このはなさくや図鑑 〜美しい日本の桜〜

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種名または品種、栽培品種名
Cerasus shikokuensis (Moriya) H.Ohba
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イシヅチザクラ
石鎚桜・四国豆桜

尾根筋で地面にはり付くように樹形を伸ばし生育している。
萼片は長三角形で全縁。
花床筒は基部がややふくらむ。
葉柄には毛が多い。
蜜腺は上部につく。

<花の色>
 白色「9201」
<花弁の枚数>
 5枚
<花の形>
 一重咲き 小輪
<花の時期>表記のない場合は近畿基準
 5月上旬〜中旬 愛媛県基準 
<特徴・来歴>
 四国の亜高山帯となる石鎚山地周辺の山頂付近の岩礫地に自生する桜です。
 当初マメザクラの変種として記載されていたものが、形態上の特性からキンキマメザクラとタカネザクラの雑種説が唱えられました。(同地では両種が自生していないことから独立種とする説もある)
 石鎚山から東赤石山にあるイシヅチザクラには、様々な形態的差異が見られ、例えば葉の鋸歯の先端は腺となるものと不明瞭なものがあることや小花柄の毛がまばらなものからかなりあるものなど様々です。
 私は、瓶ヶ森の調査の際には、チョウジザクラに近い性質のものも見かけており、通説とは異なり、マメザクラとチョウジザクラの共通の祖先からかなり古い時期に分化したものかも知れませんね。不思議なサクラです。
 四国の深山における早春を飾る美しい桜です。


<成立に関係しているサクラ(種)>
C.jamasakura
C.sargentii
C.leveilleana
C.speciosa
C.itosakura
C.incisa
C.apetala
C.companulata
C.maximowiczii
C.pseudocerasus
C.avium
不明


文・撮影:藤原 このはなさくや図鑑〜美しい日本の桜〜
桜樹学・桜の世界1 野生種編 P
52

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