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上対馬警備所 海上自衛隊:対馬市上対馬町大浦
土地 32,700m2:建物 2,337m2


朝鮮半島をにらむ上対馬警備所

 対馬市の北端、上対馬町大浦地区の標高120mの小山の頂に白い二階建ての上対馬警備所がある。この地域には戦前、朝鮮海峡をにらむ砦として世界最大の要塞砲・豊砲台が建造され、その発射のための観測所の一つが上対馬警備所のところにもあった。それだけ重要な位置であることを示している。
 1960年に大浦千浜にレーダー基地が完成し、佐世保地方総監部直轄部隊として対馬監視隊が発足した(67年に警備所と改称)。70年には新編となった対馬防備隊の傘下に、下対馬警備所・壱岐警備所とともに収められた。75年にはヘリポート(5,941m2)が完成している。

 鰐浦から細い山道を千浜の方へ行くと上対馬警備所への入り口が左手に見えてくる。そのまま道を進む。この道路は海上自衛隊の管理で、「警備犬の訓練に注 意!」の看板が立つ。草ぼうぼうで轍の残る砂利道を進むと海上保安庁のトーキングビーコンがある。ここが行き止まりで車から降りて細い山道を下っていくと、視界が開け、海栗島が眼下に見える。韓国展望台ができる前はここが海栗島を見る「メッカ」だったそうだ。
 反対側に目をやると小山の頂には上対馬警備所が見える。望楼、レーダードームをもつ警備所は対馬海峡の西・北、東の一部を監視する。1階にレーダー室があり2基の対水上レーダーは海峡を通る艦船の探知を行うという。2階は見張り室で精巧な望遠鏡で常に韓国方面の監視活動を行っている。対潜水艦作戦の一環として、潜航中の潜水艦位置を、深い海底に定置した何百もの超低周波探知センサーを用いた音響監視システム(Sound Surveillance System)で探知することも重要な任務と言われている。
 探知した情報は対馬防備隊本部を通じて佐世保地方総監部へ伝えられるほか、レーダーは上対馬町琴の城岳と厳原町権現山の中継所を経由して佐賀県背振基地→福岡県春日基地とつながっている。


国境をにらむ目と耳-上対馬警備所