新駐機場(13年3月15日):開所式は格納庫内で行なわれた
3月15日、西海市の横瀬貯油所海域に建設されたLCACの新駐機場の開所式がありました。米海軍は新駐機場での運用開始を機に、これまで行なっていたLCACの運用予定の事前通知を取りやめる方針です。
1994年米海軍は突如として揚陸艦搭載のLCACの運用を開始し、翌年からは崎辺の海軍補助施設を駐機場及び関連施設として利用し始めました。LCACは走行時やテスト時に大きな騒音をまき散らすため地域住民の苦情を受けて佐世保市は運用の中止を求めました。米海軍はこれを受けて運用を火曜日と木曜日の午後1時から4時に限定して事前通知を行なうことになりました。その一方、住民要求を逆手にとって、対岸の横瀬貯油所海域を埋め立てて本格的な駐機場を建設する計画を練り上げ、建設させたのです。「思いやり予算」として約250億円が投入され、来年度も事後調査費として4400万円が計上されています。
米海軍がLCACの事前運用通知を廃止する理屈は次のようなものです。(1)もともとテロ対策や保安上の理由から事前運用予定は公表しないことになっている。(2)崎辺の旧駐機場のときは周辺に多くの住民が住んでいたため、事前通知は例外的措置だった。(3)新駐機場では消音施設もある。
これに対して西海市は市議会特別委員会が「周辺地域への影響に対する配慮や安全確保は駐機場受け入れの大前提」であり、「合意可能は方策を求める」意見書を国に提出しました。西海市長も「民間の船の安全航行、西海市民の騒音による環境破壊がないよう事前通知をやっていただく」と主張しています。
佐世保市はこれまで米海軍の事前連絡を基に騒音測定や航行する船舶へ注意喚起してきましたが、これができなくなります。口木崎で騒音調査をする予定ですが、事前連絡がないと騒音問題が解消されたかチェックすることも事実上不可能となるために事前通知を求めています。
もともと米海軍は崎辺でのLCAC運用についての制約として、運行が火曜と木曜の各3時間に限定されている、佐世保市が騒音測定をしている、夜間運行が禁止されていることなどを挙げていました。新駐機場ではどこからも干渉されずに自由に運用したいということでしょう。
3月12日に西海市が漁協関係者や住民に対して開いた説明会では、「このままでは米軍の言いなり」「事故が起きたら誰が責任取るんか」 「苦渋の選択で受け入れた住民への配慮が足りない。強い態度で臨んでほしい」など批判が相次いだといいます(西日本新聞)。
(2013年3月16日)