ながさき平和委員会は6月12日に定期総会を開催し、主会場に6人、オンラインで20人以上が参加しました。
総会議事の質疑では、三菱重工長崎造船所の「軍事部門」の比率が増加することについて、「平和都市長崎が軍事都市になっていくのでは」という危惧が示されました。
平和新聞『ながさき版』の「核兵器禁止条約批准国の横顔」に対して、「知らない国々の存在の大きさを知れるよい企画」「小さな国が先頭を切って批准している。中でもカリブ諸国が多く、米国のそばで核を身近に感じながら核兵器とどう向き合ってきたかがわかる。政権を変えて日本も批准国にしていきたい」「禁止条約は被爆者をはじめ我々の運動で築いたもので、小さい国が頑張って批准し歴史を変えてきた。日本政府に批准させる何らかの取り組みをしないといけない」との熱意や、「ピースカフェは事前にテーマを設定して、担当者がそれを調べてチューター
をした方がいい」との意見も出されました。
また、「多くの会員に仲間づくりを担ってほしい」という提起に、「方針にある『25年のあゆみ』を利用し、会の役割などを話す機会を設けてはどうか」「仲間づくりはどの組織も共通の課題。せっかく入った人が辞めているので、迎え入れた後のフォローも大事。組織の存在意義を伝えきれていないので、魅力を伝えるシステムが、コロナ禍で活動が制限される中、今まで以上に必要」など活発な意見交換が行われました。
記念講演は、「東アジアの平和構築に向けて」と題して長崎県地域・自治体研究所理事で事務局長の川嵜一宏さんが講演。
自身も原告となって取り組んでいる安保法制違憲国賠訴訟について語り、平和的に生存する権利、つまり戦争を起こさせないようにするための一つの方策として裁判に取り組んでいると述べました。今注目を集める「台湾危機」と中国の動向について、日本側は「台湾有事」は、安保法制に基づく「重要影響事態」や「存立危機事態」当たる可能性があると認識しているし、与那国島や尖閣諸島といった沖縄の島々が侵攻を受ける恐れもあり、「武力攻撃事態」と認識すれば、自衛隊に防衛出動を命じることになる。
「台湾危機」という米中対立の最前線で、16年の新安保法制施行、南西諸島への自衛隊増強により日本は中立を保てなくなる立場に自らを追い込んでいると指摘しました。つづいて、日本の国家目標と平和戦略について憲法の成立過程について触れながら解説し、東アジアの平和構築に向けて、被爆地ナガサキの特別な役割と市民による積極的な平和の発信をと訴え、そのためには巨大マスコミに踊らされない独自の情報網が必要と強調しました。
(2021年6月13日)