3月30日、フランス海軍のフリーゲート艦ヴァンデミエール(2950トン、92人乗り組み)が「友好・親善」を目的として長崎港に寄港しました。フランス海軍艦艇の長崎港への入港は37年ぶり3回目です。
長崎市長は外務省と在日フランス大使館に対し「核保有国の軍艦が入港することへの市民感情に配慮してほしい」と寄港回避を要請、艦長の表敬訪問の申し出も拒否していました。一方、県は「フランスは原爆投下の当事者ではない。原爆の悲惨さを見てもらいたい」と寄港を容認しました。
この日、安保破棄県実行委員会・県平和委員会、そして県平和運動センター・長崎地区労などの呼びかけで集まった参加者80人が松が枝埠頭で抗議集会を開きました。
長崎地区労の平野議長が主催者挨拶を行い、長崎市が同艦の入港回避を国に要請したにもかかわらず、県が受け入れたことを批判。「フランスは『核は捨てない』立場を堅持している。断じて許すわけにはいかない」と批判しました。
長崎原水協の大塚事務局長は、「NPT再検討会議へ向け、世界で核廃絶の機運が高まっているときに、核保有国の艦船が入ってくることは、被爆地の市民として容認できない」と訴えました。
この後、ヴァンデミエールの船体が見えはじめたため、「被爆地に軍艦はくるな」「核保有国の軍艦の入港反対」「フランスは核保有をやめよ」などのシュプレヒコールを行いました。
被爆者連絡協議会の河野議長は「友好親善に軍艦はふさわしくない」「金子知事は、被爆県ということを忘れているのではないか」と長崎県の対応を批判し、最後に、参加者一同、被爆港への艦船の入港に反対していく決意をこめたシュプレヒコールを行いました。
ヴァンデミエールは、岸壁への接岸ではなく、ホストシップとして接岸していた海上自衛隊の護衛艦「とね」(佐世保配備)の船体に寄り添うように停泊し、市民との友好親善というより自衛艦との友好を深めているようにみえました。
ヴァンデミエールはフランス領ニューカレドニアの基地を母港に、水上プレゼンス(軍事的影響力)の維持、漁業監視、海外領土警備などの任務にあたっているといわれ、日本には毎年のように寄港しています。
フリゲート艦は比較的小型の戦闘艦で、ヴァンデミエールは対艦ミサイル「エグゾゼ」を搭載、また直径10センチの砲弾を撃つ主砲を装備しています。
(2009年3月31日)