10月10日、民主長崎県政をつくる会は基地強化が進む佐世保基地を考える学習会を開き、約60人が参加しました。お話は山下千秋さん(佐世保市議・日本平和委員会全国理事)と中山重俊さん(佐賀市議・オスプレイ配備反対佐賀県連絡会共同代表)。
山下千秋さんは戦争する国づくりのためには①法的整備②闘える軍隊③軍国主義体制の確立の3つが必要不可欠と指摘しました。その中で戦争法の実行拠点として「鳥肌が立つような」強化が進む佐世保基地の実態を報告しました。
佐世保基地の大きな特徴は①米軍の巨大な補給(弾薬・燃料・艦船修理・休養)基地②沖縄・岩国の米海兵隊基地と一体化した直接出撃基地③日米共同の出撃基地であることです。
米海軍は軍事力の太平洋へのシフトの一環として佐世保基地の強襲揚陸艦の新型艦への交代、新たに沿海域戦闘艦の配備、最新鋭駆逐艦の中継基地化などを計画しています。この動きとも呼応し、18年3月に水陸機動団(日本版海兵隊)が創設されることになっています。
水陸機動団は相浦に本部と2つの機動連隊を置きます。崎辺西側に52両の水陸両用強襲車両基地、東側にはその車両と佐賀空港に配備予定のオスプレイを搭載・輸送する海自艦艇の岸壁建造が計画されています。ここ2年半で212億円が計上されました。当面は2,100人体制で、佐世保では900人の増員となり、最終的には3,000人の部隊になる計画です。
水陸機動連隊の中軸になる西部方面普通科連隊(660人)は選りすぐりのレンジャー資格を持った隊員。この10年間、米国で米海兵隊から直接、上陸訓練の手ほどきを受けてきました。
戦前はアジア侵略の出撃基地だった佐世保は、戦後、平和宣言を可決し、平和産業都市の道を歩み出しました。しかし朝鮮戦争特需、安保条約によってその夢は打ち砕かれてしまいました。最後に山下さんは佐世保市民が平和への熱望を示した平和宣言を引き、危険な佐世保基地の実態を明らかにしながら戦争法廃止、立憲主義を取り戻す共同行動を押し広めていこうと呼びかけました。
中山重俊さんは、佐賀県にオスプレイ等配備が要請されてからの行政や住民運動の経緯と現状を報告しました。
14年7月の防衛省発表は住民にとっては「寝耳に水」でした。①陸自オスプレイ17機配備②目達原駐屯地のヘリ約50機の移駐③米オスプレイの暫定移駐(後に訓練移転に変更)を要請し、地元には十分な説明もないまま空港隣接地の取得費などを概算要求に計上したのです。
このような強引なやり方に対して、オスプレイ配備反対佐賀県連絡会が結成され、地元川副町で、オスプレイの爆音や風圧などを動画で紹介、危険性を知らせ、住民の声を聞く活動などを展開しています。平和運動センターとも共同した抗議行動を行っています。
佐賀空港は豊かな漁場の有明海を埋め立てて造成されました。町を二分する論争となり「公害防止協定」が1990年に結ばれた経緯があります。有明海をずっと守ってきた先人達には戦争体験者が多く、軍隊としての能力を持つ自衛隊との共用はしないことを盛り込んだのです。
参議院選挙後、防衛省による住民説明会が行われていますが、不安や疑問が多く出されています。「諌早湾干拓で補償はおろか責任も認めない国は信用できない」「公害防止協定を無視するのか」という強い反対意見もあります。
いま県民世論は賛否が拮抗し、「どちらとも言えない」が最多の36%という状況。中山さんは、近く県知事の態度表明もされることから、県民と全国の皆さんと力を合わせて、オスプレイ配備を阻止したいと決意を語りました。
(2016年10月11日)