このはなさくや図鑑 〜美しい日本の桜〜

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学名・種名
Cerasus leveileana (Koehne) H.Ohba
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カスミザクラ
霞桜・毛山桜

高木性
散房状花序または散形状花序
葉の展葉と同時に開花する

北海道から本州、四国、九州に分布しますが、高緯度程低地に分布し、
西日本では山地部に自生します。朝鮮半島や中国東部にも分布しており、
広い範囲で確認されています。
ヤマザクラと分布域が重なりますが、花期が遅いため見分けがつきます。
各部に毛があり、ケヤマザクラと呼ばれることがあります。
変異が多く、かなり毛の多いビロウドヤマザクラ(f.tomentella)や全く毛のないものあります。
・花の色はほぼ白色
・花弁の先は浅く二裂する
・花径は2.5cm〜3.5cm 中輪。
・萼筒は、筒状鐘形〜細い鐘形で無毛です。
・萼片は卵状披針形〜長三角形で縁は、ほぼ全縁となります。
小花柄には開出毛があります。


・新葉は、緑色で赤みを帯びない
・葉の形は倒卵形〜卵状楕円形
・葉の先は尾状鋭尖形〜短尾状鋭尖形
・葉身の基部もしくは葉柄上部に蜜腺があります。
・葉の基部は円形〜心形
・葉柄には開出毛があり、葉の表面はほぼ無毛ですが、有毛タイプもあります。
裏面は葉脈に沿って軟毛があり、淡緑色です。
・葉の側脈は6 〜10 対あります。
・葉の縁の鋸歯は、三角形で粗い重鋸歯または単鋸歯など(個体差が大きい)、先には腺があります。
雄蕊は花柱よりすこし短い、花柱、子房共に無毛です。

果実は、直径0.8cm〜1.0cm位、黒紫色で渋みがある。
樹皮は明るい灰褐色で、横並びの皮目が目立ちます。
Prunus verecunda(Koidzumi)Koehne in Fedde Repert.11:271(1912)
 -Prunus jamasakura var.verecunda Koidzumi in Bot.Mag.Tokyo 25:188(1911)
 -Prunus leveilleana Koehne in Sargent,Pl.Wiison.1:250(1912)
 -Prunus donarium subsp.verecunda(Koidzumi)Koidzumi in Conspectus Rosacearum Japonicarum:277(1913)
 -Prunus serrulata var.pubescens Wilson in The Cherry of Japan:31(1916)
 -Prunus pseudo-cerasus var.jamasakura subvar.pubescens Makino in Bot.Mag.Tokyo 22:98(1908)
 -Cerasus verecunda(Koidzumi)H.Ohba in J.Jpn.Bot.67:280(1992)



 カスミザクラはかつては、ヤマザクラの有毛変種として認識されていました。
 その後、独立種とされました。このはなさくや図鑑では、従来の学名「verecunda」ではなく、「leveilleana」としています。
 また、オオシマザクラはカスミザクラから分化したものであり、
 最近発見された、クマノザクラも分化したもの考えられています。


文・撮影:藤原 このはなさくや図鑑〜美しい日本の桜〜
桜樹学・桜の世界1-P37-38

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