の冬至祭があり、冬に不足がちのビタミンを補給するカボチャの煮物が参拝客に振る舞われた。柚子湯に入るのも、旬の柚子の強い香りで邪気を退け、身を清めるという意味合いだ。

さてキリスト教会は12月25日をイエスの降誕日と定めた。これが盛大な冬至祭と融合してクリスマスが生まれた。今年のクリスマス、玄海4号機が定期検査に入り、九州の全原発が停止した。このプレゼントはもう返さない!

2011年12月15日 ベルギー

12月7日、ベルギーで6党連立による新政権がようやく発足した。昨年6月13日の総選挙以降、「政治空白」は世界最長の540日に及んだ。政情不安なイラクでさえ、現政権発足までの空白は総選挙後289日に過ぎなかった。

この異常の背景に北部オランダ語圏と南部フランス語圏の歴史的な対立がある。公用語が異なるうえ93年から2つの行政政府からなる連邦制に移行した。総選挙では南北分離を訴える政党が初めて第1党になり、連立交渉が難航。

首都ブリュッセルは両言語併用地区である。ここにはEU本部があり、09年創設の初代「EU大統領」には当時のベルギー首相が抜擢された。分裂含みのベルギーが欧州統合の要になっているのは、その危機回避能力の高さからか。

ベルギーでは03年に緑の党政権が原発の運転期間を40年とする脱原子力法を施行。しかし09年に前政権が古い3基の10年延長を電力会社と合意した。だが新政権は03年の法律を踏襲し、2015年から原発の閉鎖が始まる。

2011年11月25日 勤労感謝の日

11月23日は「勤労感謝の日」。祝日法によれば、「勤労をたつとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう」という祝日だ。一方、米国の「感謝祭」は11月の第4木曜日で勤労感謝の日に時期も趣旨も近いが両者は別物である。

古くから農業国家であった日本では、五穀の豊饒を神々に感謝する「新嘗祭」が飛鳥時代からの国家行事だった。「新嘗」とはその年に収穫された新しい穀物のこと。新嘗祭は旧暦の下では11月の2回目の卯の日に行われていた。

1873年に新暦が導入されるが、新嘗祭は七夕と同じように新暦11月の2回目の卯の日に行うことになった。その日が23日であり、翌74年からは固定化された。戦後GHQは皇室の関与を禁止し、「勤労感謝の日」に代わった。

それから60年余、日米安保の下で非正規・派遣労働が横行、また穀物自給率は28%にまで落ち込んだ。そしてTPP参加はこの事態を劇的に悪化させること必至である。とても「勤労をたっとび、生産を祝う」どころではない。

2011年11月15日 文化の日

11月3日は1946年に日本国憲法が公布された日であり、48年に「文化の日」となった。祝日法では「自由と平和を愛し、文化をすすめる」ことを趣旨としている。戦争放棄を盛り込んだ新憲法公布を忘れないためといえる。

「文化の日」には皇居で文化勲章が授与される。科学や芸術など、文化の発展に尽くした人の中から原則5人が選ばれる。これは憲法第14条の規定(勲章への特権付与の禁止)から金品等の副賞がない「勲章」という名誉である。

しかし1951年に文化功労者表彰制度ができ、文化勲章受賞者は文化功労者として年金(現在350万円)が支給されるようになった。ノーベル賞作家・大江健三郎は「民主主義に勝る権威と価値観を認めない」と受章を拒否した。

明治時代の11月3日は、明治天皇の誕生日を祝う「天長節」だった。しかし昭和2年、明治天皇の功績を偲ぶ祝祭日「明治節」として復活し、1947年まで続く。現在でいう「昭和の日」だ。日本の光と影が交錯する日でもある。

2011年10月25日 再び原子力の日

10月26日は「原子力の日」。茨城県東海村で沸騰水型の動力試験炉JPDRが日本で初めての原子力発電に成功した日である。JPDRは12年半の運転の後、10年間の冷却。その後10年かけて日本初の解体工事が行なわれた。

毎年の「原子力の日」には関係機関や企業等で記念行事が行われている。93年から文科省と経産省(資源エネルギー庁)は「原子力についての理解と認識を深めていただくことを目的」としてポスターコンクールを実施してきた。

08年の応募テーマは「ゆこう!原子力とうつくしい未来へ。」原子力は必要不可欠で安全だという刷り込みを子どもたちに行なってきた。その文科省が福島の子どもは年間20ミリシーベルトまで安全と通達を出し、後に撤回した。

さて4600万円の予算が計上されていた今年のコンクールは福島第一原発事故の影響で中止となった。しかしこの時期だからこそ、推進してきた側に「原子力についての理解と認識を深めていただく」ために実施すべきだった。

2011年10月15日 免疫

毎年10月初旬はノーベル賞ウィークだ。残念ながら今年は日本人の受賞者はゼロで新聞報道はベタ記事だった。賞の重みは性別や人種、国籍に無関係、誰が取っても同じなのに日本人の受賞かどうかで報道の仕方は雲泥の差だ。

今年のノーベル医学生理学賞は「免疫」の基本的な仕組みの解明に貢献した3人に贈られた。免疫とは生物が自分にとって有害と思う「異物」を排除する防御機構のこと。その免疫反応が過剰に起こると「アレルギー」となる。

核兵器は人類にとって、その生存を脅かす最大の異物である。それに対する拒絶反応を核保有国は「核アレルギー」と称する。「核アレルギー」のことで私たちは決して苦しまない。人類を守ろうとするごくありふれた免疫反応だ。

ビキニ被災など、「病的なまでに敏感」な日本人に対する「最善の治療法」として原発という新たな異物が導入された。核兵器も原発もいらない!という世論をワクチンにして「異物」をこの世から追い出し、健全な地球を取り戻そう。

2011年09月25日 秋分の日

日中はまだ暑いものの、朝晩はめっきり冷え込むようになり、軌を一にしてヒガンバナが咲き始めた。9月23日は彼岸の中日、秋分の日でもある。「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」ことを趣旨とする国民の祝日だ。

地球から見た太陽の方向が地球の自転軸と直角になる「時」が年に2回ある。この「時」を含む日が春分の日と秋分の日で、太陽は真東から昇り、真西に沈む。国立天文台が計算し、前年の2月1日付の官報で正式に確定する。

1979年の秋分の日は9月24日で、80年から今年までは毎年9月23日だった。来年は116年ぶりに22日になる。20世紀は23日が63回、24日が37回だった。21世紀は計算上、22日が42回、23日が58回になるらしい。

秋分の日の日付がこれだけずれるのは、地球が太陽の周りを365日と6時間弱で1周するため。400年に97回、うるう年で暦を調整しているからだ。国民の祝日が人為的にではなく、大自然によって定められるのは感慨深い。

2011年09月15日 セシウム

福島第一原発の事故でまき散らされた放射性セシウムが大問題となっている。セシウムは約30℃で液体に、約670℃で気体になる非常に揮発しやすい金属だ。そのため、溶けた核燃料から大量の放射性セシウムが放出された。

放射性のセシウム137は放射線を出して、放射能を持たないバリウムに変わる。その分だけセシウム137が減ることになるが、半分になる速さは約30年の半減期で決まっていて、数千度の溶鉱炉に入れても、全く変わらない。

福島第一原発では10万トン以上の放射能汚染水が建物内部に溜まっている。東電はセシウムを吸着しやすいフィルターに汚染水を遠し、除去を進めている。逆にフィルターに濃縮された放射性セシウムはどう処分するのだろう。

この事故で放出されたセシウム137は広島原爆の168倍と報道された。殺人兵器による被害と原発被害をセシウムで比べられるのか。一瞬で巨大なエネルギーを出す核兵器と大量の「死の灰」をため込む原発は危険性の質が違う。

2011年08月25日 スマート

「スマート」ばやりである。スマートフォンは直訳すれば「賢い電話」。しかし実態は電話機能付き携帯コンピュータに近い。スマートフォンといえども災害時には通じない。このとき、インフラがないと何もできないことに気づく。

長崎スマートカードは県内6バス会社と長崎電気軌道、松浦鉄道で相互利用できるプリペイドカード。さすがにJRには乗れない。小銭を用意しなくていいが、料金をあまり意識しなくなる。値上げされても抵抗感が薄れる!?

JR東日本が発行しているSuica(すいか)は首都圏の私鉄・バスにも乗れ、買い物にも使える。博多駅でもJRに乗れる。しかし新幹線には乗れず、普通電車を乗り継いでも東京駅では現金払いとなる。分割民営化の弊害が見える。

いま注目を浴びているのがスマートグリッド。グリッドとは送電網のこと。需要と供給のバランスをリアルタイムに調整し、効率的な電力供給を行う仕組みだ。だが無駄な需要を減らす社会構造をつくる方がよっぽどスマートだ。

2011年08月05日 花火

7月30・31日、長崎市では恒例の「みなとまつり」が水辺の森公園で開かれた。水に溶ける自然素材を使ったエコ花火が2日間で計8000発打ち上げられた。東日本大震災に連帯して花火打上げ中の省エネも呼びかけられた。

花火は英語でfireworksという。まさに火の作品=芸術といえる。火薬が燃えて出るエネルギーをナトリウムやストロンチウムなどの入った化合物が光のエネルギーに換えている。うたかたの光の演出に職人は技術の粋を込める。

花火は日本の夏の風物詩だが、諸外国では趣が異なる。除夜の鐘のように、しかし騒々しくカウントダウン花火で新年を迎える国々。中国は春節(旧正月)に爆竹と花火でにぎわう。米国は独立記念日に各地で花火大会が開かれる。

米国の花火はほとんどが中国製で、昨年の花火輸入額2億ドルのうち97%を占める。いまや米国にとって史上最大の赤字相手国となった中国は手にした外貨で急激なインフラ整備を進めている。高速鉄道の事故の背景がここに。

2011年07月15日 再生可能エネルギーの起源

全てのものは引きあうと言ったのはニュートン:万有引力の法則だ。邪魔をする力がなければ物体は次々と合体してだんだん重くなっていく。たとえ軽い水素であっても大量に集まれば内部は周囲から押されて相当な高温になる。

中心が1億度を超えると水素が核融合を起こして大量のエネルギーを出し、輝き始める。太陽の誕生だ。核爆発のように飛び散らないのは猛烈な重力で押さえ込まれているから。それでも表面は6000度という灼熱地獄の世界だ。

太陽の核融合エネルギーは光の形になって宇宙に広がる。太陽光は直接、電気エネルギーに替えることができる。地球に届いた太陽光は熱エネルギーに変わり、地域に温度差と気圧差を生み出す。その差で空気が動き、風となる。

「再生可能エネルギー」のほとんどは核融合エネルギーの成れの果ての姿だ。例外は地熱のエネルギー。これはマントル内の放射性物質(カリウム、トリウム、ウラン)が出す放射線のエネルギーが熱エネルギーに変わったもの。

2011年06月25日 核と原子力

水素、酸素、鉄、金、ウランなど自然界には約90種類の原子がある。英語でアトムという。これ以上分割できないというギリシャ語が語源だ。しかし原子内には核があることが分かった。中心となる、核になるという意味の核だ。

ウランの核は電気を持たない粒子をあてると2つに割れてエネルギーを出す。核からエネルギーが出るから核エネルギーという。原子爆弾も正しくは核爆弾だ。原子力発電所も核力発電所、英語の表記の多くはそうなっている。

割れた核を「死の灰」と言っている。この核は不安定で放射線を出すことで安定する。原発停止で核分裂は止まるが、「死の灰」からの放射線は半減期にしたがって出続ける。この放射線のエネルギーがメルトダウンを引き起こした。

日本で「原子力」を多用するのは、危険な核兵器と違って安全だと言いたいからか。電力会社はけっして「核燃料サイクル」とは言わない。ホームページを見てみよう。どこも「原子燃料サイクル」だ。核隠しは米軍だけではない。

2011年06月15日 17

17基ある原発を2022年末までにゼロへ!ドイツのメルケル政権が9年前の前政権の決定に回帰し、必要な法案を閣議決定した。背景に多々あったとしても巨大地震や津波とは無縁のドイツが脱原発社会をめざす意義は大きい。

17%ードイツの総発電量に占める再生可能エネルギーの割合。原子力の23%にほぼ肩を並べる。メルケル政権は再生可能エネルギーを増やすための関連法案も決定。幾多の困難は予想されているが重要なのは政治的意思決定だ。

17基ー現在、日本で営業運転している原発の数。今の時期は全体の1/3でもやっていけてる。夏場の停電の危機を煽って停止中の原発を動かそうと目論む電力会社。夏場の電力を下げる工夫をするだけで原発は必要性が薄れる。

17ヶ所ー日本で原発が稼働している場所。誘致した自治体には固定資産税や交付金など身の丈以上の金が転がり込む。しかし税収減は必至で、夢よもう一度と増設へ。やめるにやめられない麻薬中毒にしたのは「原子力マフィア」。

2011年05月25日 1万年の保証

米国は原発の使用済み核燃料を再処理せずに埋設する方針だ。核兵器用のプルトニウム生産過程で生じた高レベル放射性廃棄物も併せてネバダ州ユッカマウンテンに処分する計画だったが地元の反対でオバマ政権は白紙撤回した。

これとは別に、核兵器製造に由来するプルトニウム汚染廃棄物が1999年からニューメキシコ州カールズバットの岩塩層に運び込まれている。35年間、新たに生み出されるものも含めて受け入れ、その後は「永久封印」される。

米環境保護局はこの施設に対して放射能レベルが十分に下がる1万年間の安全保証を求めている。7カ国語と先住民のナバホ語の説明文を刻んだ碑を建てる、施設の詳細な情報を世界中の公文書館などに保存するという案がある。

つまり英語がなくなり、米国が滅びているという想定をしているのだ。この岩塩層は2億年以上安定とされているにも拘らず。それが1万年の保証の構えである。地震国日本で、より危険な高レベル廃棄物の封印を誰が保証する。

2011年05月15日 軽水炉とプルトニウム

福島第一原発の事故は日に日にその深刻な事態が明らかになっていく。運転を停止しても、強制的に冷却しないかぎり容易にウラン核燃料が溶けて大惨事に至るという、軽水炉の「本質的欠陥」が白日の下にさらけ出された。

一般的な軽水炉では1回に交換するウラン核燃料は約30トン。約700kgが核分裂を起こす。この間にプルトニウム約550kgが生成し、そのうち約300kgが核分裂。「死の灰」計1トンとプルトニウム250kgが閉じこめられている。

使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理技術は長崎原爆製造に際して開発されたものである。日本はその多くを英仏に依託してプルトニウムを抽出した。日本の核分裂性プルトニウムは国内に6.9トン、英仏に24.1トン。

軽水炉から抽出したプルトニウムはその成分構成のために核兵器には向かないが、1962年に米国は核実験を行った。最近では兵器級と同様に原爆製造可能という論文が出ている。長崎原爆のプルトニウムは6kg。31トンは何発分?

2011年04月25日 「原発安全神話」の根っこは米核政策

第2次世界大戦後、米国の原爆産業はジェネラル・エレクトリック(GE)社が独占した。また米国は原子力を動力として活用する道を選び、潜水艦用原子炉の開発を進める。こちらはウエスティング・ハウス(WH)社が独占した。

しかし、ソ連・イギリスの原爆実験で米国の独占が崩れ、さらに両国は原子力発電への道を歩み出す。危機感を抱いた米アイゼンハワー大統領は「原子力の平和利用」を打ち出し、核不拡散と核の独占体制の維持を図ろうとした。

WH社は原潜の原子炉を10倍化して設計した加圧水型原発を開発。GE社は新たに沸騰水型原発(福島第一原発と同じ構造)を開発。濃縮ウランと原発をセットで「安全」と売り込み、米原子力産業界に莫大な利益をもたらした。

いま米国ではオバマ大統領が核不拡散に力をいれ、福島原発事故にもかかわらず、「原発はクリーンエネルギーの大きな柱」と推進姿勢を全く崩さない。大統領選挙では巨額の金が動く。業界との癒着度は日本以上かも知れない。

2011年04月15日 チェルノブイリそしてフクシマから

3万人もの犠牲者を出した東日本大震災。死者の大多数は津波によるもので、地震発生が夜中だったら、と考えるだけでもぞっとする。輪をかけた人災とも言うべき福島原発事故による避難地域は原爆攻撃直後の光景と重なる。

1986年10月、アイスランドのレイキャビックで米ソ首脳会談が行われ、ソ連のゴルバチョフ書記長は大幅で具体的な核兵器削減提案を行った。その年の4月に起きたチェルノブイリ原発事故で核戦争の結末を想像したからだ。

一時は全廃に向けた合意ができかかったが米レーガン大統領がSDI(ミサイル防衛構想の原形)に固執し、会談は決裂。しかし翌年のワシントン会談でゴルバチョフはSDIを容認し、中距離核戦力全廃と戦略核削減が合意された。

チェルノブイリ事故から25年目に起きた福島原発事故。深刻さではチェルノブイリに匹敵。ヒロシマ・ナガサキ・ビキニに続いてフクシマを体験した日本政府はいまこそ核兵器廃絶条約の国際合意に向けて尽力すべきであろう。

2011年03月15日 東北・関東大震災

観測史上4番目という巨大地震が東北・関東地方を襲い未曾有の被害が引き起こされた。マグニチュード9.0の本震のエネルギーは長崎を攻撃したファットマンの約2万発分、米最大の核実験であるブラボー水爆の300倍になる。

一刻も早い救済、復興が求められるのに内閣官房は「大規模災害などへの対応」で導入した情報収集衛星が撮影した被災写真の公開を拒んでいる。「テロ組織が国を脅かすかも」と。いま数十万人の命と暮らしが脅かされている。

追い討ちをかける最大級の原発事故で約20万人が避難する事態に。胸のレントゲンより少ない被ばく量だから安全?レントゲンにガン発症リスクがないとでも言うのか。しかも住民は益にならない被ばくを強制させられたのだ。

今回の地震のエネルギーは地球に降り注ぐ太陽光10秒分に過ぎない。太陽は自然の核融合で莫大なエネルギーを生み出している。1.5億km離れているからこそ利用できる。核分裂の制御などまだ人類の手に負えるものではない。

2011年02月25日 再びビキニデー

もうすぐビキニデー。合衆国は1954年3月1日、ビキニ環礁でブラボー水爆実験を行った。破壊力の計算ミスから危険水域は非常に狭く設定され、第5福竜丸をはじめ1000隻以上の漁船が被災し「死の灰」も世界中に広がった。

このブラボー水爆をきっかけに制作されたのが8ヶ月後に公開された映画「ゴジラ」。太古の巨大生物が水爆実験のために覚醒し、暴れまくる。観客動員数は961万人、水爆が日本国民に与えたショックは相当なものだったといえる。

それから2年後、今度は「空の大怪獣ラドン」が公開。「ラドン」は中生代に棲息していた翼竜で核実験の放射能などの影響で復活したという設定。阿蘇山から出現し、前年に完成した西海橋を破壊する。炭鉱ロケは北松の鹿町町。

昨年7月末、ユネスコは「核実験のすさまじい力を伝える証拠が残されている」として、「ビキニ環礁核実験サイト」を世界遺産(文化遺産)に登録した。核兵器を廃絶してこそ、次世代に残すべき「負の遺産」の真価が生まれる。

2011年02月05日 節分

今年2月4日は立春。まさに1月の寒さがウソのように暖かくなった。立春は地球を中心に太陽の軌道を考えたとき、春分と冬至の中間方向に太陽が来る日。そこから90度方向毎に立夏・立秋・立冬と続く。それぞれの前日が節分。

現在では立春の前日だけを節分といい、豆まきをして鬼を追い払う風習がある。これは立春正月という考え方からきている。つまり節分は大晦日にあたり、1年の邪気を祓って幸せを願うわけだ。豆まきはさしずめ除夜の鐘か。

節分といえば最近、コンビニやスーパー各社が流行らせた「恵方巻」という太巻きがある。その年の「恵方」(縁起の良い方角)を向き、目を閉じて一言も喋らず、願い事を思い浮かべながら丸かじりする。こちらは年越しソバか。

さて長崎では節分の日からランタンフェスティバルが始まった。たまたまこの日が旧暦の1月1日なのだ。立春正月の大晦日と旧暦元日が同時に来て頭の中が混乱する。それでも米海軍の艦船が長崎港に来なくなったのは嬉しい。

2011年01月25日 ステルス戦闘機

今年1月、中国はゲーツ米国防長官の訪中に合わせ、開発中のステルス戦闘機「殲(せん)20」の初飛行を行った。通常なら絶対に秘匿しておくはずの存在を「公開」したのは本当の自信か、単に「存在」の誇示か、軍部の独走か。

米軍のステルス機にB-2という、核爆弾搭載可能な爆撃機がある。旧ソ連の核基地を叩くために開発され、21機を保有している。開発コストは1機2400億円!!45トンの機体と同じ目方の金塊でさえ1700億円だというのに。

ステルスは「隠遁」、つまりその存在を相手から隠すという意味。レーダー波を返さない技術や高温のエンジンから出る赤外線を隠すハイテクが使われる。日本の民間会社が開発した磁性材料が電波吸収材として利用もされた。

中国のステルス機を保有は「アジアの軍事バランスに影響を与える」と、その「脅威」を煽り立てる論調が強い。そういう報道に限って防衛省が394億円をかけてステルス戦闘機「心神」を開発していることには触れないのだ。

2010年