このはなさくや図鑑 〜美しい日本の桜〜

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種名または品種、栽培品種名
Cerasus ‘Keio‐zakura’
ケイオウザクラ
啓翁桜

小枝にもいっぱい花をつける美しい桜。
花床筒は鐘形 しわが多い
萼片は広卵状三角形
小花柄には開出毛がある

<花の色>
 淡紅紫色「9702」
<花弁の枚数>
 5枚
<花の形>
 一重咲き 小輪
<花の時期>表記のない場合は近畿基準
 3月上旬〜中旬
<特徴・来歴>
切り花用の桜として知られる品種です。
全国に複数系統があり、よくわからない品種です。
写真で紹介しているケイオウザクラは、関西で「啓翁桜」とされているもので、したがって写真の桜は「啓翁桜」として記述します。
(誕生の経緯)
原品種「ケイオウザクラ」は、財団法人遺伝学普及会「遺伝研の桜」によると、昭和5年、福岡県久留米市の良永敬太郎氏(誤:良永啓太郎)がシナミザクラを台木にコヒガンザクラを接いだところ、誕生した品種(接木変異)であり、同じ久留米市の花卉研究家、弥永太郎氏が、作出者の名を取り、「敬翁桜」と命名されたようです。
(混乱の要因)
兵庫県宝塚市の農園で、「敬翁桜」から実生選抜したものを「敬翁桜」として販売また、その後昭和20年代には、東海地方の業者により「敬翁桜」・「岳南桜(ガクナンザクラ)」・「東海桜(トウカイザクラ)」として販売され、より混乱が生じたものです。
一方、関西では「敬翁桜」が「啓翁桜」の栽培品種名として広まったものとされていますが、この「啓翁桜」は、久留米の良永敬太郎氏と同一のものかはわかりません。
関西においても前述の実生個体や長野県や山形県方面のケイオウザクラが存在し、よくわからないのが現状です。
様々な指摘や問い合わせがありますが、このはなさくや図鑑では管理者の私が、良永敬太郎氏の「敬翁桜」の実物のデータを持ち合わせていないため、関西で一般に見られる「啓翁桜」を「啓翁桜」として紹介しております。
また、同様に実生から誕生したとされるトウカイザクラも「敬翁桜」と別の品種として紹介しております。

(私の見解)
栽培品種が流通していく過程でよるあることです。良永敬太郎氏が作出した「敬翁桜」のみをケイオウザクラとし、その他派生品種を別名として整理することは現状難しいことでしょう。

ケイオウザクラの研究は、JFC石井農場のHPに詳しい。

<成立に関係しているサクラ(種)>
C.jamasakura
C.sargentii
C.leveilleana
C.speciosa
C.itosakura
C.incisa
C.apetala
C.companulata
C.maximowiczii
C.pseudocerasus
C.avium
不明


文・撮影:藤原 このはなさくや図鑑〜第1集-P109

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