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辺野古新基地強行は民主主義の危機

—長崎県母親大会で島洋子さん語る

 9月15日、長崎県母親大会が開かれ、島洋子さん(琉球新報社編集局次長)が「屈しない沖縄の『心』見つめて」と題して記念講演。

【辺野古新基地の経緯を振り返る】

 起点は1995年の米海兵隊員による少女暴行事件と、それが突きつけた日米地位協定問題。これに対して8万5千人の抗議集会が開催され、沖縄県民の怒りを危惧した日米両政府は普天間の代替基地をつくって5〜7年以内に返還することを決めた。
 最初は小さな代替基地だったがどんどん膨らみ、最終的に130㌶を埋め立てて二本のV字滑走を持ち、強襲揚陸艦が接岸でき、弾薬庫も置く案が確定した。明らかに機能強化。
 政府側は工事が始まれば沖縄県民は諦めると思っていたようだが、運動はいまも続いている。辺野古新基地反対の一点で結束した「オール沖縄」が結成され、翁長知事を誕生させた。
 工事を着々と進める安倍政権だが、隠ぺいしていた大浦湾の軟弱地盤の存在が明るみに出てしまった。知事の不許可や、これまでに実績のない工事など、今後の大きな焦点になる。

【沖縄の2つの神話】

 普天間を返還して辺野古に基地をつくれば負担はプラスマイナス0だ。なぜ沖縄に新基地が必要なのか?

神話1:沖縄は基地関係の収入が大きい
 基地関係収入は県民所得の5%でしかない。しかもその7割は軍用地料と日本人基地従業員の給与でこれは国民の税金から賄われている。他は日本企業からの調達費や5万人の米軍関係者による基地外での消費。
むしろ「集中する米軍基地は沖縄振興の妨げであり、阻害要因である」ことが沖縄の共通認識になりつつある。
 多くの人たちは基地の迷惑料として3000億円の予算がついていると思っている。しかしそれは道路整備や福祉や補助金などの総額。米軍基地があるから財政的に豊かになるわけでは決してない。

神話2:中国が攻めてくるから基地が必要
 いまや戦争の形態が変わってきている。世界の戦争は無人機が爆撃していって最後に海兵隊が突入することになる。中国のミサイルの性能向上で沖縄の基地は標的になる。米国は沖縄と韓国に集中していた軍隊を小さな部隊にして、オーストラリア、ハワイ、グアム、沖縄、佐世保、釜山、とローテーションさせ、被害を最小限にする新しい戦略を始めている。辺野古新基地は米戦略とはかけ離れ、抑止力にもならない。

【この国と沖縄】

 翁長知事夫人の樹子さんがゲート前の座り込みに来て「もしも万策尽きたら夫婦でゲート前で座り込もうと約束した」と述べたことがある。
 公正な選挙で選ばれた知事が、地域の海の利用に関して国の圧力に負けて万策尽きて座り込み、機動隊員に排除される。そんな事態となったら民主主義国家と言えるだろうか? もし新基地がつくられてしまったら、国策を掲げれば地域が何を言おうと何でもできる前例となってしまう。いま民主主義の危機にある。

(2019年9月16日)