このはなさくや図鑑 〜美しい日本の桜〜

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種名または品種、栽培品種名
Cerasus jamasakura var. chikusiensis ‘Kume’
クメノサクラ
久米の桜

花は大きく、芳香があります。緑色の葉と花のコントラストが美しい。
萼片は長卵状三角形でかなり大きくあきらかに鋸歯のあるタイプから、不明瞭なタイプもある。 重鋸歯で先端には腺がある

<花の色>
 白色「3701」
<花弁の枚数>
 5枚
<花の形>
 一重咲き 中輪
<花の時期>表記のない場合は近畿基準
 3月上旬〜中旬 沖縄県基準
<特徴・来歴>
 最近発見された、久米島に咲く、白い桜です。

(文献が少ないため、詳しく記述します)
 一斉に満開になることが無いため、つぼみの部分から、未熟な種子まで、すべてのステージが見られます。この現象は、クメノサクラそのものは亜熱帯にもともとなかったことを示し、開花には低温要求があるということです。休眠打破がないため、開花が揃わないのです。クメノサクラの開花する頃、同地ではカンヒザクラが葉桜となっています。冬期、ある程度低温となる地域に持っていけば、まったく違った開花する可能性があります。種子島などのツクシザクラに似た部分もありましたが、いくつかの点で完全に区別できます。
 小花柄の根元には大きな苞葉があり、結実まで残ります。

(クメノサクラの歴史の話)
 久米島の植栽地を調査した際、お会いした同地の自然環境に詳しい、保久村氏によると、クメノサクラは、古くからの文献にも見られ、支配階級の家で植えられていたようです。(シロアリが住み着くので植えない場合もある)そういったことから、大航海時代、中国から渡来したものではないかとの興味深いお話をお聞きしました。彼岸の頃咲くのでヒガンザクラと呼ばれていたそうです。
 また、過去久米島では雪が降った記録(通常沖縄本島より気温が低い)もあるとのことでした。そういった年の春はきっと美しく咲いたことでしょう。

 最近のDNA検査の結果から、ツクシザクラに近縁であることが分かっています。増殖されたクメノサクラの株の中にはカンヒザクラとの交雑もあり、純粋なクメノサクラと明確に区分するべきでしょう。クメノサクラを守るためにも。

<成立に関係しているサクラ(種)>
C.jamasakura
C.sargentii
C.leveilleana
C.speciosa
C.itosakura
C.incisa
C.apetala
C.companulata
C.maximowiczii
C.pseudocerasus
C.avium
不明


文・撮影:藤原 このはなさくや図鑑〜美しい日本の桜〜
桜樹学・桜の世界2 栽培品種編T P19-20

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