11月10日、渡辺治さん(九条の会事務局)の講演会「参院選後の新たな情勢と安倍改憲阻止の展望」が開かれました(県九条の会主催)。7月の参院選で「改憲勢力」は2/3を割り、直ちに改憲発議をできる状況ではなくなった。にもかかわらず安倍首相が依然として改憲策動を強めているのはなぜか。新たな情勢の下で安倍改憲阻止のために何が必要かを語りました。
安倍政権は13年、16年の参議院で連勝してぎりぎりだが「2/3」という改憲の切り札を手にした。しかし「安保法制」をめぐって60年安保闘争以来となる市民と野党の共闘が誕生し、史上初の野党選挙共闘が行われ、11の1人区で勝利した。そのため安倍首相は国防軍を保持する自民案を諦めて、大幅に譲歩したきわめて現実的でかつ「戦争する国」になれる自衛隊明記案を提言する。
ところが森友・加計問題で改憲どころではなくなった。さらに全国市民アクションが結成されて3000万人署名が取り組まれる。追いつめられた安倍政権は憲法審査会での審議をはかり、世論を変えて野党を取り込む路線に転じる。そのために選挙で改憲を国民に訴え始める。
しかし国民の改憲に対する意識は変わらなかった。自民党は16年より1つ多い57議席を獲得。自公維で2/3を割ったが「−4」に過ぎない。一方で野党も安倍改憲の危険性を国民の中に浸透させられなかった。市民連合と野党4党の13項目の共通政策の第1は「安倍政権下の憲法改正に反対する」だった。にもかかわらず立憲・国民は全く触れなかった。安倍の思惑は外れたがまだまだ元気だ。たたかいは新たな第2ラウンドに入ったのである。
小泉政権は地方の構造改革で「平成の大合併」・地方財政削減を強行した。地方は衰退し、自民党への票も激減した。ところが安倍政権は「湯水のような公共事業投資」を行った。すでに地場産業や中小企業はみな壊れている。公共事業のお金はゼネコンに行く。とにかく下請けとして仕事が欲しい、非正規でもいいから雇用されたい、仕事がないよりはましだと、自民党への「仕方のない支持」が安倍政権を国政選挙で5連勝させた。
今回の選挙で自民党が比例で40%以上の県は21。代わりが見えないことが一番大きな原因。だから最低水準の投票率になった。実際に投票率ベスト5は、自民党の強い県だが、野党統一候補がすべて勝っている。共闘候補が安倍政治に代わる選択肢となって地方の「仕方のない支持」層を崩した。しかし22の選挙区ではそれができなかった。まだまだ国民の中に入っていないことがいまの共闘の限界でもある。
焦点は地域だ。安倍政権は地方で「市民と与党の共闘」や改憲大集会を模索している。この3年間、「2/3」にもかかわらず、市民アクションや9条の会の力が改憲を進めさせなかったことに確信を持とう。憲法への自衛隊明記は7割が賛成という世論調査もある。9条改憲の危険性を市民の中へ広げていこう。
安倍改憲を阻止するか否かは日本の大きな分岐点。一服せずにもうひと頑張りしよう。
(2019年11月11日)