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民間空港の米軍機利用 整備不良も要因

 2月16日〜3月12日、陸自水陸機動団と米海兵隊の共同訓練「アイアン・フィスト23」が初めて日本で行われた。期間中、日米共同使用施設となっている陸自の日出生台演習場を中心に、高遊原分屯地(熊本県)と徳之島(鹿児島県)が米軍基地として限定使用された。さらに米軍施設である沖縄県の出砂島射爆撃場、キャンプ・ハンセン、金武ブルー・ビーチ訓練場とキャンプ・シュワブ海域を自衛隊が限定使用した。日米施設の融合=一体化が狙われていると見るべきだろう。

 アイアン・フィストはこれまで水陸機動団(および前身の西部方面普通科連隊)が2006年から米カリフォルニア州の海兵隊基地で受けてきた「水陸両用作戦」の手ほどきであった。米軍が水陸機動団の育成を図るのは、強襲上陸作戦などを米海兵隊と一体で行うためである。今回の目的は「水陸両用作戦に係る行動を共同・統合により演練し、共同対処能力の向上を図る」こととされ、南西諸島での対中国戦闘を想定した実戦的な訓練だったといえよう。

 訓練には自衛隊約800人(陸自約600人、海自約200人)と米軍約900人(海兵隊約700人、海軍約200人)が参加。米軍は沖縄の第31海兵遠征部隊及び佐世保の強襲揚陸艦「アメリカ」と2隻の揚陸艦「グリーンベイ」、「アシュランド」。自衛隊からは陸自の水陸機動団に加えて第1ヘリ団(木更津)、第1空挺団(習志野)、さらに海自の輸送艦「おおすみ」が参加した。またこの訓練は沖縄の負担を軽減するため、米オスプレイの訓練移転を組み込んだものとされた。

 日出生台では日米のオスプレイの離発着訓練、迫撃砲や対戦車ミサイルを使用した激しい戦闘訓練が展開された。徳之島では日米のオスプレイが編隊飛行後に離着陸を繰り返した。また「おおすみ」と「アシュランド」から偵察ボートや水陸両用強襲車で日米の隊員が上陸。沖では「アメリカ」から発進したステルス戦闘機F-35Bが警戒監視。さらに喜界島(鹿児島県)でも第1空挺団が、空自輸送機C1と米空軍輸送機C130からパラシュート降下訓練を行った。ブルー・ビーチでは、日米のLCACを使った上陸訓練などが行われた。

 一方、アイアン・フィストに連動し、米岩国海兵航空基地沖の広島湾で米海軍と海自の共同訓練が行われた。「グリーンベイ」と「おおすみ」が、それぞれに搭載されるLCACを相互に入れ替え、収容・発進した。

 まさに「日米のより高度かつ実践的な共同訓練」(国家安全保障戦略)が実施されたのである。

(2023年3月15日)