聖  岳ひじりだけ(3013m) No.85

登 山 日 2005.07.20
コ ー ス ―易老渡〜易老岳・光岳・茶臼岳・上河内岳・聖岳〜易老渡(一泊二日縦走)―

【第2日目】
茶臼小屋(1594m)5:25〜稜線〜上河内岳分岐6:36〜上河内岳(2803m)6:43〜分岐〜聖平8:26〜聖平小屋(2260m)給水・休憩8:45〜薊畑分岐(2400m)9:06〜小聖岳(2662m)9:46〜聖岳(3013m)10:55〜奥聖岳(2978m)11:15/聖岳で昼食/薊畑分岐まで戻る13:20〜西沢渡(1100m)15:50〜便ヶ島(990m)16:25〜易老渡(880m)16:48

 【第1日目】(7/19)の光岳へ
易老渡〜面平〜易老岳〜三吉平〜光岳〜三吉平〜易老岳〜希望峰〜茶臼岳〜茶臼小屋(泊)
所要時間 11時間23分
天   候 晴れ
メンバー 単独

 朝食が出来るのを食堂の前で待ち、スタッフに見送られ小屋を一番に出発。昨夜は夕食後すぐに爆睡して、11時間の睡眠で休養は十分であるが、目覚めたときに隣の人が離れて寝ていて、イビキをかいたのか?と少々気になったりもした。茶臼小屋分岐の稜線まで約10分で登り、昨日は雲の中だった茶臼岳の山頂が綺麗に見える。分岐を右折すると、幅の広い稜線歩きになって、右側の尾根の先に富士山が見えた。分岐から15分ほどで、高山の湿原で見られる亀甲土壌のある草原に出て、その先には上河内岳が姿を現した。唯1人草原の中を歩きながら、思わず♪小鹿のバンビ〜 すると・・・


茶臼小屋分岐から聖岳方面

茶臼岳を振り返る

草原から上河内岳 シカが・・・

 突然、ブルブル〜という激しい息づかいと蹄の音とが、目の前を通り過ぎる。それは、毛並みの良い大きな牡鹿で、その跳躍力は一飛びで5mを超えて、奈良の煎餅ジカとは別の生き物に見えた。牡鹿は一度右側の樹林に消たが、次に右から左へと横切って、その優美さにしばらく見惚れてしまう。上河内岳分岐へ6時36分に着いて、山頂へはザックをデポして6分。居合わせた登山者と登頂記念写真を撮り合い、これから向かう聖岳と先に見える赤石岳や荒川岳(悪沢岳)という3000m超の山並みをカメラに収めて分岐へと戻った。


上河内山頂から南アルプスの山並み

お花畑から上河内岳を振り返る

聖平の木道

 分岐からは、ガレ場の急坂を下る。すれ違う登山者が多くなり、その中に「昨日、朝早く易老渡から登って行ったでしょ。もうこんな所まで来たの」と声を掛ける登山者がいて、しばし歓談して無事を誓い別れた。途中、地図に「お花畑」とある場所では疎らに花が咲くだけだったが、正面に聖岳を望み振り返れば上河内岳が聳える眺めの良い登山道である。南岳を過ぎてもしばらく眺望が続いて、次第に樹林の道へと変わった。木々の間から眼下に聖平小屋の赤い屋根が見えると、もう少しで聖平の分岐である。聖平小屋へは、聖平に伸びる木道をたどって行って、ボトルに給水して休憩をした。


聖平小屋

小聖岳

小聖岳から聖岳

 小屋から分岐まで戻り、右折して少し登ると薊畑(あざみばた)分岐で、左が西沢渡・右が聖岳方面である。周辺には山頂へ向かった登山者のザックがデポされていたが、昼食の入ったザックは担いたままで登る。樹林の道を、下山者とすれ違いながら登っていくと、小聖岳である。ガレ場の尾根歩きになって、左に水場(地図にも記載される)が見えてくるが、水を汲むにはクライミング用具が必要だろう。ここからが聖岳の本番で、浮石の多い砂礫の急斜面が続き、体力は消耗して気力も萎えたころに山頂へ到着した。


聖岳山頂前の急斜面

聖岳山頂から奥聖岳

赤石岳・荒川岳 南アの山並み

 山頂からの眺望は素晴らしく、南アルプスの山々が目前にあった。山頂の北東にある奥聖岳へ疲れを忘れ40分で往復、途中に花の時期には遅かったが花畑が広がっていた。山頂は、岩稜上にあって幅広く、ゆっくり休憩することができた。北岳からの縦走で5日目という人は、3日前に梅雨が明けたのを知らなかったが、「その頃から空気が変わった」と身体で感じていた。また、女性単独でのテント泊という人を多く見かけたのは、ゆったりと時間が過ぎる南アルプスだからかも知れない。


薊畑分岐から上河内岳方面

西沢渡手前から易老渡の尾根

クマ捕獲用の鉄製檻

 薊畑分岐に戻ったのは13時20分で、ここから山頂へ1時間50分で登り、下りは1時間5分だった。分岐から西沢渡までの道は、コケやシダが生えた美しい原生林の中を下るが、疲れもあるのか行程が長く感じる。樹林に散在する大きな岩の色が、黒から赤茶色に変わったころ、岩陰で雉を撃ちながら・・・休憩。西沢渡まで1/2の看板を見てガッカリして、さらに下ると易老渡から易老岳への急登逆バージョンで、激斜面をジグザグに下って行く。給水のために立ち止まって、ふと前の斜面を見ると、四角い鉄製の檻が仕掛けてあった。慌てて、クマ鈴をザックに付けて、一目散に激斜面を激走した。


西沢渡の渡し篭

便ヶ島への道

易老渡の駐車場

 今は使われていない造材小屋を過ぎると、道は平坦になって西沢渡である。沢にはワイヤーが張られて、対岸に渡るために篭が下げられていて、迷わずに乗って渡りはじめた。沢の中心で腕が辛くて動かなくなり、ふと下流を見ると新しい渡し篭が張られていた。たぶん、女性一人で乗ったら、渡り切れないだろうと思う。そして、この渡し篭は荷物用のもので、増水時は人の利用も可というものらしかった。

 西沢渡から便ヶ島へは、遠山川右岸に付けられた平坦な道(造材の軌道跡)を歩くが、山側からの落石が多く注意して進む。沢に架けられた木製の橋を何本か渡り、トンネルを抜けると便ヶ島で、キャンプ場と駐車場が整備されていた。ここから易老渡までは舗装路を約20分歩き、駐車場へ戻ったのは16時48分であった。