輸送艇1号は県防災訓練に参加
有事即応体制確立の一環


陸自車両を積んで長崎港から出る輸送艇1号

 「陸上自衛隊支援」を目的に「輸送艇1号」(5月31日〜6月4日)が長崎港に入港していましたが、6月3日に行われた長崎県の総合防災訓練への参加だったことが分かりました。

 「長崎県総合防災訓練」に関する佐世保地方隊と長崎県のホームページの記事を総合すると次のようになります。

 今回の訓練は福江市下大津町の「福江港大津埋立地」を主会場として実施され、訓練には陸・海の自衛隊、警察署、消防局及び海上保安部など54機関から900名が参加(佐世保地方隊では700名となっている)。陸上自衛隊は大村の第16普通科連隊、海上自衛隊からは大村航空隊と第22航空群のヘリ各1機が参加。輸送艇1号は訓練に参加する陸自の車両14台を長崎港から福江港の間2回に分けて搬送した。
 今回の訓練の目的のひとつとして長崎県は「実践的な総合訓練を行なっ
て練度を高め、有事即応の体制を確立すること」をうたっている。

 総合防災訓練に先立つ5月26日の長崎県防災会議で、県危機管理・消防防災課長が参議院で審議中の国民保護法案の概要を説明したことが報道されました。あわせて陸自第16普通科連隊長も「防災およびテロ等における危機管理と国民保護」と題して講演し、北朝鮮の軍備など日本を取り巻く国際情勢や有事法制の流れを話し、多様な事態・危機への対応として「危機管理コミュニティーの形成が不可欠」と述べています。

 このように先走った長崎県の姿勢に怒りを禁じえません。また人知で避けることの難しい災害と、人間の利害で引き起こす戦争とを同一視して、対処法も異なるのに「総合的」に対処しようというところに根本的な誤りがあります。今回の「有事法制」がまさにそうです。有りえない「日本への攻撃」を、有りうる大災害の中に溶かし込み、米軍・自衛隊に協力する「危機管理コミュニティー」をつくりあげようというのです。

 幾多の自然災害を受けた長崎県、原爆攻撃を被った長崎県が「国民保護」のためにするべきことは何なのか、良く考えてもらいたいものです。