これは京都原爆認定訴訟の京都地裁法廷で原告側の甲120号証として提出された厚生省の内部資料である。詳しくは原告側の準備書面を参照。

平成6年9月19日
原爆医療審議会


認定基準(内規)

[線量評価]
・爆心地からの距離に応じて申請者の被爆地点における被爆線量を評価し、さらに遮蔽条件により以下の係数を乗ずる。
(被爆地点情報、遮蔽情報は、原則として申請書類記載事項を採用する。)
(異議申し立て審査に際しては、事務局調査情報を考慮する。)

 遮蔽がない(熱線による熱傷を合併している)場合: 1.0
 遮蔽がある場合                : 0.7

・残留放射線による被曝を考慮する

(参考表1) 遮蔽を考慮した線量評価の目安(ラド)
 広島長崎
(m)遮蔽なし遮蔽あり遮蔽なし遮蔽あり
1200170120320230
125014097260180
130011079210150
13509264170120
1400745214095
1450614311078
150050359063
155040287351
160033236042
165027194934
170022164028
175018133323
180015112719
18501292216
19001071913
1950961511
200075139
21006396
22003264
23002243
24002132
25001121

(参考表2)誘導放射能による被曝線量(8時間滞在時:ラド)
 広 島長 崎
時間後 0m100m200m300m400m500m 0m100m200m300m400m
22520151063119652
818141174254321
16108642122110
2476432121100
3254321111100
4043211011000
4822111000000
5621110000000
6411100000000

(参考表3) 放射性降下物による被曝線量(組織吸収線量)
己斐−高須地区(広島) 0.6〜2 ラド
 西山地区  (長崎) 12〜24 ラド
[影響評価]
  ※確率的影響によるもの(悪性新生物)
    原爆放射線に起因があると考えられるもの:5ラド
    (白血病(慢性リンパ性白血病およびATLを除く)
     前白血病状態、甲状腺癌、乳癌、肺癌)

    原爆放射線起因性があるとみなせるもの     :  10ラド
    (胃癌、結腸癌、卵巣癌、多発性骨髄腫)

    原爆放射線起因性は明確ではないが
    確率的影響の特徴を考慮すべきもの       :  35ラド
    (食道癌、膀胱癌、皮膚癌、肝臓癌、神経系腫瘍、
     悪性リンパ性腫(ホジキン癌を除く)等)

    原爆放射線起因性は疫学的に否定されているが
    確率的影響の特徴を考慮すべきもの       :  50ラド
    (膵臓癌、胆嚢癌、直腸癌、子宮癌、骨肉腫、ホジキン癌、
    慢性リンパ性白血病、ウィルスマーカー庸生の肝臓癌)

    原爆放射線起因性が否定できるもの(ATL)  : 起因性否定

  ※確定的影響によるもの
    原爆放射線に起因性があるとみなせるもの    : 10ラド
    (放射線白内障、甲状腺機能低下症、
    副甲状腺機能亢進症、恒常的な造血機能障害)

    高線量の場合には原爆放射線に起因性があるとみなせるもの
    (ウィルスマーカー陰性の慢性肝炎、肝硬変)  : 100ラド
    (ウィルスマーカー陽性の慢性肝炎、肝硬変)  :1000ラド

  ※その他(高線量被爆者の疾患、認定前例のある疾患):ケースバイケース
  ※胎児被爆、乳児被爆の場合            :上記線量の半分の線量
  ※治癒能力が放射線の影響を受けているもの(被爆時の発生した傷害)
    外傷異物、熱傷瘢痕              :爆心地より2000m

[要医療性評価]
  ・原則として、ほぼ毎月、保険医療を受領している状態であること。
   (白内障、外傷異物、熱傷瘢痕については、原障害の改善のための医療に限る。)
   (矯正視力が0.8以上の白内障は認めない。)
   (熱傷瘢痕は、顔面部の硬貨大以下のもの、頭部・頸部の鶏卵大以下のもの、
    他の部位の掌大以下のものは認めない。)

  ・受療頻度が少なくても要医療と解釈される場合に限る。
    がんの再発管理のための経過観察(術後5年)
       ただし、1年に2回以上、経過観察の為の医学管理下にあること。
    がん以外の障害・疾患の術後観察(術後半年)