有事法制発動で自治体は機能停止
うきぼりとなった有事法制の危険性

 国会では有事法案の第3ラウンドの審議が始まりました。4月17日、有事法制反対長崎県連絡会は佐藤光雄さん(日本平和委員会代表理事)を講師に緊急の学習会を開催し、約40名が参加ました。佐藤さんはこの法案の持つ「背筋がぞっとするような」おそろしさを具体例をあげて指摘し、「世論は健全だ。一刻も早く危険性を知らせ、廃案に追い込む運動を展開しよう」と呼びかけました。**以下概要を紹介します。****

 有事法制はアメリカの先制攻撃戦略による干渉・介入戦争に日本と自衛隊と国民を動員するためのものであって、日本を守る備えではない。武力攻撃やそのおそれと判断するのは米軍にほかならない。「捕虜の取扱いに関する法制」をつくることとなっているが、これは自衛隊が海外で戦争をして外国人を捕虜にする宣言に等しい。いちばん恐ろしいのは「米軍の行動の円滑化に関する法制」だ。これにはすべてに罰則がつけられるはずだ。政府・与党は「北朝鮮問題」を格好の材料として、また対案を提出するという民主党を巻き込んで一瀉千里に可決させようとしている。
 すでに中央統制法とでもいうべき「地方分権一括法」で、例えば国家的利害に関わる建築物(原子力発電所や防衛施設庁契約企業が関わるものなど)の許認可権は知事から、国交通大臣に移されてしまった。住民基本台帳法が「改正」され、軍事や警察などの権限が集中する内閣府には所得、健康状態、各種免許などなどをはじめ、各行政機関が保有する1479項目の個人情報を管理することになる。これによって即座に徴用のリストができあがる。個人情報保護法案の成立を急いでいるのも、すべては有事法制のためだ。
 有事法制が発動されたら地方自治体は完全に機能停止となり、アメリカへのサービス機関に変質する。学校では武力攻撃事態法第8条「国民の協力」の強要と「戦争への協力」が教育として行われる。多くのマスメディアも「大本営発表体制」になる。公務員は業務命令として、製造・技術関係の民間人は徴用される。拒否すれば罰則。戦争反対者も犯罪者とされる。地域社会は戦前のスパイ・監視組織に変わってしまう。
 私たちは有事法案の成立を2度の国会で阻止してきた。これはすごいことだ。全員加盟制の日本弁護士会が反対声明を出したり、多くの地方議会でも危惧の声が出ている。また医療改悪での4医師会との共同などは戦後なかったことである。各種世論調査にみる国民世論は健全である。ただ圧倒的に知られていないのも事実だ。一刻も早くこの危険性を知らせ、廃案に追い込もう!