三菱長崎造船所で建造の護衛艦
溶接ミスでポールに亀裂


「護衛艦おおなみ」の引渡式(向島岸壁 2003年3月13日)
今回、亀裂が発見されたのは艦橋のマストの最上部のポール

 三菱長崎造船所で03年3月に竣工したばかりの最新鋭の「護衛艦おおなみ」のポールに溶接ミスによる亀裂が見つかり修理されたことをマスコミ各社が一斉に報道しました。

 「おおなみ」は現在、横須賀基地に配備されています。6月1日に艦橋に立つマスト最上部のポールが曲がっているのに乗員が気づいて点検したところ、上端から約2・6メートル付近に縦15センチ、横8センチの亀裂が入っているのが見つかりました。
 ポールにはタカンと呼ばれる搭載ヘリコプターの航法装置や航空灯が取り付けられてあり、放置すれば折れて落下したり、航空機事故に結びつく可能性もあったため、海上自衛隊は三菱重工業に連絡し、同社は4日から8日まで同社の横浜製作所でポールの一部を交換しました。火を使う溶接作業が行われるため3日に弾薬をすべて降ろしたということです。

 「おおなみ」は就役後、03年12月6日から04年1月20日まで三菱長崎造船所で年次検査を行いましたが、マストの不具合は想定外として検査項目に入っていませんでした。

 長崎造船所では02年10月、建造中の豪華客船ダイアモンド・プリンセスが未曾有の大火災を起こしました。通報の遅れ、過去にあった不審火の隠ぺいなどが問題にされました。今年5月にも建造中の高速カーフェリー「はまなす」が火災を起こしています。

 さかのぼると96年6月のリムパック(環太平洋合同演習)に参加していた哨戒ヘリ、SHー60Jが着陸時にエンジン部から出火して急停止。搭乗していた8人が負傷するという事故を起こしています。このヘリは三菱重工がライセンス契約で建造したものです。防衛庁は「機体の製造過程のミスが原因」として三菱重工に約10億円の損害賠償を請求しましたが、三菱重工はこれを拒否。ついに裁判にまで発展しました。法廷での双方の主張も平行線で東京地裁は和解を勧告し、今年5月、三菱重工は半額の約5億円を払うことで決着しました。

 三菱自動車の欠陥・隠ぺいが連日のように報道されています。それが艦船・ヘリにも及んでいることは三菱重工の体質に問題があるといわざるをえません。