真ん中が「はぐろ」。左は初代のイージス艦「こんごう、右はヘリ搭載型護衛艦「いせ」。
4月5日、佐世保基地に海自8隻目となるイージス護衛艦「はぐろ」が接岸した(就役は3月19日;第8護衛隊)。これで佐世保配備のイージス艦は全体の半数の4隻となった。
「はぐろ」は、こんごう型・あたご型に続く、まや型の2番艦で、敵ミサイルの位置情報を高い精度で味方と共有できる共同交戦能力(CEC)を初めて備えた。CECは米海軍が開発したシステムで、米空母艦載機の早期警戒機E-2Dにも搭載されている。複数のE-2Dやイージス艦を展開することで広範囲から敵を捕捉でき、空母の防護強化だけでなく、攻撃システムが飛躍的に強化された。
「まや」「はぐろ」にCECが搭載されたことで米軍の強化された「目」や「手足」となり、一体化がいっそう進むことになる。一方で13機のE-2Dの空自への導入が決定しており、すでに予算措置も完了している。空自のE-2DにもCECを搭載する計画で、自衛隊独自の攻撃能力の強化とともに、ますます米軍との一体化に拍車がかかる。
「はぐろ」には、日米共同開発による新型迎撃ミサイル「SM-3ブロック2A」が搭載される予定である。また、低空を高速で飛来する巡航ミサイルなどに対処するSM-6も搭載される。「防空能力」が向上したとされるが「ミサイル防衛」の実力は不確かである。確実なのはこの2隻のイージス艦は米空母の防護能力を著しく高めること—米軍のイージス艦にまた一歩近づいたということである。
また艦番号180が非常に見えにくい塗装となった(写真)。今年から艦艇の識別を困難にして相手にその能力を計られにくくしたという。既存の艦も検査時に塗り替えられる。しかしその効果はいかほどのものだろうか。
(2021年4月18日)