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有事の核持ち込みは時の政権が判断

 4月24日、核兵器搭載艦の日本への寄港は非核三原則に抵触しないとしていた核密約問題で、岡田外務大臣は佐世保市を訪れ、「国として不誠実な対応があった」ことについて謝罪しました。

 この問題では、佐世保市議会が3月25日付で、また佐世保市が4月5日付で国に対して質問書を提出し、回答を求めていました。

 4月24日付の外務省の回答の概要は以下の通り

 「核持ち込み」は国家主権にかかわる重要問題ですが、この件について米国への問い合わせ、調査を行ったようすはありません。「日米関係を損なわない範囲で」、日本側が一方的に判断したにすぎません。今年発表の「4年ごとの国防計画見直し」で確かに核トマホークの退役をうたっていますが、その時期は不明で、「現時点では核兵器搭載艦船の寄港はない」と断言できるとは思えません。「広義の密約」とした「討論記録」を廃棄し、米国に確認を求めてこそ、本当の「担保」となります。

 さらに見過ごせないのは、岡田外務大臣が佐世保市長との会見で「有事における米軍の核持ち込みは否定できない」として、米軍の意向により可能となりうること、その際の対応は「その時の政権が判断する」と述べていることです(長崎新聞4月25日付)。「密約」廃棄と非核三原則法制化が急務となっています。

(2010年4月25日)


北米地合第478号
平成22年4月24日

佐世保市議会議長 殿

外務大臣 岡田克也

いわゆる「密約」問題に関する調査の結果を踏まえた今後の対応について

 平成22年3月25日付けで、貴職から提出があった意見書につき、下記のとおり回答いたします。

貴信1から3までについて
 標記の調査の結果、核兵器を搭載する米国艦船の寄港等が事前協議の対象であるか否かについて日米間で認識の不一致があったことを示す文書の存在が確認されており、過去に我が国に寄港した米国艦船が核兵器を搭載していたか否かについて確たることを申し上げることは困難です。

 しかしながら、1991年の水上艦及び攻撃型潜水艦を含む米国海軍の艦船及び航空機から戦術核兵器を撤去する旨の発表、1992年の同撤去を完了した旨の発表、本年4月の核トマホーク(TLAM/N)を退役させる旨の発表等、これまで公にされた米国の核政策に基づけば、現時点において、我が国政府としては、核兵器を搭載する米国艦船の我が国への寄港はないと判断しています。
 また、鳩山内閣として、非核三原則を堅持する方針に変わりはありません。

貴信4及び5について
 標記の調査の結果、御指摘のような「公表されていない特別の取り決め」の存在を示す文書の存在は確認されていません。
 現在、外務省においては、本年3月に設置した外務大臣を本部長とする「外交記録公開・文書管理対策本部」において、「外交キロ公開に関する規則」を制定し、外交記録について「原則として30年で公開する」とのルールを確立することなどを検討しています。
御指摘の安全保障に関連する情報等を含め、今後このルールに従って対応していく考えです。

貴信6について
 防衛計画の大綱については、現在政府部内において見直しを行っているところですが、核兵器の脅威に対しては米国の核抑止力に依存するとの考え方を変更したということはありません。