結審は四たび延期!

 昨年12月9日の法廷では、「双方から新たな証拠の提出がなく、裁判所からの注文がないかぎり2月20日を結審とする」ことになっていました。しかし厚生省が、松谷英子さん側のすでに提出していた「上野陽里氏(京都大学名誉教授)の意見書」に対する反論書を提出したのです。
 上野氏の意見書というのは「DS86(国側が被爆者の浴びたと考えられる放射線量を推定するモノサシ)は特に遠距離での中性子線量が過小評価(100倍以上?)されており、大幅な見直しが計画されている。現在DS86に信頼をおくことは正当性を欠き、何かの判断根拠とすることは誤りである。」という趣旨です。
 意見書提出後からこの問題に注目していた裁判所は、2月5日になって、(1)上野氏の証人尋問をしてはどうか、(2)尋問しないのであれば国側への反論を含めた総括的な準備書面を出して欲しい、(3)そのためには結審期日の変更もやむを得ない、と弁護団に打診をしてきました。
 国が松谷英子さんを原爆症と認めない唯一の根拠がDS86であり、私たちはその不十分さを指摘しながらも、被害の実態・被爆の実相に基づく補償をと訴え続け、長崎地裁で全面勝訴したのです。もしDS86の信頼性が弱まれば国側の主張・認定基準そのものが崩れゆくことになり、最終盤に入って裁判は大きな局面を迎えようとしています。

 弁護団と支援する会は、2月20日の結審は延期すること、証人尋問を行うかどうかは多くの関係者の意見を聞いた上で判断することを決めました。支援する会・事務局は裁判勝利のために全力を注いでいます。今後の日程はいまのところ未定ですが、延びたことを有利に生かし、引き続き支援の輪を広げていただきますようお願いいたします。


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