不純異星交遊のススメ 後編 もう、とにかく想いが通じたことが嬉しくて興奮しているうちに、お互い裸になっていた。 自分で服を脱いだのか、室長が脱がせてくれたのかも、よく覚えていない。頬ずりして、キスして、舌を絡ませて……気づいたら何も着ていなかった。 私の上に覆いかぶさった彼が、胸の形を確かめるように手を這わせている。何度も。 室長が地球種の女性限定のおっぱいフェチだという、イティコル部長からのリークは本当だったらしい。毛深くて顔色がわからないけど、瞳が潤んじゃってるし、目のふちも赤くなっていた。 優しく触られるのは、大事にされてる感じがして嬉しい。でも、ちょっとだけ物足りない。彼の手の上に自分の手を重ねて、ぐっと押しつけた。 「強くしても大丈夫ですよ?」 私の進言にハッとした室長は、少し顔をしかめて首を横に振る。 「ダメだ。エウプ人は力が強い。お前をを傷つけたくないんだ」 「室長……」 どこまでも優しい彼の想いが、胸の奥を熱くする。当たり前だけど、これまで種の違いを気に病んでいた室長は、地球種の女性をどう扱ったらいいのかわからないんだろう。 私は胸の上で重ねた指を絡めるようにしながら、柔らかい部分に沈み込ませた。 「それなら私が教えてあげます。どんな風にしたら気持ちいいかを」 わずかに目を瞠った彼の顔を、空いている方の手で引き寄せる。触れるだけのキスをして唇をつけたまま、ささやいた。 「でもね。私もエウプ種の男の人がどうしたら感じるか、知らないんです。だから私にも教えてください。室長が気持ちいいところ、全部」 「ユリ」 少し驚いたような室長の声に微笑んだ。 胸に当てていた手を離し、彼の足の付け根へと伸ばす。触れた瞬間、室長のものが手の中でビクッと跳ねた。すでに張り詰めていたそれは、熱を持ち小さく震えている。 エウプ人は見た目が狼っぽいだけで、身体の造りは地球人とあまり変わらないらしい。サイズ的にちょっと大きすぎる気がしないでもないけど、アレの形もほとんど一緒。先の方はつるっとしていて、根元へいくほど毛が濃くなっている。しなやかな体毛は思ったよりもさらさらしていた。 「あ……ユリ」 苦しそうな声に、ちょっとだけ顔をずらして彼を見上げる。眉間にくっきりと皺を刻み目をつぶった姿が色っぽくて、可愛くて、背中がゾクゾクした。 わざと強めに握って上下にゆする。彼は背中を丸めて、はあっと息を吐いた。 「室長、気持ちいいですか?」 本当はわかってるけど、あえて訊いてみる。こちらへ恨みがましいような視線を向けた室長は、私の膨らみにパクッと噛みついた。 「あっ」 ぱっと見は食べられてるって感じだけど、歯の尖っているところを当てないようにしてくれているから全然痛くない。彼は胸を甘噛みしながら、舌を滑らせた。 ざらざらした大きな舌に撫でられ、全身が一気に粟立つ。 「はぁ、あんっ」 思わず、やらしい声が出る。私が感じていることに気づいたらしい室長は、そこを遠慮なく舐め出した。 毛づくろいでもするみたいに全体を舐められるから、真ん中の尖りも巻き込まれる。硬くなった先端が彼の舌と触れ合うたびに快感が全身へ響いて、お腹の奥がじわりと熱くなった。 自分でも信じられないくらい感じちゃってる。好きな人と抱き合うのが、こんなに気持ちよくて嬉しいことだったなんて知らなかった。 室長を欲しがって疼く窪みは、きっともう、あふれそうなほど濡れているはず。じんじんしすぎて痛いくらいだ。 「ああっ、しつ、ちょ……も、入れて……これ、欲しい。ここ、に……」 荒い呼吸の合間にねだる。彼のものに添えた手は休めずに、もう一方の手で自分の秘部を開いてみせた。 中からこぼれた雫が、お尻の方に伝い落ちていく。身体を起こしてそこを覗き込んだ室長が、グルッと喉を鳴らした。 「う……い、いや、ダメだ。もう少し慣らさないと」 絞り出したような声に合わせて、彼の指がゆっくりと中に挿し入れられる。もうシーツまで濡らすくらいびしょびしょなそこは、難なく指を受け入れたけれど、室長は慎重にそうっと触れるだけだった。 エウプ人特有の太くて短い指は、私のイイところまで届かない。しかも出し入れがゆっくりすぎて、気が狂いそう。 もっと激しくしてほしい…… 焦らされることに我慢できなくなった私は、両足を室長の肩につけ、思いきり蹴飛ばした。 「うわっ」 女の力なんてたかがしれてるけど、不意をつかれた彼はよろけてベッドの上に座り込む。私はすかさず起き上がり、唖然としている室長の上に跨った。 「ユ、ユリ……っふ、う!?」 噛みつくようにキスして、無理矢理、口を塞ぐ。彼が抵抗できないでいるうちに互いの秘部をこすり合わせ、一気に腰を落とした。 「うぅ、んんんーっ!」 入口が目いっぱいに広げられる感覚。自分から入れたのに、堪えきれない声が漏れる。 触った時の大きさから、きついだろうと覚悟はしていたけれど、あまりの衝撃に意識が飛びかけた。痛みと気持ちいい感覚がぐちゃぐちゃに混ざって、何がなんだかわからない。とにかく中が熱くてビリビリして動けなくなった。 多分、室長も同じように感じているんだろう。私の肩をつかんだまま顔をしかめ、震えてる。私の中で強く脈打つ彼の一部と、こぼれる熱い吐息。細く開けた瞼の奥、潤んだ瞳に隠しきれない欲望が見えた。 室長が感じてくれているのが嬉しい。愛おしさで胸がいっぱいになった私は、痛みも忘れて腰を浮かせた。卑猥な水音に合わせて、内側の圧迫が減る。彼が抜けきるギリギリまで身体を持ち上げ、また根元まで呑み込んだ。 繋がっているところから凄い音がしてる。恥ずかしいのに動きが止められない。何度もくり返しているうちに痛みはどこかへ行ってしまい、あとには叫び出したくなるほど強烈な快感だけが残った。 「あぁ、ああっ、気持ちい……しつ、ちょうっ」 室長の両手が私の脇腹をつかんで支えてくれた。半分、体重を預けて、さっきよりも大きく腰を動かす。彼のものによって余すところなく内側がこすられ、一層切なくなった。 ギュッとつぶった瞼の裏が白くまたたき始める。荒い呼吸はもっと激しくなって、全身がブルブルと痙攣し出した。 絶頂の前触れだってことはわかってる。こうなってしまったら、もう止められないことも。羞恥なんて忘れて夢中で身体をゆらした。 私の変化に室長も気づいたんだろう。合わせるように下から突き上げられる。良すぎて苦しくて、もう無理だと思った瞬間、楔の先が私の一番奥へと突き刺さった。 「ひっぃあ、あっ、あぁーっ!」 溜まりきった快感が弾けて、一気に広がる。 高みへ押し上げられ、真っ白な光の中に放り出された私は、彼の腕の中で震えるしかできない。そのまま朦朧としているうちに、またベッドへ寝かされた。 背中にシーツが触れる感覚で意識が引き戻される。そっと瞼を上げると、私を覗き込んだ室長が苦しげに息を吐いた。 「すまん。ユリ」 突然、謝られたことに一瞬ぽかんとする。なんのことかと訊くよりも早く、埋められたままだった彼の一部がぐぐっと動いた。 「ひゃっ!? し、室長? 待っ」 内側に感じる熱と硬さから室長がまだだっていうのはわかるし、私だけ勝手に昇り詰めたのも申し訳ないと思う。けど、もうちょっとだけ待ってほしい。立て続けにするのって、本当につらいから。 とっさに止めようとして両手を突き出すと、手首をつかまれ、頭の上に押さえつけられてしまった。 「えっ」 驚いて目を瞠り、もがいたけど、室長の手はびくともしない。自分で「力が強い」と言っていたのは、自慢や冗談じゃなかったらしい。 動かない手首に気を取られているうちに、彼のものが出入りを始めた。 「あっ! あ、んぁあ……っ」 イッたばかりの敏感な身体は、すぐに快感を拾う。堪らず腰をくねらせると、室長の動きが遠慮のないものに変わった。 まさに野獣って感じに、ガンガン腰をぶつけられる。あまりの激しさと快感に涙があふれた。 「やっ、無理ぃ。しつちょ、ちょっと待ぁっ、あぁんんっ!」 言い終わらないうちにまた限界を超え、ビクビクと身体が跳ねる。 私が達したのは気づいているんだろうに、彼は休む気も休ませてくれる気もないらしい。私は止まらない抽送に仰け反り、叫び声を上げ続けた。 なにこれ、嘘でしょ…… ストイックを絵に描いたような室長が、実は見た目どおりの狼だったことにうろたえる。際限なく与えられる快感に翻弄されながら、大変な人を焚きつけてしまったのかもしれないと、私は少しだけ後悔した。 結果からいうと、私はあのあと気を失うまで責められた。 向かい合ってして、次に後ろからして、それからシャワールームへ運ばれて、そこでした……はず。そのあたりから記憶が途切れ、気がついた時にはベッドに寝かされていた。 私もえっちなことは好きだし、タフな方だと思っていたけど、室長は激しすぎる。文句を言ったら、しれっとした顔で「エウプ種はこれくらいが普通だと思う」と切り返されてしまった。信じられない。 二人でベッドに寝そべり、くっつく。彼の胸元に顔を埋めて、ほうっと息を吐いた。こういうのも胸毛というのか、室長のそこは他よりも少しだけ毛が長い。表面は滑らかでさらさらしているのに、根元の方はふわふわだった。 「気持ちいー……」 思わず声が漏れてしまう。私の感想を聞いた彼は、横になったままかくんと首をかしげた。 「ユリは変わっているな。地球種の女性は毛深い男が好きじゃないと聞いたが」 「なんですか、それ」 彼の胸に頬ずりしながら、クスクスと笑う。そんな、ちゃんとした統計を取っているわけでもない、眉唾な一般論を出されても困る。 「他の人はどうか知りませんけど、私は好きですよ。それに室長はリオンに似てるから、安心するっていうか……」 リオンの名を出した途端、室長の身体がピクッと震えた。 「誰だ?」 「え? ああ、リオンは実家で飼ってるわんこです。長毛種の大型犬で、超可愛いんですよー」 「……」 「身体と瞳の色は室長と一緒でー、って、どうかしました?」 急に黙り込んでしまった室長を見上げる。苦虫を噛みつぶしたっていう表現がぴったりな顔をしている彼は、私からスッと目線をずらした。 「俺は飼い犬と一緒なのか……?」 「ええっ、やだ、違いますよー。確かに初めて会った時はリオンに似てるなーって思ったけど、あのコとえっちしたいとか思わないし」 「なっ、ユリ!」 あからさまにぎょっとして、室長が叫ぶ。何に対して驚いたのかはイマイチわからないけど、相当びっくりしたらしく口元の髭がピンと立ち上がった。 きょとんとしたまま見つめていると、彼は疲れたように長い溜息をついた。 「お前はどうしてそう、あけすけなんだ。あんなもん持って家へ押しかけてきたり、触っていいだとか煽ったり、しかも俺を蹴飛ばして強引に……」 さっきまでのことを思い出したのか、室長の言葉が急に曖昧になる。伸び上がった私は彼にしがみつき、恥ずかしそうにモゴモゴしている口へ思いっきり唇を押しつけた。 長いキスのあと、顔を離してまた目を合わせる。室長の顔に「こいつ人の話を全然、聞いていないな」とはっきり書かれていたけれど、とりあえず無視した。 「あけすけでも、みっともなくてもいいんです。それで室長に私の気持ちが伝わるなら、なんでも」 「……」 また押し黙り目を見開いた彼に、口付ける。 「大好きです。室長」 やっぱり顔色はわからないけど、指先に触れる毛がふわっと膨らんだことに気づいた。よく見れば、耳の内側がピンクに染まってる。 凄く可愛い…… 私が彼をドキドキさせていること、間近でそれを感じられることが嬉しい。性別も、人種も、見た目も全然違う私たちだけど、きっと大丈夫だって思える。 まあ、もし室長が「やっぱり無理だ」とか言い出しても、離れてなんてあげないけどね……だから、覚悟して? こっそりと口の端を上げた私は、まだぼーっとしたままの彼の鼻に、宣戦布告のキスをする。初めて触れたそこは少し熱くて、しっとりしていた。 「ところで、室長。エウプ人ってフェロモン嗅ぎ取る能力高いって本当ですか? 今、最高にムラムラしてます?」 「だから、お前はーっ!」 部屋に響く怒鳴り声に首をすくめる。 結局このあと私は、室長から「女のつつしみ」とやらについてお説教されるはめになった。 当然、最後まで聞いていられず、また押し倒して圧しかかったけど、ね。 END 前編 ← |
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