第9章 サンリオ広場
あみは先日、事故でバズらせてしまったこともあり、ルビーラズリと双璧をなすと言われるアイスマイリンの配信を見ているのだが…
「通販番組なのかな」
神戸在住のあみにとってはアイリの関西弁の営業トークは耳になじむ。しかし、製品の紹介、実演は全てアイリが行い、隣のリンリンは何故か値段の数字の並びにコメントするだけだった。こういう芸風の通販番組なのだろう。
「そうそう、この前な、アイプリバースに出来た期間限定のサンリオ広場行ってきてん」
「どうでした?」
「さっき紹介した撮影ドローンで広場に降りるところを撮ってみたんやけど」
「綺麗に撮れましたか?」
「うちのスカートの中がな。なんちゅう角度で撮りよるねん?!」
「はぁ」
「拝観料777円で見せたろか」
「綺麗なゾロ目の数字ですね。ちょっと悩みます」
「待てぃ!評価するのそこかい?!」
フリートークも漫才みたいだ。
「それにしても、サンリオ広場って言ってたな…後で見に行こうかな」
あみはバースインしてサンリオ広場に行ってみた。広場にはシナモロールパーティーコーデを着たタマキがいた。
「タマキさん!そのコーデ、かわいいですね」
「今回はどれもかわいいから迷いますね。私、かわいいものが大好きなので」
「わたしはサンリオではシナモンが一番好きです」
「そうなのね」
「はんぎょどんやけろっぴも好きですけど、今回のラインナップには無いですからね」
「シナモンとは方向性が違うような…」
「そのコーデ着たいから、ルーレットで当たるまで付き合ってもらっていいですか?」
「ええ。私でよければ」
こんな調子で手に入れたシナモロールパーティーコーデを着て広場に戻ると、マイメロディパーティーコーデを着たアイプリがいた。
そのアイプリが持ち物に付けていたのは、あみの知っているプリマジスタのオリジナルキャラだった。
「もしかして、よつは☆★♪さん?」
「ええ。あ、あみさん?お久しぶり!」
「せっかくだからサンリオ合わせ、やりませんか」
よつは☆★♪さんさんとのライブを楽しんで広場に戻ると意外な人物に出会った。
「サクラさん?」
かわいい系コーデのイメージが殆どないサクラがハローキティパーティーコーデを着こなしていた。
「ちょっと意外だったけど、サクラさんってかわいい系コーデもにあうんですね」
「あ…これはだな…ミー、みつき君がリトルツインスターズのコーデでライブしているのを見ていたらタマキが無理やり…」
「みつきちゃんがキキララ…きっとカワイイですよね」
「無論だ!」
サクラはいつになくテンションが高めに感じられた。慣れないコーデだからだろうか?
「サクラさん、せっかくだからサンリオ合わせでライブしましょう!」
「あ、ああ」
こうしてルーレットでハローキティパーティーコーデも手に入れたあみはさっそく着替えてみた。すると…
「あの、もしかして、あみさんですか?」
声がかかった。
「はい」
「ユーツといいます。あなたの噂はよく耳にしています。ご一緒しませんか?」
「えっ?ちょっとびっくりだけど、喜んで!」
あみがユーツさんとのライブを終えて帰ろうとすると、つむぎがいた。
「この後、花火上がる。見る?」
「うん!花火をバックにパシャリングも楽しいかもね」
花火をやっているステージにはタマキもいた。
「タマキさん!さっきはありがとうございました!一緒に花火を楽しみましょう!」
「いいわね。あみちゃんはどんなカワイイコーデにするの?」
「季節的にきんぎょとかどうですかね」
「それは楽しみね」
花火が終わって、あみは帰りにプリズムストーンショップへ寄った。
「ミルコレ…」
昔プリパラでもあったな…あみは懐かしくなって買ってみた。
コーデが揃ったものは少なかったけど、幸いついになっている動物系ロリータコーデは両方揃った。
「明日試そうかな」
あみは早速試しにきたのだが、つい、いつもの広場に来てしまった。そこでみつきに会ったので、キキララのコーデ姿を見ることは出来なかったが、さわやかマリンコーデがすごく似合っていた。
「みつきちゃん、そのコーデかわいい!ルーレット当たるまで付き合って!」
「いいよ。確かに今の季節にぴったりね」
このコーデは近々大事な時に着るとして、まずはこの前の花火の時につむぎと当てたぽんぽんすずらんコーデも着てみよう。
コーデに着替えて広場に来ると、アイリがいた。
「アイリさん!はじめまして!あみです」
「ああ、サクラ達に勝ったって子やな。ウチも会ってみたい思ってたんや」
いきなり一緒にアイプリを楽しむことになった。
「よっしゃ、催眠術かけたろか」
アイリはあみに催眠術をかけようとして、結局自分もかかってしまっていた。
「ちょっと…アイリさん?」
「あ、ごめんごめん。今度たこ焼き作ったるから堪忍な。それより、耳寄り情報やで」
「なんですか?」
「今度のサマーツアー、今年の水着で参加してウチな会えたら、色違いをルーレットでプレゼントするで!」
「そうなんですね。ありがとうございます!」
そして、サマーツアーが始まった。
あみはアイリの言いつけ通り水着で参加した。すると、本当にアイリが色違いの水着で参加していた。
「ウチの情報に間違いは無いで」
まぁ、自分がやる事だし…
水着の2色目をゲットした後はあみは普通にツアーに参加した。
「あの…」
声がかかった。
「もし、間違ってじゃ無かったら、私の「一緒にアイプリしませんか」にリプくれたあみさんですか?」
「そういえば、そんなリプしたような…」
「私、かなっていいます」
「うん。思い出した!良かった!約束果たせそう」
かなさんとの約束を果たせたあみはふと思い出した。そういえば、プリマジ時代にコーデの交換で知り合って、いつか一緒にプリマジライブを、と言いながら、一度大阪でチャンスがあったのに行き違いになった人がいたな…
「その人って、確か…」
思い出そうとすると、なんと、ツアー広場にその本人らしき人物が…
「もしかして…さっちゃん?」
「そうですけど…あなたは?」
「あみです!やっと会えた!」
あみは以前のプリマジ時代のことを話した。
「ああ、そういえばそんな事もありましたね」
「わたし、合わせできるコーデに着替えてきますね!」
あみはこうして、昔の約束も果たしてツアーを終えたのだった。
「折角、水着が色違いで揃ったんだし、れみでも呼んで…」
あいにく、れみには連絡がつかなかった。
「で、私ですか?」
「ははは、昔サマーメイド合わせとかしたし、水着といえばクレアさんかなと…」
「まぁ、簡単に誘いに乗るあたり、そうかもしれませんね」
クレアさんは笑った。
金魚、水着など、夏コーデを満喫したあみ。
「後はアイスクリームコーデかな」
アイスクリームコーデで広場に行くと、
「ちょうどティーパーティーにぴったりですね」
ティーパーティーコーデを着たリンリンがいた。
「リンリンさん!初めまして」
「アイリもあなたに会ったと聞いて、ちょっと羨ましかったので声をかけさせてもらいました」
「光栄です!ぜひご一緒に!」
まさかアイスマイリンの二人にも知ってもらえていたとは!
実際はスターアイプリの二組の4人は全員パラダイス学園の生徒会で、毎日生徒会室で顔を合わせているのだが、あみがそんな事を知る由もない。
リンリンとのルーレットでゲットしたティーパーティーコーデで、お菓子系のコーデを着たアイプリを探していると…
一瞬、れみっぽい髪型のアイプリを遠目に見てそっちへ向かってみることにした。
「あれ?フィーアさんっぽいけど、ちょっと雰囲気違うし、ミックスコーデでもないか…」
あみのプリマジスタ時代のミックスコーデの師匠のようなプリマジスタに似たアイプリを見つけたのだが。
「あら、あみさん。リーベと名前は違いますが、またご一緒しましょう」
リーベさんはウインクして言った。この言い方、アバター前はフィーアさんなのかな?まぁ、「ひみつのアイプリ」だし気にしないでおこう。
リーベさんとライブを楽しんで広場に戻ると、
「出来る出来る出来る!」
どこかで聞いたような声がした。
らぁら達やファルルがいるくらいだ。あの人がいても不思議はない。
「やっぱりミーチル様!」
「あみか?久しぶり」
あみがみちるとライブしたところで、ひまりが走っていくのが見えた。
「ひまりちゃん?」
「あ、あみちゃん、いいところに!今日、私誕生日で」
「そうなんだ、おめでとう!」
「ありがとう!で、みんなにサプライズ貰ったから、お礼のライブしようと思って。あみちゃん、手伝ってくれる?」
「もちろん。バースデープレゼントというわけではないけれどね」
「良かった!」
ここで、あみは気づいた。
そういえば、サンリオ広場を楽しむの、いろいろあって忘れてる!
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