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陸自の派米訓練 6年連続実施へ

 1月11日、陸上幕僚監部は今年度の海兵隊との実動訓練を2月8日〜3月3日に行なうことを発表しました。この訓練は「島しょ防衛」に関係する陸自部隊を派米させ、海兵隊から直接、強襲揚陸の手ほどきを受けるもので、05年度から毎年行われ、今回が6回目となります。

 参加部隊は西部方面普通科連隊(佐世保市相浦駐屯地)を中心に計180名。訓練地は米カリフォルニア州キャンプ・ベンドルトン海兵隊基地など、米第1海兵機動展開部隊が指導にあたります。参加。西部方面普通科連隊の派米は6年連続で、これまでに第12普通科連隊(鹿児島県霧島市国分駐屯地)が06年度年と09年度に参加、第1混成団(当時;沖縄県那覇駐屯地)が07年度に参加しています。

 派米訓練の目的は従来どおり「多様な事態に即応する能力を高めるため、効果的な訓練施設等を有する米国に部隊を派遣し、経験豊富な米国から知識や技能を吸収するとともに、相互連携要領を実行動により演練し、特に島しょ部に対する侵略への対応のための戦術・戦闘能力等の向上を図る」としています。

 「島しょ防衛」は旧・防衛計画の大綱(05年度から09年度)で初めてうたわれたもので、これにともなって米海兵隊との実動訓練が始まりました。昨年12月に策定された新・防衛計画の大綱は「専守防衛」の原則を空洞化させ、必要に応じて自衛隊をどこにでも緊急展開できる「動的防衛力」構想を打ち出しました。「島しょ防衛」についても、その理念を取り込んでいます。

:島しょ部に対する侵略に対しては、部隊を機動的に輸送・展開し、迅速に対応するものとし、実効的な対処能力を備えた体制を保持する。

:島しょ部への攻撃に対しては、機動運用可能な部隊を迅速に展開し、平素から配置している部隊と協力して侵略を阻止・排除する。その際、巡航ミサイル対処を含め島しょ周辺における防空態勢を確立するとともに、周辺海空域における航空優勢及び海上輸送路の安全を確保する。

 新・防衛計画の大綱では、とくに中国が「周辺海域において活動を拡大・活発化」させていることを懸念して「空白地域」に陸上自衛隊の配備、緊急時の部隊展開などを行なうなど、軍事対決の姿勢を示しています。「経験豊富な米国から知識や技能を吸収する」実動訓練はまさに「動的防衛力」の先取りでした。

(2011年1月13日)