県平和委員会、新婦人県本部、県商連、長崎民医連、県労連、高教組、年金者組合県本部、私教連、長崎自治労連の9団体は3月10日、中村法道長崎県知事に対して「米軍オスプレイの訓練移転反対を求める要望書」を提出し、3月27日に代表13名が参加して要請行動を行いました。
昨年暮れ一部マスコミが「政府は、沖縄・普天間基地のオスプレイについて、大村市内の陸自駐屯地と大分県の日出生台演習場への訓練移転を検討している」との報道がありました。中村知事は昨年12月27日の定例記者会見で、「基地負担の面は当然あるかもしれない。海外では急患搬送に活用されているという事例もある。オスプレイが来ることがいけないという判断に直ちに結びつくわけではない」と、オスプレイ受け入れ容認とも取れる発言をしていました。
これに対して9団体は、知事に住民の命と安全を守る立場から米軍オスプレイの訓練移転に反対し、米軍基地とその機能縮小に力を注ぐよう要請するとともに、(1)沖縄県全自治体による「建白書」に対する見解、(2)米軍オスプレイの訓練移転についての見解を求めました。
県は吉田慎一危機管理課長が応対し、訓練移転の候補地として大村との報道について、九州防衛局に確認したが、そういう情報は確認されていない、報道の内容に疑問を持っているとしたうえで、(1)「建白書」については、沖縄の総意として理解している、(2)長崎県は、佐世保市・西海市にも米軍基地があり、県として応分の負担をしていると、知事も県議会で答弁している、と答えました。
また、知事は急患搬送への活用について発言しているが、オスプレイの危険性を認識しているのかと質すと、県は「あのときは突然の質問だったので、オスプレイの機能問題として、急患搬送をしている自衛隊のヘリと比較して速度が速いことなどを答えた。その後の『要請をするのか』という問に対しては明確に否定している。また、急患搬送を米軍に要請することは法的にもできない」と答えました。
次に、米軍基地がある都道府県知事で構成する渉外知事会の要請の中では、オスプレイの安全性に懸念を表明しているが、それは知事も同じ考えかと質すと、県はこの時は沖縄から緊急の要請があって、長崎としても十分同意できるということで、同じ立場で要請している、と答えました。
さらに、大村市民は報道があったことで不安に思っている。渉外知事会の要請書と同じ立場なら、「仮に要請があれば反対」して欲しいと迫りました。県は「仮の話に私が軽々に答えることはできない。そういうことがあるとすれば、必ず地元自治体に話がある。その際は住民の意向を聞いて対応する必要がある」との答えに留まりました。
最後に、参加者から、要請があって住民の意見を聞いてからではなく、知事として「オスプレイは来てほしくない」ということを明確に言って欲しいと求めたのに対して、県は「そこは知事の政治判断になる。そういう要望は知事に伝える」と答えました。
オスプレイは、強襲揚陸艦で運用するために、ヘリコプターと航空機の機能を合わせ持つ特殊な構造のために、開発段階から墜落事故を繰り返してきた欠陥品です。これまで、米軍は軍用機といえども民間機に必要な安全基準を守っていましたが、オスプレイは初めてこれを破ることになりました。当然、日本の航空法にも違反するわけですが、日米地位協定に基づく航空法特例で規制対象から除外され、危険な低空飛行訓練まで行っています。ドイツでもイタリアでも、米軍機が低空飛行するためには当事国の許可が必要ですが日本では、勝手にどこででも訓練できるしくみになっています。
沖縄では、県議会はじめ全市町村議会もオスプレイ配備反対決議をあげ、昨年1月には全41市町村の首長と議長が揃って上京し、安倍首相へ「建白書」を渡すという直訴行動を行いました。
いま沖縄の「負担軽減」を口実に、本土への「訓練移転」が進められようとしています。しかし沖縄で危険なものは本土でも危険であり、またこれまでの「軽減」策によっても沖縄の「負担」は一向に軽減されていないのが実態です。
要請団は、オスプレイは欠陥機であり、低空飛行訓練が繰り返され極めて危険である。そのため、沖縄をはじめ全国各地から反対の運動が起きている。長崎県知事として自衛隊機を含めオスプレイは絶対受け入れないよう申し入れ要請行動を終わりました。
(2014年3月29日)