7月7日、核兵器禁止条約の採択2周年記念の講演会が開かれました。「『ヒバクシャ国際署名』をすすめる長崎県民の会」と「長崎県宗教者懇話会」の共催で約70人が参加しました。
長崎大学・核兵器廃絶研究センターの中村桂子さんが「核兵器禁止条約をめぐる世界の動き」と題して講演。
いま世界は、「核兵器のない世界を実現する道」か「数を減らしながらも核兵器を永遠に持ち続ける道」かの岐路に立っている。
この間の大きな特徴は外交的努力で積み重ねられてきた核軍縮が、トランプ大統領の「力による政策」で壊され始めているということ。
禁止条約の批准が遅いという声があるが、基本的には進んでいる。署名した多くは途上国で、禁止条約の議論が優先にとは必ずしもならない。また保有国からの圧力もあるし、国民の関心の度合いもある。
一方で、ICANにノーベル平和賞が授与され、核保有国内でも条約に参加すべきという世論が大きくなっている。核兵器製造企業への投融資禁止を求める動きも高まっている。日本でも「りそなホールディングス」が核兵器を開発、製造する企業に融資しない方針を公表した。
日本は、「核同盟国」というい本質をかかえながら「被爆国」としての体面を保もうとしている。問題点はメリット・デメリットの議論さえしていないこと。その点では市民も同じ。
私たちは歴史の正しい側に立っている。自信と確信を持っていけば世界は変わっていく。
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続いてカトリック長崎大司教区の髙見三明大司教が「核兵器についてのバチカンの考え」と題して講演。
戦時中はカトリック教会は決して戦争反対の声を上げたわけでなく、むしろ一緒になって戦争したと言っても過言ではない。しかし戦後、バチカンは軍備撤廃と核兵器廃絶を訴えてきた。核兵器禁止条約もいち早く批准を行った。
教皇ヨハネ23世は1963年に「正義、叡智、人間の尊厳の尊重のためには、核兵器廃絶を含めて軍備競争に終止符が打たれることが必要。そのためにはすべての人が武器に依存しない世界に確信を持たねばならない」と述べている。
81年に来日したヨハネ・パウロ2世は「核兵器の一部でも使われれば全面核戦争になりかねない。軍備を増強するのは戦争の準備をしたいという意欲があるからだ」と述べている。
11月に長崎を訪問予定の教皇フランシスコは「核兵器は見せかけの安全保障を生みだすだけ。使用と威嚇だけでなく保有そのものも非難されなければならない」と述べ、「ヒバクシャの証言が非常に大きな役割をはたす」と指摘した。
(2019年7月8日)